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(回答先: ドル崩壊前後に出現する世界通貨 投稿者 姉葉大作 日時 2009 年 9 月 07 日 10:10:59)
論旨は荒っぽいが、「対米自立」思考が明らかに読み取れる。オバマ大統領はさっさと鳩山氏と電話会談するなど大人の対応をみせているが、政権内部では対日警戒心を強めるに違いない。それでも、日本があえてドル基軸体制の危うさに警鐘を鳴らす意味を米金融当局者は自覚しているだろう。
史上未曾有(みぞう)の経済危機を世界にもたらしたドル金融バブルはもともと日本の余剰資金が米ヘッジファンドなどを通じて米住宅市場に流れ込んだことが引き金になっている。日本の預金者が貯(た)め込んだ円資金は日本国内で使われず、米消費者の信用を支え、強欲なウォール街を潤す呼び水になった。
金融と安全保障は事実上、一体化しているのが、日米同盟関係の現実である。ドル不安が起きた1980年代後半以降、日本の余剰資金が米国債を買い支え、ドルを安定させてきた。米国はドルが暴落すれば、沖縄など全世界での駐留軍や軍事行動を展開できなくなるし、自由に石油も買えなくなる。歴代の自民党政権や霞が関官僚が支えてきた日米協調戦後モデルはバブル崩壊とともに機能しなくなった。自民党は有権者から見放され、退場することになった。鳩山氏は政権交代の余勢を駆って、「ドル離れ」を説くわけだ。
今後問われるのは、米国ではなくむしろ日本自身、つまり鳩山新政権の通貨戦略である。ドルは決済通貨、準備通貨として世界に君臨し、ときには危機を引き起こしながらも世界経済の飛躍的な発展に貢献してきた。ドルに限界が生じたのであれば、強くて安定した円が国際通貨として役割分担するのは当然である。周到な戦略と用意がなければ、鳩山構想は世間を騒がせた無責任構想に終わり、オバマ政権からの信用を失う。
「アジア共通通貨」構想も絵に描いた餅(もち)に終わりかねない。欧州共通通貨「ユーロ」の場合、ドイツの通貨マルクが碇(いかり)となって他通貨を支えたからこそ実現した。東アジアでドイツと同じ役割を演じようと準備を進めているのは中国である。中国は人民元を周辺国との貿易決済として普及させる計画を推進している。中国は米国債を買い支える代わりにドルとの交換レートを安定させることで人民元の価値を高めている。つまり米中連合でドルを安定させ、人民元をアジア共通通貨の基軸にする戦略が読み取れる。これに比べて、日本円の影はアジアでも薄くなるばかりだ。
ことし中にも日本の国内総生産(GDP)を抜きそうな中国に比べて、日本はGDP規模が縮小するデフレが10年間にも及ぶ。このままデフレが続けば10年後には経済規模がピーク時よりも4分の1も縮小する。デフレのために所得が減り家計の貯蓄率は1%台まで下がった。中国の貯蓄率は40%以上だ。日本は国際金融面でも中国に圧倒される日が迫る。
ドル離れには、抜本的な日本の経済変革が条件になる。その号砲にするなら、鳩山論文、大いに結構ではないか。