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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu195.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米韓同盟と日米同盟の摩擦は、日米同盟の動揺のもとだ。韓国を防衛
する法的な義務を追うアメリカは、北朝鮮を刺激するようなことはできない。
2009年7月2日 木曜日
◆共通の敵に分断された米韓と日本 6月1日 トバイアス・ハリス
http://newsweekjapan.jp/harris/2009/06/post-8.php
北朝鮮に対する先制攻撃力をもとうとする自民党の動きが、5月25日に北が核実験を強行してからさらに勢いを増している。麻生太郎首相は5月下旬に2度にわたり、自衛のための敵基地攻撃は1955年から法理上も可能だと語った。
そして米政府も、この議論に間接的に発言した。5月30日、シンガポールで開かれた国際会議でロバート・ゲーツ米国防長官は、東アジアの同盟国を守るアメリカの本気度を心配する日本と韓国の安全保障エリートに対して次のように言った。韓国も日本も自国と国境を越えた集団的安全保障の責任を負うまでになった。「従ってアメリカは、保護者ではなくパートナーになるよう立場を調整する。ただしそれは、同盟国としての責務のすべてを果たす用意と能力があるパートナーだ」
曖昧なメッセージだ。一方では同盟国の貢献を歓迎しながら、他方では、同盟国の守り手としてのアメリカの役割を強調している。米政府が日本国内の議論に直接口を出すことを控えているのはいいことだ。だが、アメリカには日本の変化を懸念する理由が十分あると思う。
■日本の防衛より大きな問題がある
北朝鮮に対するアメリカと日本の対応が違う理由の一つは、地理的近接性や拉致問題、国内事情などの他、米韓の同盟関係にあることはまちがいない。
日本は、北朝鮮政策をひたすら自国の国益の枠内で考えられる。隣りのならず者国家から国民の命と国土を守るのだ。
アメリカの北朝鮮政策は視野がより広い。アメリカは核物質拡散の脅威や、国際的な核拡散防止体制の維持にも腐心している。また日本の安全保障だけでなく、韓国の安全保障のことも考えなければならない。
米韓同盟と日米同盟の摩擦は、日米同盟の動揺のもとだ。韓国を防衛する法的な義務を追うアメリカは、軽々に北朝鮮を刺激するようなことはできない。実際、北朝鮮が通常兵力でソウルを襲ったときの被害を考えれば、米軍が北朝鮮を攻撃することはまずできない。そのために、アメリカの北朝鮮に関する発言も抑制的にならざるをえない。
国際政治ブログ「ザ・インタープリター」の編集長サム・ロッゲビーンが書いたように、ゲーツ国防長官のシンガポールでの演説が意味するのは、朝鮮半島非核化の難しさを踏まえた上の封じ込め策だという可能性もある。
米政府が、3月に北朝鮮が弾道ミサイルを発射する前、米領土を標的としたミサイル以外は迎撃しないと否定したことも思い出される。日本のエリートはこれを、日米安保があてにできない証拠と受け止めた。
そうかもしれない。だが本当は、アメリカが日本の防衛に本気でないというよりは、日本の防衛より大きな問題があると言ったほうがいいだろう。
■自国防衛で周辺諸国が焦土になる?
