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人工衛星破壊実験は「史上最大規模の宇宙ごみ投棄」
【2007年2月2日 CSSI】
中国が1月12日(日本時間)に行ったミサイルによる人工衛星破壊実験によって、大量のデブリ(宇宙ごみ)が発生していることがわかった。専門家によれば、同実験によるデブリの発生は史上最大規模。国際宇宙ステーションをはじめ低軌道を周回する数多くの人工衛星が危険にさらされている。
デブリの分析結果について公表したのは、人工衛星や地球周辺環境の情報を収集・提供するアメリカの民間組織CSSIのT.S. Kelso博士。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が公表したデブリのデータを元に計算した。Kelso博士は自身が手がける人工衛星の軌道情報サイト“CelesTrak”の中で「これは史上最大規模のデブリ発生事件だ」と述べている。
CelesTrakによれば、2007年2月1日現在地球周回軌道上にある人工衛星は3,150個、デブリが7,497個。今回の人工衛星破壊実験が作ったデブリは、実に517個を数える。
破壊された中国の人工衛星「風雲(Fengyun)1C」は、1999年に打ち上げられた気象観測衛星だ。北極上空と南極上空を通る「極周回軌道」を通っていたため、発生したデブリと軌道が交差する人工衛星は少なくない。軌道上の物体は秒速数キロメートルで動いているので、大きさ10センチメートル程度のデブリでも人工衛星に与える影響は致命的だ。
デブリは高度200キロメートルから3,500キロメートルの範囲に分布していて、「低軌道(LEO)」と呼ばれる高度2,000キロメートル以下に存在する人工衛星がとくに危険にさらされている。その中には、高度400キロメートルの軌道を通る国際宇宙ステーションも含まれる。
CelesTrakには、軌道データに基づき衝突の確率を計算するサービス(SOCRATES)も用意されている。実際に今回のデブリが衝突する確率を計算してみると、2月2日から9日(世界時)の間で人工衛星に1キロメートル以内にまで接近するケースは23件、一番近い接近は衛星からデブリまで175メートルで、一番危険性があるとされた接近は約0.016パーセントの確率で衝突に至る。
しかし、あらゆる衛星やデブリについて計算すると、中にはデブリが衛星に10メートルまで接近し5パーセント以上の確率で衝突するとされるケースもある。今回の人工衛星破壊実験はやっかいな宇宙ごみを大量に投棄することになったが、そうでなくても軌道上のごみ問題は深刻なのだと実感できるのではないだろうか。
http://www.astroarts.co.jp/news/2007/02/02asas_debris/index-j.shtml