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【ハリウッド直送便】 『東洋宮武が覗いた時代』――日系アメリカ人の苦難を明かす映画が公開
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http://www5.nikkansports.com/entertainment/chitose/entry/20090317_76459.html
2009年3月17日
日系アメリカ人の苦難を明かす映画が公開
すずきじゅんいち監督によるドキュメンタリー映画「東洋宮武が覗いた時代」が、ロサンゼルスのリトルトーキョーの劇場で一般公開されました。同作は、第2次世界大戦中に強制収容所に収容された日系アメリカ人の暮らしを撮り続けた写真家、東洋宮武氏の生涯を描いた作品。
初回の上映は定員を100名以上も超す大盛況ぶりで、会場には日系人のほか多くのアメリカ人の姿も見られました。私も含め多くの日本人は、当時、アメリカに暮らす日系人たちが迫害され、砂漠の中に建てられた収容所に強制収容されていたという歴史を詳しくは知りません。映画の中で、収容所生活を体験した1世、2世は3世となる子供や孫には、この収容所での出来事を語りたがらなかったというナレーションがあります。取材に応じた多くの日系人たちは、「しかたがない」との言葉で当時のことを語っています。しかし、このような歴史が繰り返されないためにも、収容所での出来事を次世代に語り継ぐことはとても意義のあることだと思います。
リトルトーキョーでカメラスタジオを営んでいた東洋氏は、著名カメラマン、エドワード・ウェストンに写真を学び、ロサンゼルスを訪れた芸能人や舞踊家など多くの著名人を撮影する有名人でした。そんな東洋氏ですが、日本軍による真珠湾攻撃が起こった後、西海岸に住んでいた日系人約12万人とともに強制収容所に収容されます。その際、禁じられたレンズをこっそりと隠して持ち込み、ひそかに手製のカメラを作って収容所内の暮らしをフィルムに収め続けたのです。その数は500枚にも上るといわれ、収容所の歴史を知るための重要な記録となっています。
収容所はロサンゼルスから車で数時間の砂漠の真ん中にあります。過去1度、近くを車で走ったことがありますが、本当に周囲には何もない荒野という言葉がぴったりの場所です。夏は暑く、冬は寒い。そんな厳しい条件の場所に建てられた鉄条網と監視塔に囲まれた収容所で多くの日系人が暮らしていました。しかもその中の多くが、アメリカ国籍を持つ日系人だったということも驚きです。そして、アメリカ政府による忠誠登録により、アメリカで生まれ育った2世と日本から移民してきた2世、さらにアメリカで生まれながら日本で教育を受けた帰米との間に大きな亀裂が入るのです。
作品は写真家・東洋氏が遺した膨大な写真と当時の記録映像を基に、収容所で暮らした人々ら関係者の証言を交えて、知られざる日系人の苦難に満ちた歴史を明らかにしています。「二度と起こってはならないこの事実をカメラで記録するのが、カメラマンとしての務めだ」と東洋氏。その言葉通り、東洋氏の写真は私たちに多くのことを語ってくれています。静かな中に力強いメッセージが込められた写真は、見る者の心を打つものばかり。収容所の知られざる歴史の一面を目の当たりにし、アメリカで暮らす身として多くのことを学んだ100分でした。
日本では4月11日から東京都写真美術館ホールほかにて公開されます。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
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