★阿修羅♪ > 戦争b0 > 628.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
マレーシアで見えた米国覇権のほころび?(原田武夫国際戦略情報研究所)
http://www.asyura2.com/09/warb0/msg/628.html
投稿者 Orion星人 日時 2009 年 9 月 11 日 14:49:29: ccPhv3kJVUPSc
 

http://blog.goo.ne.jp/shiome
2009-09-10 14:30:00 | IISIAが読み解くマーケットと国内外情勢

米国ファースト・フード大手マクドナルドが「マックカレー」という店名を掲げたマレーシアのレストランを相手に商標権侵害を訴えていた裁判で、マレーシアの最高裁(連邦裁判所)は、去る8日、マクドナルド側からの上訴を棄却した。

今回の裁判は8年もの長期に及ぶものであったが、同連邦裁判所はマクドナルド側に対し、2700ドルに及ぶ訴訟費用をマックカレー側に支払うよう命じた。

今年の4月に行われた総選挙の結果、マレーシアではナジブ新首相が誕生した。それまでマレーシアでは外国人投資家に対して30%のマレー系資本を組み込む義務を負わせ、マレー系資本を優遇する「プリブミ」という政策を採用してきた。しかし、ナジブ政権が誕生すると、健康、社会サービス、旅行など幅広い業種でこうした外資規制が一気に撤廃された。

“自由化”がこのように進む中、マレーシアに残された課題の一つが、模倣品や特許権侵害などを規制するための知的財産権保護の強化だ。今後のステップとして、関連する法規制の強化と、その運用面を担う司法制度の整備が行われることになる。

マレーシアにおける知的所有権保護の枠組みによれば、商標、特許、著作権、工業意匠権、半導体デザイン、地理情報の6つのカテゴリーが保護されている。商標については、1976年商標法、1997年商標規制により、保護の枠組みが整っている。その反面、マレーシアの裁判制度については、その独立性をはじめとして不透明な部分も多い。

他方、マクドナルドは、コカ・コーラなどとともに米国を象徴する企業だ。米国国内では議会へのロビー活動を積極的に展開していることでも知られている。世界進出により成功しているファースト・フード・チェーンであり、マレーシア国内でも185店舗を展開している。

実は、今回のようにマクドナルドが東南アジアで看板の商標権を巡って争った例は他にもある。2006年にフィリピンのセブ島に本拠を置くファースト・フード店「マックジョイ・ファーストフード」を相手取ったケースだ。このケースでは、「マックジョイの商標が消費者にマクドナルドと同一性、または関連性を想起させるような混乱を与える可能性がある」との判決を同国の最高裁判所が下し、マクドナルド側の勝訴に終わっている。

今回、マクドナルド側としては、マレーシアにおいてフィリピンで見た「柳の下のドジョウ」を期待していたところであろうが、まったくの期待はずれに終わったことになる。

もっとも、今回の顛末を巡ってはさらに掘り下げて考える必要がある。これまで、米国はその圧倒的な軍事力を「ハード・パワー」として行使することで世界に対する影響力を維持してきた。その一方で、米ドルを国際的な基軸通貨とすることで、国際金融や国際経済の面でもイニシアティヴをとり、覇権を維持してきた経緯がある。

しかし、「軍事力」「通貨力」というこれらの目に見える覇権の維持はもはや難しくなってきている。そのため、米国勢が今後、“目に見えない”覇権維持の方法として着々と準備してきたのが、「知的所有権」による統治なのである。

先に述べたように、米国の象徴的な企業であり、尚且つ米国議会とのつながりが強いことで知られるマクドナルドの商標権保護を巡る争いの帰趨は、米国スタンダードを海外、とりわけ途上国に排他的に運用させるためは重要なポイントであったと言えよう。しかし、今回、米国勢はマレーシア勢の前に敗北を喫したことになる。

このように考えると、今回のマクドナルドによる商標権を巡る敗訴は、単に一私企業の問題という枠組みではなく、今後の展開如何では、「知的所有権保護」を通じて展開される米国による覇権戦略の見直しにも及ぶ重要な“潮目”の予兆として捉えるべきものなのだ。

ちなみに去る3日、農林水産省は外食を含めた食品関連産業のアジアへの展開を推進するための研究会を発足させた。日本の食品関連企業がアジア地域への進出が相次ぐ中で、日本勢にも間違いなく、米国勢によるこうした新たな戦略と衝突することになろう。今回のマレーシアにおけるマクドナルドの敗訴は、日本勢にとっても決して他人ごとではないのである。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 戦争b0掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。