だからこそアメリカ(と韓国)は、日本が自前の先制攻撃能力を手に入れることを警戒すべきだ。韓国とはいかなる同盟関係もない日本には、北朝鮮と対決するにあたって韓国の安全を考慮しなければならない理由がない。もし北のミサイル発射が近いと察すれば、日本国土に対する直接の脅威という根拠だけで行動できる。日本が北朝鮮に対する先制攻撃を行えば、体制崩壊が怖いか攻撃源を特定できないなどの理由で北は韓国を攻撃し始めるかもしれない。
だが、日本はそんなことは考えない。地域の条約の制約を受けない日本は、新たな「攻撃的防衛」能力を行使でき、その過程でより広範な地域の危機を引き起こすだろう。それも、領土拡大の野望のためではなく、外敵に対してひたすら自国を守ろうとしただけで。
こんなシナリオはありそうにないかもしれない。自民党が検討している新防衛大綱に対する提言が本当にそのような先制攻撃能力をめざす計画を盛り込むかどうかもわからない。
■対北朝鮮政策では日本は引きこもり
だがどんなに可能性は低くても、韓国は日本との溝を埋めるための話し合いをするべきだ。そして北朝鮮の脅威について考えるときは、自国だけでなく周辺地域の安全保障も併せて考えるよう仕向けるのだ。言い換えれば韓国(とアメリカ)は、日本政府が拉致問題の解決を日本の対北朝鮮政策の中心に据えたことによるダメージを修復する必要がある。この決定により、日本は北朝鮮政策で自分だけの世界に引きこもってしまった。北朝鮮を自分だけのレンズを通して見て、他の国が北朝鮮を制御するのにどれだけ苦労しているかという視点にはほとんど注意を払わない。
アメリカと日本、韓国が5月30日にシンガポールで初の防衛相会談をもてたことには勇気づけられる。もし日本が独自の攻撃能力を手に入れたいなら、先制攻撃はもちろん、言葉による威嚇であってもそれが周辺諸国にどんな影響を与えるかを考えながら、責任ある使い方をしなければならない。
たとえ東アジアと公式の同盟関係がないとしても、地域の安全保障と安定は日本の国益だ。それを理解すれば、日本の指導者はこの地域の安定を保とうとするアメリカの努力、とくに韓国の防衛にもっと感謝するようになるだろう。そして、アメリカが自制しているからといって今ほど不安にならず、自前の攻撃能力の必要性も今ほど感じなくなるだろう。
◆核抑止力をもっても日本は守れない 5月26日 トバイアス・ハリス
http://newsweekjapan.jp/harris/2009/05/post-6.php
5月25日、北朝鮮が過去3年で2回目となる核実験を行った後、産経新聞はこう報じた。日本は北朝鮮のミサイルの射程内にあるという理由から、「生殺与奪の権」を握られている。政治家の反応も、4月にミサイル発射が行われたときと同じパターンだ。北朝鮮の核開発を止める力を日本がもたないからこうなる、と一斉に嘆く。
注目すべきなのは、日本の保守派がまたもや、日米同盟やアメリカの核の傘があたかも存在しないかのように振る舞っている点だ。保守派の態度は、核の傘を軽視してどんどん傲慢になっている。
現在、保守派のスタンダードな主張はこうだ――北朝鮮の脅威を誇張する一方でアメリカの対応能力を矮小化し、恐怖と疑念の連鎖を蔓延させよう――。アメリカの巨大な核抑止力が、北朝鮮の取るに足らない微量の兵器に対して本当に無力だとでもいうのだろうか。北朝鮮は、アメリカの先制攻撃を抑止できるかもしれない。だが一方でアメリカには、北朝鮮が日本に対して自己破滅的な攻撃を仕掛けるの止めさせる抑止力もない、というのだろうか。
■追い詰めれば捨て身の行動を誘発する
もちろん、北朝鮮が失うものは何もないという窮地にまで追い込まれたときには、日本の方角にノドンミサイルを飛ばすをアメリカも止められなくなるかもしれない。
だからこそ、保守派の反応は愚の骨頂なのだ。金正日(キム・ジョンイル)体制を存亡の危機にさらすのは、北朝鮮を抑止不能に追い込むいちばんの方法だ。周辺国はむしろ、北朝鮮を崖っぷちから呼び戻し、自殺行為を思い止まるよう説き伏せる責任がある。
多国間協議の目的は、北朝鮮の自殺を食い止め、金正日体制が崩壊したときに備えた計画を練り、北朝鮮を次第に(たどたどしくても)外に向って開放させるための時間稼ぎをすることだ。
