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5月8日20時9分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090508-00000589-san-int
【ニューデリー=田北真樹子】パキスタンのギラニ首相は7日夜、国民向けにテレビ演説し「武装勢力とテロリストの壊滅」を軍に指示し、北西辺境州スワト地区でイスラム原理主義勢力タリバンなどの掃討作戦に乗り出したことを明らかにした。2月の政府と武装勢力との和平合意を事実上、破棄した。戦闘の激化も予想される。同州ではスワト地区などからの避難民が大量発生し、政府は避難民の対応を迫られている。
「政府は断固たる措置をとらなければならない段階に達した」
ワシントンでパキスタンのザルダリ大統領とオバマ米大統領が会談した数時間後のテレビ演説で、ギラニ首相はこう語り、和平合意に至ったスワト地区での掃討作戦が不可避になったとの認識を示した。
一夜明けた8日、スワト地区では武装ヘリや戦闘機などによる攻撃が行われた。軍は6日から同地区での作戦に着手しており、ロイター通信によると、武装勢力側の死者はこれまでに70人以上にのぼる。政府は掃討作戦にあたり、住民の被害を最小限に抑えるため避難を促していた。赤十字国際委員会は、周辺の住民50万人以上が近隣に避難したとしている。
ギラニ首相は避難民支援に10億ルピー(約12億円)を拠出し、稼ぎ手を失った家庭に就職を斡旋(あつせん)する方針を表明した。だが、支援がうまくいかなければ、激しい政権批判につながりかねない。
2月に地元政府と武装勢力が結んだ和平合意は、スワト地区を含む周辺地域でシャリア(イスラム法)による司法制度を導入する代わりに、武装勢力側がスワト地区で武器を放棄することが条件だった。しかし、武装勢力側は和平合意後も武器を放棄せず、シャリア導入の遅れを理由に、首都イスラマバードから約100キロのブネール地区に侵入した。
イスラマバードから車で3〜4時間ほどの同地区へのタリバンの浸透は「パキスタン政府に本当の危機感を抱かせた」(地元筋)という。その後、米側の強い圧力もあり、軍は4月下旬からブネール地区などで掃討作戦を開始した。
スワト地区では、これまでも和平合意が結ばれてきたが、いずれも破(は)綻(たん)している。昨年5月の合意は翌月に破棄された。この後、タリバンは相当数の女子学校を爆破し、住民を殺害するなど深刻な治安悪化をもたらした。このため、地元政府は今年2月に和平交渉に戻った経緯がある。
ブネール地区に続く今回の掃討作戦は、パキスタンに政治的な圧力をかけるだけでなく、経済支援も行うというオバマ政権の方針が奏功した側面もある。経済支援のための法案は米議会での成立を待つばかりだ。米国をはじめ国際社会から支援を受ける以上、ザルダリ政権としても武装勢力の一掃に動かざるをえなくなったといえる。
ザルダリ大統領は「作戦はスワトに平常が戻るまで続く」としている。だが、タリバンの反撃が予測され、北西辺境州以外でテロが頻発する可能性もある。