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5月31日19時59分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090531-00000556-san-int
【モスクワ=遠藤良介】北朝鮮の核実験を受けロシアが制裁強化を含む国連安全保障理事会の新決議を支持する姿勢を見せている。4月の長距離弾道ミサイル発射時には中国とともに日米韓の制裁論議に歯止めをかけたものの、北朝鮮がもはや自国に制御できない形で核開発を進め、ロシア外交のよりどころである「核保有国の秩序」に挑み始めたと認識したためだ。ただロシアでは6カ国協議による対話重視の考えも根強く、制裁内容をめぐる具体的な出方はいぜん不透明でもある。
ロシア外務省は核実験の行われた5月25日に「明確な国連決議違反だ」との声明を速やかに出したほか、チマコワ大統領報道官も「核実験の主導者は国際社会への責任を負う」と金正日総書記を強く非難した。4月のミサイル発射の際は「人工衛星だ」と主張した北朝鮮にくみしたのに対し、今回は「厳しい措置が必要」との総論で日米韓と一致している。
ロシアは従来、「北朝鮮のミサイルは自国に向かわない限り脅威でなく、朝鮮半島の安定と核開発の阻止こそが重要」(専門家)として「圧力より対話」を訴えてきた。しかし、2006年に続く核実験で面目をつぶされた上、「予測不能な核保有国」(外交筋)が隣国に生まれるシナリオが現実味を帯びてきた。ロシアにとっては、極東部の安全保障はもとより、核不拡散の観点からも看過できない事態というわけだ。
一方、ロシアは核疑惑の持たれるイランに対する安保理の制裁論議には消極的な態度をとってきた。イランが核拡散防止条約(NPT)の枠内にとどまっていることやロシアが建設したイラン国内の原発施設に核燃料を供給、使用後に回収する“リース方式”をとるなど自国の“監視下”で不拡散の原則を守りつつ利権の拡大が見込めるからだ。
米露間では戦略核兵器の削減交渉が本格化しているほか、7月にはオバマ大統領の訪露も予定され、ロシアとしては北朝鮮問題で米露関係改善の機運に水を差したくない。国際社会の動向をイランが注視していることもまた、ロシアの強硬姿勢の背景にはある。
他方、ロシアでは厳しい経済制裁で金正日体制を追い込むことや臨検(貨物検査)が武力衝突に至ることなどへの警戒も強く、政界には「現行の安保理決議に付け加えるべき制裁はない」との意見もある。ロシアが制裁決議への見返りとして日米に他の外交課題での譲歩を迫る可能性もあり、新決議取りまとめには曲折が予想される。