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【コラム】万塔山のミステリー(上)
記事入力 : 2009/05/29 17:11:10
韓国は北朝鮮の核実験が成功したかどうかや規模については関心が高いが、狭い国土でどのように秘密を維持し、2回も核実験を行うことが可能だったかについては関心がないようだ。その過程で、人権侵害や放射能汚染のような根本的な問題に関しては全く解明されていない。
2006年に続き2回目となる北朝鮮の核実験はそれ自体が災難の塊だ。地政学的には人が住んでいない砂漠や不毛地帯ではなく、韓半島(朝鮮半島)のように狭い地域で核実験を行えば、放射能漏れによる深刻な被害を覚悟しなければならない。1回目の核実験当時、北朝鮮は3カ月前から吉州駅を封鎖し、両江道方面と吉州を往来する列車の運転を中断した。しかし、今回はそうした規制はほとんど行われず、吉州地域はもちろん、咸鏡北道の大部分の地域では住民が普段と変わらぬ生活を送る中で核実験を迎えた。
核実験を行う上で、周辺住民に全く知られることなく完ぺきに秘密が守られた理由は何か。海抜2000メートルの万塔山は、白頭山と並んで人の姿がまれな原生林のような場所だ。深い山中に巨大な地下核実験場を建設しようとすれば、多くの労働力と資金が必要となる。
しかし、北朝鮮の一般市民の中で地下核実験場の建設にかかわった人は一人も見つからない。1994年に咸鏡北道会寧にある政治犯収容所で警備兵として勤務していた安明哲(アン・ミョンチョル)氏の証言が唯一だ。安氏は「90年代初めから、咸鏡道に集中していた会寧、鐘城、化成の各収容所の政治犯から若い青年たちだけを選抜し、万塔山に連れて行った。地下坑道で作業を行っていたが、そこで何が行われるのか気になっていた」と話した。
政治犯は万塔山に連行されるのを最も恐れたという。一度連れて行かれると生きて帰ってくることはなかったからだ。北朝鮮が地下核実験場として利用する万塔山の北側には、北朝鮮でも「16号管理所」として有名な化成政治犯収容所がある。ここには政治犯の中でも幹部級とその家族が収容されているとされる。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者(政治部)
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/news/20090529000060
【コラム】万塔山のミステリー(下)
記事入力 : 2009/05/29 17:11:45
北朝鮮のかつての人民武力部長で粛清されたキム・チャンボン氏や南朝鮮労働党の幹部の家族なども、この化成収容所で生涯を終えたとされている。偶然の一致かどうかは分からないが、地下核実験場と政治犯収容所の関係を示唆する点は大きい。政治犯出身の脱北者は、地下核実験場の建設に政治犯が動員されたのはほぼ間違いないと確信している。これまで北朝鮮で危険な工事現場に政治犯を動員したことは秘密でもないからだ。
ファン・ジャンヨプ元労働党書記は90年代半ば、全秉鎬(チョン・ビョンホ)軍需担当秘書が「新型兵器を開発し、実験のために犬を数匹準備した」と言うと、金正日(キム・ジョンイル)総書記が「なぜ犬を使うのか。政治犯を連れてくるから人間を使え」と指示したのを目撃したという。
自身の体制と考えを異にするという理由で、政治犯は金正日総書記に犬以下の扱いを受ける。北朝鮮で最も人気が低い科学分野は核物理学だという。この分野を専攻すると、無条件で寧辺の分江地区で監視下の生活を送らなければならないからだ。いい加減な管理や技術不足で地域住民が放射能にさらされ死亡する、科学者にとっては常に恐怖の地域だ。
1回目の核実験を終え、2回目の核実験の準備を行うためには、放射能に汚染された地下核実験場に誰かが入らなければならず、それを行うのは政治犯しかいないという事実が存在する。金正日政権が崩壊すればすべての真実が明らかになるだろうが、われわれが想像もできない悲惨な出来事が核実験現場の豊渓里で起こっている可能性は非常に高い。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者(政治部)
http://www.chosunonline.com/news/20090529000061