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海賊対処法 運用に厳しい監視を【信濃毎日新聞】
http://www.shinmai.co.jp/news/20090620/KT090619ETI090007000022.htm
6月20日(土)
ソマリア沖などの海賊対策で自衛隊の随時派遣を可能にする海賊対処法が成立した。
これまで海外では認められていなかった自衛隊の武器使用が緩和される。これを弾みとして、与党は、「国際平和協力活動」の名の下での自衛隊派遣を可能にする一般法の制定や、武器をさらに自由に使えるようにする動きを強めるのは間違いない。
憲法が禁じる海外での武力行使がなし崩しに進むことに、危機感を持たねばならない。海賊対処法の運用を厳しく監視するとともに、9条の形骸(けいがい)化を進めないための取り組みを強めたい。
ソマリア沖の海賊対策では、政府は自衛隊法に基づく海上警備行動を根拠に、既に現地に護衛艦を派遣し、活動させている。
日本に関係のない外国船は守れないため、海賊対処法は護衛対象を外国船にまで広げた。警告射撃にもかかわらず民間船に近づいていく海賊船への射撃も認めた。自衛隊の海外活動にとって大きな転機となる法律である。
同法をめぐる問題は多い。海賊への対処は海上保安庁が担うと明記されている。自衛隊が対応するのは特別の場合と限られているのに、海保は建前で、あくまで自衛隊の派遣を前提にしているとみられることだ。
海保の装備では海賊に対応するのは現実には無理だと、閣僚も明言している。
法の趣旨をないがしろにしたといわれても仕方ない。こんなやり方は許されるはずがないのに、国会はその疑問に十分答えぬまま法律を成立させてしまった。今後に心配が募る展開である。
ソマリア沖の海賊対策に参加する国はどんどん増え、現在、約20カ国が艦船を派遣している。なのに、被害は増える一方で、海賊の活動範囲も広がっている。
外務省によると、5月末現在で130件の被害があり、既に昨年1年間の111件を上回った。艦船の派遣が海賊対策の決め手となっていないことを物語る。
ソマリアでは無政府状態が長引き、経済状況や治安が悪化の一途をたどっている。海賊が減らない最大の要因である。
武力だけで海賊を押さえ込めないのは明白だ。国際社会は海賊への対応ばかりでなく、ソマリアの安定化に向け、真剣に話し合う必要がある。
日本は経済支援など外交で力を発揮すべきだ。民生面の支援こそ平和憲法を持つ国にふさわしい国際協力のあり方である。