能力と力は違う。アメリカには、北朝鮮が日本を攻撃するのを防ぐ能力がある。だが残念ながら、北朝鮮に対する強制力がない。アメリカは北朝鮮の体制変換を実現する力をもたず、北朝鮮に圧力をかけるのに中国に頼っている。こんな状態では、米政府には核抑止力以外の力はほとんどない。日本が多少の核兵器をもったとしても、北朝鮮に対する強制力はアメリカよりはるかに劣るだろう。
アメリカが最強の核軍事力をもってしても日本の安全を保障できないとしたら、日本の核抑止力で何ができるだろう。問題はアメリカの能力ではなくやる気だ、という日本の保守派の主張もわかる。だが、日本を守ろうとするアメリカのやる気が、日本が自ら核武装せざるをえないところまで低下しているとは思えない。日本の国民も、核武装が必要とは思っていないはずだ。
(私のコメント)
北朝鮮に対する外交政策は、日本とアメリカと韓国ではそれぞれに異なる。北朝鮮に対して一番強硬なのは日本ですが、韓国は北朝鮮が暴発して南下してくる事を恐れる。アメリカも北朝鮮が暴発して韓国防衛に乗り出すような事態を恐れている。日本にとっては朝鮮半島で戦争が起きてもノドンミサイルが飛んでくる程度なので暢気でいられるのですが、韓国やアメリカにとっては地上軍部隊を投入する事態を恐れる。
北朝鮮は国連決議などによる経済制裁で追い詰められているのですが、核実験やミサイル実験を繰り返してアメリカを挑発している。挑発してもアメリカは韓国防衛の責任を負っているから攻撃は出来ないと見ているからだ。アメリカとしては北朝鮮に対して融和的態度で暴発を防ごうとしている。
しかし日本から見ればアメリカの態度は北朝鮮に対して融和的であり、日本の強硬な態度とはズレが生じてしまっている。ならば日本単独でも北朝鮮攻撃能力を持つべきだと言う強硬論も出てくる。それより強硬論としては先制攻撃論まで出てくるのですが、移動式のミサイル発射台をどのように見つけて攻撃するのだろうか?
通常弾頭をつけたノドンミサイルは打ち上げ花火みたいなものであり、日本に着弾しても都市に着弾しない限り大きな被害は出ないだろう。畑の真ん中に大きな穴が開くだけだ。都会に着弾しても直撃されたところだけしか被害は出ない。考えられるのは生物化学兵器を弾頭に付けて打って来る程度だろう。
しかし韓国から見れば日本のこのような強硬論は危険極まりないものであり、国土が戦場になるような事態は裂けたいと思うのが当然だ。さらに北朝鮮が崩壊して難民が押し寄せる事態も避けなければならない。一番望ましいのは北朝鮮が管理された形で体制変換をして民主国家になってくれることですが、金がかかる問題だ。
二番目に望ましいのはこのままズルズルと北朝鮮が現状で存続する事であり、中国が最低限度の援助はするだろう。しかしこのまま放置していれば核開発が進んで核ミサイルを完成させてしまう。そうなれば日本にとって直接的な脅威となり日本としては打つ手がなくなる。そうなれば日本も核武装してミサイルも持たねばならなくなる。
アメリカとしてはこのようになって極東が核開発競争になることですが、韓国も台湾も日本も一斉に核保有国となれば困るのは中国だ。アメリカも核拡散が広がり世界中が核開発に踏み切るかもしれない。北朝鮮が結果的に核保有国となる事はアメリカの威信を低下させてイランに対しても手も足も出せないと言うメッセージを送る事になる。
アメリカは軍事的にもイラクやアフガニスタンに足を取られているし、経済的にも金融危機で国力の衰えは隠しきれない。アメリカとしては中国に頼み込んで北朝鮮をおとなしくさせて、アメリカ国債を買ってもらわなければならない。このような米中の接近は日本にとっては日米同盟を揺るがせるものであり、北朝鮮や中国から日本が攻撃を受けてもアメリカは守ってくれるのだろうかと言う不安を生じさせる。
ニューズウィークのトバイアス・ハリス記者はアメリカの見方を書いていますが、アメリカの核の傘は有効なのだろうか? 中国やロシアが日本に核攻撃をしたらアメリカは本土を犠牲にしてまで核による報復攻撃をするだろうか? 北朝鮮ならアメリカ本土まで届くミサイルがないから核の傘は有効だろう。
ハリス記者の核の傘理論は北朝鮮の核に対しては有効だろう。しかし中国やロシアの核に対してもアメリカの核の傘は有効なのだろうか? ハリス記者は「保守派の態度は、核の傘を軽視してどんどん傲慢になっている。」と書いていますが、北朝鮮の核に対して言っているのであって、中国やロシアに対する核の傘にはどうなのだろうか?
