★阿修羅♪ > 戦争a8 > 291.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
【田中宇の国際ニュース解説 09/4/14】テロ戦争の終わり▼やはり貿易センタービル倒壊は爆破だった▼あちこちで指摘される自作自演性▼目立たずテロ戦争を終わらせるオバマ▼英国はすでに「テロ対策より温暖化対策」
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
田中宇の国際ニュース解説 2009年4月14日 http://tanakanews.com/
━━━━━━━━━━
★テロ戦争の終わり
━━━━━━━━━━
2001年9月11日に起きた米国の大規模テロ事件(911事件)で、ハ
イジャックされた2機の旅客機が突っ込んだ後に倒壊したニューヨークの世界
貿易センタービルに関して、旅客機の衝突が原因でビルが倒壊したと考えるの
は不自然だという主張が、事件の発生直後から存在していた。たとえば、私は
2003年5月に書いた著書「アメリカ超帝国主義の正体」(小学館文庫)の
中で、以下のような事例を紹介した(以下、自著からの引用)。
2001年9月11日の朝、ワシントンDCの国防総省ビル(ペンタゴン)
にハイジャックされた旅客機が突っ込んだとき、アメリカの軍事技術研究所の
一つである「ニューメキシコ鉱業技術研究所」のバン・ロメロ副所長は、市内
の地下鉄に乗っていた。この日、国防総省の関連機関との間で新しい国防関係
の研究についての打ち合わせが予定されており、その会場であるペンタゴンの
近くのビルに向かうところだった。
この日、大規模テロ事件が発生して会議どころではなくなったロメロ副所長
だったが、旅客機に突っ込まれたニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊
する映像をテレビで見たロメロ氏は、奇妙なことに気づいた。貿易センタービ
ルは、外から旅客機に激突したことだけが原因で崩壊したと考えるには、崩壊
の仕方が整然としすぎていたのである。
ロメロ氏は鉱業技術研究所の中でも、建物や飛行機などが爆弾テロで破壊さ
れるときの状態を専門的に研究する「活性材料研究実験センター」(Energetic
Materials Research and Testing Center)の所長をつとめた人である。この
研究所は、爆弾テロを捜査する当局からの依頼を受け、砂漠の中にテロで破壊
された建物や飛行機と同じ材質や構造を持った構築物を作り、そこに爆弾を
仕掛けて破壊することで、破壊が本当に爆弾によるものであることを立証する
という仕事を手がけてきた。ロメロ氏は「ビル破壊の瞬間」に関するアメリカ
有数の専門家だった。
貿易センタービルが崩壊する瞬間をテレビで見てロメロ氏が感じたのは「ビ
ルが崩壊した主因は飛行機の衝突ではなく、ビルにあらかじめ爆弾が仕掛けら
れていたからではないか」ということだった。高層ビルには、ビルの構造を支
えている柱など、力学的な急所が何カ所かあり、その柱を爆破することで、少
ない爆薬でビルを崩壊させることができる。この方法は、破壊された断片が飛
び散ることなく、ビルを内側に向けて整然と崩壊させることができるため、古
いビルを崩壊させて取り壊す際に使われる手法でもあるが、火薬が少なくてす
むので、老練なテロリストもこの方法を使うことがある。
貿易センタービルが崩壊する光景は、ビルの要所に爆弾を仕掛けた場合の崩
壊のしかたにそっくりだった。ロメロ氏は、飛行機をハイジャックしたテロリ
ストたちには別働隊がいて、彼らが事前に貿易センタービルの何カ所かの構造
的要所に爆弾を仕掛け、遠隔制御もしくは時限発火装置によって飛行機が突っ
込んだ後に爆弾を点火させ、ビルを倒壊させたのではないか、と考えた。テロ
の被害を大きくするため、テロリストがそのような作戦をとったのではないか、
と推測したのである。実際、そのような陽動作戦は、テロリストがよく行う
やり方だ、とロメロ氏は指摘した。
以上のことは、ニューメキシコの新聞「アルバカーキ・ジャーナル」が、事
件当日の9月11日に報じた記事をもとに書いたものである。アルバカーキ・
ジャーナルの記者は、911事件の発生を見て、ビル爆破の専門家であるロメ
ロ氏にコメントをとることを思いつき、ワシントンまで電話を入れたところ「
ビルに仕掛けられた爆弾が倒壊の原因ではないか」という意外なコメントを聞
き、他のマスコミは全くそんなことを報じていなかったので、これは大ニュー
スだと感じて記事を書いたのだろう。
とはいえ、ロメロ氏のコメントの「寿命」は長くなかった。アルバカーキ・
ジャーナルのサイトには、最初の記事が書かれてから10日後の2001年
9月21日に、ロメロ氏が前言を撤回して「貿易センタービルの崩壊は、火災
によるものだ」と発言した、という訂正版の記事が出た。インターネット上では、
訂正記事を先に載せ、最初の記事をその後に載せている。
