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http://mainichi.jp/select/world/news/20090411ddm007030071000c.html
パキスタン:和平危機 武装勢力「破棄」を警告 大統領、署名棚上げ
【ニューデリー栗田慎一】パキスタン北西辺境州スワート地区の武装勢力が、政府側との和平破棄を通告し、戦闘再開の恐れが高まっている。武装勢力は、2月に政府側と締結した和平合意の発効に必要な署名をザルダリ大統領が棚上げしていると非難している。ザルダリ氏が応じないのは、和平に反発する米国の圧力や、和平条件にあるイスラム法導入で人権侵害が起きるとの西側諸国の懸念が背景にある。戦闘が再開されれば住民生活は再び破壊され、貧困が深刻化するのは確実だ。
武装勢力の代理人は9日、「大統領が約束を守らないため、我々は(停戦監視区域から)引き揚げる」と語り、和平破棄を警告した。和平交渉を担ってきた州政府の政権党「アワミ国民連盟」も、「大統領が署名しなければ(ザルダリ氏が率いるパキスタン人民党との)連立関係を解消する」と通告。新たな政局問題に発展する可能性も高まっている。
スワートは、ガンダーラ仏教遺跡群で知られる世界的観光地だったが、07年夏に本格化した政府軍の武装勢力掃討で観光客は途絶えた。地元には「停戦が最大の貧困対策」との思いが強く、州政府の求めに中央政府が和平合意に応じ、政府軍は軍事作戦を中止した経緯がある。しかし、停戦によって武装勢力がアフガニスタンで対米攻撃を強めると懸念する米国は、和平に反発。オバマ米大統領は3月発表のアフガン包括戦略で、パキスタンの民生支援を打ち出す一方、掃討活動の強化を求めた。さらに4月上旬、イスラム法が禁じる「姦通(かんつう)の罪」を犯したとして武装勢力が女性を公開むち打ちするビデオが流出し、西側諸国から和平への懸念が高まった。
ザルダリ氏を批判する武装勢力は、和平条件にある武装解除に応じる気配を見せず、政府側との相互不信を生んでいる。反政府色を強める武装勢力は、首都イスラマバードがある東側へも影響力を伸ばし始めており、近い将来、首都が戦場化する恐れもある。
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■ことば
◇イスラム法(シャリア)
イスラム教に基づき、個人や国家の規範などを定めた法体系。法文はなく、宗教指導者が時代状況などによって解釈を変える。姦通罪違反は男女双方に石打ちによる公開処刑が通例。アフガンの旧タリバン政権は厳格なイスラム法で統治し、残酷な処刑法などが国際的非難を浴びた。
毎日新聞 2009年4月11日 東京朝刊