もし日本が核武装して数発の核弾頭とミサイルを持てば、日本が核攻撃を受けた場合、確実に報復の核ミサイルが飛ぶが、アメリカの核ミサイルが報復として飛ぶ事は疑わしい。なぜならば私がアメリカ大統領であったとしても日本が中ロから核攻撃されても、米本土の危険を覚悟してまで核ミサイルの報復は命じないだろう。
韓国も同じであり、韓国が中国やロシアから核攻撃を受けてもアメリカは中国やロシアには核報復攻撃は出来ないだろう。あくまでも北朝鮮の核に対してだけ核の傘は有効だ。なぜならば北朝鮮はアメリカ本土まで届くミサイルを持っていないからだ。
アメリカ政府やハリス記者が核の傘が有効だと言うのならば、日本にアメリカ軍のパーシングU核ミサイルを配備すべきだろう。そうすれば中国やロシアは迂闊には核攻撃は出来ない。しかし現状においては朝鮮半島非核化を宣言させているし、日本には非核三原則を宣言させている。アメリカも中国やロシアを刺激しない為にそうしているのでしょうが、韓国でもアメリカ普請による核武装論が台頭している。
◆高まる北の脅威 米「核の傘」疑問視 韓国 核武装論じわり 6月21日 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090621-00000072-san-int
【ソウル=水沼啓子】北朝鮮が2度目の核実験を実施するなど軍事的脅威をエスカレートさせる中、韓国では政界や保守の論客らの間で「核武装論」が起きている。有事の際は、米国が核兵器で守るという「核の傘」に対し、韓国では「本当に守ってくれるのか」とその実効性に疑問を寄せる声もあり、韓国も核開発をすべきだという議論がインターネット上でも盛んになっている。
元朝鮮日報記者で全斗煥政権のときに大統領首席秘書官を務めた許文道氏は「北朝鮮の核の恫喝(どうかつ)を、米国の『核の傘』は防げなかった」「核を抑止できるのは核のみ」などと主張した。(後略)
◆「韓国に核の傘」明記 米韓首脳会談、同盟関係を再定義 6月17日 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0617/TKY200906160355.html
韓国が核の脅威にさらされた場合、米国が「核の傘」で守る「拡大抑止」を強化する意向を明文化する一方、韓国が主導し、米国が支援に回る形の安保協力関係に改めることも盛り込まれた。米国は韓国内のみならず、他地域の戦力を投入しても韓国を支援すると表明しているという。
北朝鮮が2度目の核実験を実施するなど強硬姿勢をとり続けるなか、韓国の一部で「核保有論」が台頭しているほか、与党ハンナラ党からは、現在米韓協定で制限されている核燃料の再処理を可能にすべきだとの声が強まっている。「核の傘」を明文化することで沈静化を図る考えだ。
(私のコメント)
アメリカのブッシュ政権では北朝鮮の暴発を恐れて融和的になりすぎて、日本や韓国の不信感を高めてしまった。そこでオバマ政権では「核の傘」を明文化したのでしょうが、日本に対しても「核の傘を明文化」するのだろうか? アメリカは中国を刺激するような事が出来るだろうか? 中国も北朝鮮の核武装化が進めば日本の核武装論が台頭してくることを恐れるだろう。