訂正版の記事によると、ロメロ氏はその後、構造工学の技術者と話したり、
貿易センタービルが崩壊する瞬間の映像をもっと詳しく見たところ、ロメロ氏
は第一印象とは異なる結論に達した。ロメロ氏は、他の専門家が言っているよ
うな「衝突した旅客機のジェット燃料の燃焼によって、高層ビルの構造を支え
る鉄骨の柱が溶けた結果、ビルが崩壊した」という説に同調するに至った。
ロメロ氏は、飛行機の衝突そのものがビル崩壊を引き起こすとは考えられな
い、という以前の見方を崩しておらず、崩壊の原因はビル内部での爆発である
可能性は大きい、としている。だが、ビル内の電力線の変圧器が焼ける際にパ
ルスが発生し、それがビル内の配電線を伝ってまだ燃えていないジェット燃料
に引火して爆破を起こしたといった可能性もあるため、ビル内に爆弾が仕掛け
てあったとは必ずしもいえない、と考えているという。
ロメロ氏が最初に行った発言は「貿易センタービル攻撃を引き起こした背後
で、アメリカ政府が糸を引いているのではないか」などと主張する陰謀論者た
ちを勢いづかせることになり、ロメロ氏のもとには、陰謀論者たちからの無数
の電子メールが届いたという。訂正版の記事は「私は何も断定的なことを言う
つもりはなかったので、異常な反応にとても驚いている」という、ロメロ氏の
発言で締めくくられている。
もとの記事と訂正記事は、2002年後半まではアルバカーキ・ジャーナル
のウェブサイトで見ることができたが、今は削除されている。ただ、すでに削
除されたページのもとの姿を見ることができるサービス「Archive.org」には、
かつての記事が残っている。
http://web.archive.org/web/20021106232303/http://www.abqjournal.com/aqvan09-11-01.htm
Fire, Not Extra Explosives, Doomed Buildings, Expert Says
10日の間を置いて掲載された2本の記事を読むと、ロメロ氏が勘違いした
だけだった、と読み取ることができる。だが、アメリカには、この訂正記事そ
のものに対して懐疑の目を向ける分析者もいる。訂正記事には、ロメロ氏の最
初のコメントにこだわる人々を「陰謀論者」と呼ぶという予防線が張られてい
るが、陰謀論者扱いされた中の一人といえるジャーナリストのジョン・フラハ
ーティ氏らは「行間を洞察しながら訂正記事を詳細に読むと、実はロメロ氏は
『爆弾が貿易センタービルを倒壊させた可能性が大きい』という最初の主張を
変えていないことが感じられる」と、国際情勢を分析する自分たちのウェブサ
イト「裸の王様」に書いている。
http://emperors-clothes.com/news/albu.htm
BATTLE: AN EXPERT RECANTS ON WHY WTC TOWERS COLLAPSED
そのことはまず、アルバカーキ・ジャーナルの2本の記事のトーンの違いか
ら感じられる、とフラハーティ氏らは主張する。9月11日に出された最初の
記事では、ロメロ氏はビル爆破テロ調査の専門家として、感じたことを自然に
語っている。自分の発言が政治的にどのような意味を持つのかを考えず、専門
家として貿易センタービルが崩壊する映像を見て「原因は爆弾だろう。テロリ
ストはよくそういう手を使うんだ」と指摘していた。
ところが、最初の記事を書いた記者とは別の記者が書いた訂正版の記事では、
ロメロ氏自身の発言をそのままカギ括弧に入れて引用(クォート)している
部分は2カ所しかない。残りの肝心の部分は、記者自身が書いた「地の文」と
なっている。
ロメロ氏の発言は「確かに、ビルが崩壊した原因は火災に違いありません」
("Certainly the fire is what caused the building to fail,")というの
と「こんなことになって、とても驚いています。私は、何が起きたとか起きな
かったとか、そんなことを言うつもりはないんですから」("I'm very upset
about that, I'm not trying to say anything did or didn't happen.")と
いう2つである。
フラハーティ氏らは、この2つの発言のニュアンスから、訂正記事がいわん
としている方向とは逆に、ロメロ氏が前言を撤回する気がないことが感じられ
ると主張している。最初の発言は、記者の念押しに対して「(原因が飛行機の
燃料が燃えたことだったのか、それとも爆弾だったのか、どっちだったとして
も)確かに火災が最終的なビル崩壊の原因となったことには違いない」という
意味であり、次の発言の「こんなこと」というのは、陰謀論者からたくさんの
メールを受信したことを指しているのではなく、前言を撤回するよう、仕事の
発注元である国防総省から圧力がかかるといった大騒ぎになったことを指して
いるのではないか、とフラハーティ氏らは主張している。
