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安全保障読本(30)北「核実験」は実施されたのか (1/3ページ)
2009.7.5 17:08
他国の軍事力を分析する場合、客観性を心掛けることは言うまでもない。とりわけ北朝鮮の場合は、収集できた希少情報を丹念に積み上げ、不明な部分を不明と認める、ある種の「かっこ悪さ」が必要だ。
北朝鮮が5月25日に発表した「核実験」がそうだった。世界中の多くのメディアが早くもその日から「核実験」を実施したと断定した。だが、当時から今にいたるも、記者には確証がない。日米韓軍事当局には実験を「擬装」とする見方が根強く残っているからだ。
5月25日時点で取材した日米韓軍事当局者に共通していたのは、「莫大(ばくだい)な量のトリニトロトルエン(TNT)火薬を投じた擬装核実験」の疑いを払拭(ふつしよく)できないでいた点だった。そのことが「実験」報道への足かせとなった。5月26日付の小紙3面に掲載した分析記事では最初に「北朝鮮が行ったとされる『核実験』の事実関係は定かでない」と“逃げ”を打ったうえで、TNT火薬による擬装実験の可能性をまず紹介した。
次いで「実験」が仮に行われたとの想定に立った上で分析に入った。現時点でも「核実験」が実施されたか否かは、自らの中で結論に至っていない。
そもそも、核実験ではクリプトン(Kr−85)やキセノン(Xe−133/135)など、自然界では発見されない放射性物質が外部へ放出される。
従って、2つの放射性物質は、核実験実施を裏付ける最も確実な証拠と成り得る。実際、2006年10月の最初の実験で、他物質との化学反応が起き難いキセノンはカナダで検知され、米軍のWC−135(コンスタント・フェニックス)大気収集型偵察機も数日後、日本海で放射性物質収集に成功している。
ただし、今回は両物質とも「実験」から42日を経た現在でも発見に至ってはいない。原因はいくつかある。例えば、風向・風速の影響で、放射性物質が急速に拡散し、測定不可能な濃度まで薄まっている可能性である。また、北朝鮮が最初の核実験後、地下核施設の建材・構造を補強し、放射性物質漏れの遮断に成功したとみる分析も存在する。だが、相当な遮断性を付加したところで、両物質は拡散が遅れる可能性はあっても、結局は少量ながら漏れる。WC−135偵察機なら、1グラム程度の超微量でも検出できるはずだ。ただし、キセノンは半減期が1週間程度で非常に短く、クリプトンは原子力発電所からも放出されるため、収集できても、その分析は容易ではない。
こうした状況から、日米韓軍事当局は、「TNT火薬による擬装実験説」を払拭できないでいる。
CIA(米中央情報局)など情報機関を統括するブレア国家情報長官は、「実験」から3週間もたった6月15日、「恐らく」と断りつつ「地下核爆発を行った」と「推測する」など、まるで歯切れが悪い。1週間後に「実験を確認した」と断じた最初の実験とは、発表の迅速度と明確度の双方において大きな開きがある。さらに、ブレア長官は爆発規模について、「数キロトン」との分析結果に言及している。「数キロトン」についは「3〜4キロトン」と分析する当局者も多いが、一部では「1キロトン」説も根強い。「1キロトン」はTNT火薬1000トンの爆発力で、大量の高性能爆薬を地下核施設で爆発させても同程度の爆発力を作り出せる。
日本では、日常から放射性物質を観測している三沢(青森県)と百里(茨城県)、築城(福岡県)の航空自衛隊3基地所属の航空機が収集を担任。文部科学省では、国内唯一の環境放射能・放射線分析専門機関である日本分析センター(千葉市稲毛区)が稼働しているほか、47都道府県などにも測定を委託している。環境省も日本海岸を中心に10カ所で観測を続行中だ。さらに、包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づき、日本原子力研究開発機構では、核実験の有無を検知する放射性物質観測所を群馬県と沖縄県で運営している。一方、米露中のほか、韓国でも原子力安全技術院と海空軍が協力して収集に全力を挙げている。
これだけの「包囲網」でなお、放射線物質は検出されていない。そうである以上、歯切れの悪い、「かっこ悪い」報道は続くことになる。
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