世界貿易センタービルが倒壊したのは、アメリカ政府が発表したような「激
突した飛行機の燃料が一気に燃え、その熱がビルの鉄骨を弱体化させた結果」
ではなく「ビルの内部に何らかの爆発物が仕掛けられていたからではないか」
という疑惑は、他のところからも出ている。
911事件に対する当局の真相究明があまりに貧弱なので、市民レベルで事
件の真相究明を行い、その結果をインターネット上で公表するという動き「市
民による911事件調査」(People's Investigation of 9/11 )があった
( www.911pi.com すでに閉鎖されている)。そのサイトで、ハイジャックされた
1機目のジェット機が世界貿易センタービルに突っ込み、燃料が爆発(燃焼)
した際の熱量を計算し、それがビルの鉄骨の温度を何度まで上昇させることが
できたかを検証する文章が2003年2月末に掲載された。
ハイジャックされた1機目の飛行機(アメリカン航空11便、ボーイング
767型機)は、貿易センタービルに突っ込んだ際に1万ガロンの燃料を積んで
いたと報じられている。この燃料が燃焼したときの熱量が、ビルの一つのフロ
アにだけこもり、他のフロアや外気に逃げていかなかったと仮定し、しかも燃
焼のしかたが不完全燃焼ではなく、酸素が十分にあった場合の燃焼だったと仮
定して計算したところ、鉄骨(1フロアあたり500トン)の温度は最高で
280度まで上がるが、それ以上にはならないことが分かった。実際には、熱量
の一部は他のフロアや外部に逃げ、その上ビル内での燃焼だったため、燃料は
不完全燃焼に近かったと考えられ、実際の温度は280度以下だったと思われる。
報道によると、ビルに使用された鉄骨は、600度まで熱せられた場合、強
度が半分に落ちる。アメリカのマスコミの多くは、専門家の話として、貿易セ
ンタービルの鉄骨は1500度ぐらいまで熱せられたため強度がかなり落ち、
ビルが崩壊したと解説していたが、この計算式では1500度どころか、
600度の半分にしかならず、鉄骨はほとんど弱体化していなかったことが
証明されている。
(自著「アメリカ超帝国主義の正体」からの引用はここまで。私はこの件につ
いて、本に書いたがウェブ上の記事として発表していなかったので、ここに引
用した)
▼やはり貿易センタービル倒壊は爆破だった
911事件で世界貿易センタービルが倒壊した理由は、米政府の公式見解で
ある「ジェット燃料の爆破」なのか、それとも上で紹介したような「何者かが
仕掛けた爆弾」によるものなのか。米政府は「ジェット燃料説」に固執し、爆
弾説を全否定しているが、もし爆弾説の方が事実に近いとしたら、米政府が頑
強に爆弾説を否定していることの方が問題になる。米政府が、テロリストがビ
ルに爆弾を仕掛けるのを黙認した(もしくは政府要員自身が仕掛けた)という
可能性が高くなるからだ。
そして最近、爆弾説を補強する新たな研究が発表されている。それは、
911事件直後の貿易センタービル周辺から採取された、ほこりやちりの4つ
のサンプルを分析したところ、そのうちのすべてから、国防総省から認可され
た業者しか扱えないはずの、特殊な爆弾の成分が見つかったという研究である。
研究は、米国ユタ州のブリガム・ヤング大学の物理学者や、デンマークのコペ
ンハーゲンの化学者ら数人の研究者がまとめ、最近、専門誌
(Open Chemical Physics Journal)に発表した。
http://www.bentham-open.org/pages/content.php?TOCPJ/2009/00000002/00000001/7TOCPJ.SGM
Active Thermitic Material Discovered in Dust from the 9/11 World Trade Center Catastrophe
研究者たちは、貿易センタービルの近くで、倒壊10分後、翌日、1週間後
に採取された、合計4つのサンプルを検査したところ、酸化鉄とアルミニウム
粉末の化合物である「サーマイト」の一種である「ナノ構造スーパーサーマイ
ト」(nanostructured super-thermite)が、すべてのサンプルから検出された。
http://rawstory.com/news/2008/Scientists_find_active_superthermite_in_WTC_0404.html
Scientists find active 'super-thermite' in WTC dust
サーマイトはマグネシウムで点火すると劇的に反応して高温となり、溶解し
た鉄となるもので、溶接や手榴弾、焼夷弾、古いビルを倒壊させるときの爆薬
などとして使われている。それを強化したものがスーパーサーマイトで、爆弾
として使われるため、国防総省によって輸出入や扱い業者が限定されている。
スーパーサーマイトがすべてのサンプルから見つかったことからは、やはり貿
易センタービルは爆弾によって爆破倒壊した可能性が高いと考えられる。今回
の記事の冒頭で紹介した「貿易センタービルの倒壊は爆弾によるものだろう」
という、ビル爆破倒壊の専門家であるバン・ロメロの最初の指摘は正しかった
ことになる。
バン・ロメロに、指摘を撤回するよう圧力がかかったように、今回の研究に
対しても、以前から政治的な圧力がかかっていた。今回の研究の中心人物であ
る物理学者のスティーブン・ジョーンズ(Steven E. Jones)は、ブリガム・
ヤング大学の教授をしていた2005年に、今回の研究の元となる研究を発表
した。しかし彼は翌年、大学から早期定年退職に追い込まれ、大学から追い出
された。それでも大学内には、彼を支持する学者が多かったようで、彼は退官
後も同大学の施設を使い、大学に残った後輩研究者たちと研究を続けることを
許され、今回の研究成果となった。
http://www.opednews.com/populum/diarypage.php?did=12811
Small chips in World Trade Center dust identified as undetonated explosive
今回の研究に参加した学者の中では、ほかにもケビン・ライアン(Kevin
R. Ryan)という学者が、2004年に米政府発表のジェット燃料説に異議を
唱えたがゆえに、勤めていた研究所を失職している。
http://www.911truth.org/article.php?story=20041124095100856
Ryan's Hometown Paper Reports on Letter and Firing
▼あちこちで指摘される自作自演性
911事件に対する米当局の自作自演性については、公式見解が覆ることは
ないものの、事件から8年以上たった今でも、ときどき公式見解を覆すような
指摘が出てくる。最近ではブッシュ政権が終わった10日後の今年1月末、カ
ーター元大統領が、911の真相究明のやり直しを求める発言を行った。カー
ターは以前から「ブッシュは911を使って自分の権力を増強し、戦争した」
と批判していた。
http://www.prisonplanet.com/former-president-jimmy-carter-supports-call-for-new-911-investigation.html
Former President Jimmy Carter Supports Call for New 911 Investigation
昨年末には、英国のロビン・クック元外相が「アルカイダというテロ組織は、
もとから存在していなかった。米国が、テレビを見ている人々に政府を支持
させるため『悪役』を用意するプロパガンダ戦略としてアルカイダを作った。
このことは、事情に通じた諜報部員なら誰でも知っていることだ」という趣旨
の発言を行っている。私が以前に書いた記事「アルカイダは諜報機関の作りも
の」の筋とだいたい同じだ。
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=11487
Former British Foreign Secretary: Al Qaeda is Not a Real Group, Just a U.S. Propaganda Campaign
http://tanakanews.com/f0818terror.htm
アルカイダは諜報機関の作りもの
米国の諜報機関CIAの幹部の中からも「アルカイダという組織は一度も存
在したことがない。全くの作り物だ」とか「アルカイダとは組織名ではなく、
テロリストの行動様式に対してつけられた呼び名だ」といった指摘が出ている。
http://polidics.com/cia/top-ranking-cia-operatives-admit-al-qaeda-is-a-complete-fabrication.html
Top Ranking CIA Operatives Admit Al-qaeda Is a Complete Fabrication
昨年末には、911事件の日、米政府高官は、ハイジャックされた旅客機が
国防総省のビルに突っ込みそうなことを約20分前に知っていたのに、国防総
省の職員に危険を知らせず、避難させなかったとして、当時のラムズフェルド
国防長官らが同省職員から提訴されている。
http://rawstory.com/news/2008/911_survivor_blasts_Rumsfeld_Cheney_No_1217.html
Career Army Specialist sues Rumsfeld, Cheney, saying no evacuation order given on 9/11
▼目立たずテロ戦争を終わらせるオバマ
米政府は、政権がブッシュからオバマに代わっても、911事件に対する公
式見解は変えていない。しかしその一方で、ブッシュが911事件を口実とし
て開始した「テロ戦争」を、オバマは、目立たないかたちで終わらせていこう
とする動きを続けている。
(日本のマスコミは「戦争」という言葉を使うと平和主義の国民の反米感情を
煽ってしまい、対米従属の国是に反するため「テロ戦争」のことを「テロとの
戦い」という婉曲表現で呼ぶようになった。この事例は、日本でもマスコミは
政府から独立した機関ではないことの象徴である)
オバマは大統領就任以来「テロ戦争」という言葉を使わないようにしている。
代わりに「過激派との長い戦い」(enduring struggle against terrorism
and extremism)とか、単に「今続いている戦い」という言い方をしている。
ブッシュ政権は「テロ戦争」という言葉を、イスラム世界に対して米国が介入
するあらゆる軍事行動や外交的脅しについて使ったため、イスラム世界は「テ
ロ戦争」という言葉に対して非常に悪い印象を持っている。そのため、イスラ
ム世界との再協調を方針に掲げるオバマは、テロ戦争という言葉を使わないよ
うにした。
http://wire.antiwar.com/2009/01/31/under-obama-war-on-terror-catchphrase-fading/
'War on Terror' Catchphrase Fading, but Policies Continue
オバマは「言葉を慎重に選んで使えば、イスラム世界の穏健派をもういちど
親米の側に取り込むことができる。だからテロ戦争という言葉を使わないのだ」
と言っている。オバマは大統領就任の2日後に、アフガンなどから捕まえて
きたイスラム教徒を、犯罪者とも捕虜(兵士)とも認定しない宙ぶらりんの状
態で無期限に勾留し、世界から人権侵害を非難されているグアンタナモ米軍基
地の収容所を閉鎖することを発表したが、これが事実上の「テロ戦争の終結宣
言」だったと指摘するコラムニストもいる。
http://wire.antiwar.com/2009/02/03/obama-us-choosing-words-carefully-in-terror-war/
Obama: US Choosing Words Carefully in Terror War
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hT7ZimsQHKfduYc-REToVF8EDwNw
Obama 'declared end' to war on terror
またオバマは、大統領就任の直前に「もはやアルカイダは逃げ回っているだ
けの弱体化した組織なので、オサマ・ビンラディンを殺したり捕まえたりする
ことを最重要の目標にしておく必要はない」と表明している。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article5520116.ece
Obama: No Longer Essential to Kill bin Laden
米国のオサマ・ビンラディン研究者(Bruce Lawrence)は、ビンラディンは
すでに死んでいるだろうと、07年の時点で言っている。911後に発表され
たビンラディンのものとされるビデオ映像は偽物だとも言っている。
http://www.prisonplanet.com/articles/february2007/190207Laden.htm
Top Bin Laden Expert: Confession Fake
ビンラディンはすでに死んでいる可能性が高まっているのに、オバマが
「ビンラディンは死んだ」と言わず「ビンラディンを捕まえなくてもよい」と
言っている理由は、米国の「軍産複合体」が「テロ産複合体」に発展し、一大
産業と化しているからだろう。大学教員、マスコミ、政治家から、マッチポンプ
式で儲けるコンピューター・セキュリティ会社、ガードマンまで「テロ戦争」
で食っている米国人は多く、大きな政治勢力となっている。彼らは、ビンラデ
ィンやアルカイダの脅威を過大に扇動することで食っており、彼らに敵視される
ことは危険だとオバマは思っているのだろう。(日本にも同種のものとして、
北朝鮮や中国、ロシアの脅威を煽るマスコミ、学者、政治家、活動家などの一
大産業がある)
http://www.thenation.com/blogs/dreyfuss/396449/obama_and_the_middle_east_part_i
Declare an End to the 'War on Terror' by Robert Dreyfuss
▼英国はすでに「テロ対策より温暖化対策」
すでに英国政府は06年から、テロ戦争という言葉を使うことをやめる政策
を強めてきた。「イスラム・テロリスト」という言葉も使っていない。もとも
とテロ戦争は、英米協調でイスラム世界との対立を扇動する戦略だったが、英
国はすでに、この戦略はマイナスが大きすぎると判断している。
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,159067,00.html?ESRC=topstories.RSS
Britain Drops 'War on Terror' Label
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2007/04/18/2003357168
Term `war on terror' damaging: UK official
英政府幹部の中には「アルカイダの脅威は誇張されている。テロ対策より、
地球温暖化対策をやった方がいい」と言う者もいる。以前の英国は、米国を動
かして世界を牛耳り続けるために、テロの脅威を誇張していたが、それはブッ
シュのやりすぎで失敗したので止めて、代わりに別の誇張戦略である地球温暖
化対策(中印など発展途上国からのピンハネ)を強化した方が良いという、英
国ならではの謀略の転換である。
http://www.usatoday.com/news/world/2007-12-16-mottram_N.htm
Ex-Aide to British PM: Al-Qaeda Threat Exaggerated
米国はブッシュからオバマになって、ようやく英国の忠告に従うようになっ
た。英国が米国を牛耳り直すようになったのか、とも思えるが、オバマは英国
に対してかなり意地悪であり、むしろ英国はブッシュの時よりも冷や飯を食わ
されている。このあたりのことは、テロ戦争の本質と関わる話である。
http://www.huffingtonpost.com/eric-margolis/the-american-rome-is-burn_b_174074.html
American Rome Is Burning - So Let's Attack Iran
そもそもテロ戦争とは何だったのか。そして、それを終わらせることは何を
意味するのか。そういったことが、今回の記事を書こうと思った動機であるが、
その本質論に入る前に、すでにかなりの分量を書いてしまった。
前段で長い引用をしてしまったことも一因だが、テロ戦争とは裏読みの必須
な謀略の積み重ねであり、マスコミを軽信しがちな人々に納得してもらうには
説明が長くなる。しかも規模が世界的で、イスラエルやイラク、アフガン、英
米関係など、それだけで長い記事になるいくつものテーマが絡み合っており、
話が長大になる。テロ戦争の本質論については、次回に書きたい。
この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/090414GWOT.htm
●田中宇・911事件関係の記事
http://tanakanews.com/911.htm
★音声訳
http://www.voice-news.net/
「田中宇の国際ニュース解説」には無料版と有料版があり、この記事は無料版です。
●最近の有料配信記事(購読料は半年3000円)
◆変容する中東政治(2)
http://tanakanews.com/090409mideast.php
【2009年4月9日】 イスラエルは、全方位的に不利になっている。政治面で
の不利が目立つが、最も重要なのは、実は経済である。世界不況と、世界各国
からしだいに強く受けるようになっているボイコット(経済制裁)の影響で輸
出が減り、失業や倒産が増え、国家も企業も家計も赤字が増して、イスラエル
は今、建国以来の経済危機にある。
◆急落する世界経済とG20
http://tanakanews.com/090403G20.php
【2009年4月3日】 まだ世の中には「米経済はいずれ回復し、再び世界を
牽引する圧倒的な経済大国に戻る」と思う人が多いだろう。だが米オバマ大統
領は、G20サミット前日の記者会見で「米国は巨額の財政赤字を抱え、国民
の貯蓄率も低いので、今後長いこと、赤字を減らす独力を続けねばならない」
「米経済が今後回復するとしても、それは米国自身のために回復するのであっ
て、世界から頼ってもらうために回復するのではない」「世界は、もはや米国
を旺盛な消費市場だと思って頼ることはできない」と宣言している。
◆顕在化するドルとポンドの崩壊
http://tanakanews.com/090327dollar.php
【2009年3月27日】 ドルは世界の基軸通貨としての地位を失いかけている。
「ドルに代わる通貨がないのだから、ドル崩壊はあり得ない。世界がドル崩壊
を食い止める」と信じている人がまだ多いが、世界はドル崩壊を食い止められ
ない。代わりの基軸通貨のことなど考えずに、ドルは勝手に崩壊しつつある。
(以下略)
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