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米露逆転のアフガニスタン(田中宇 国際情勢分析ニュース)
http://www.asyura2.com/09/wara6/msg/605.html
投稿者 近藤勇 日時 2009 年 2 月 11 日 10:37:53: 4YWyPg6pohsqI
 

米露逆転のアフガニスタン
2009年2月10日  田中 宇
http://www.tanakanews.com/090210afghan.htm

アフガニスタンは「ソ連の墓場」である。ソ連は1979年、傀儡政権を維持できなくなってアフガニスタンに侵攻し、10年間、泥沼の占領を続けざるを得なくなった。ソ連は国力を浪費し、最後には80年代末、レーガン政権の米国に和解を申し入れて米ソ緊張を解くことを通じて、何とかアフガン撤退にこぎつけたが、それはソ連自体の崩壊につながった。アフガン各地の山村の村はずれあたりには、山道を侵攻しているうちに動けなくなったソ連軍の戦車の残骸が今も放置されており、その意味でもアフガンはソ連の墓場である。

 アフガニスタンをソ連の墓場に仕立てた張本人の一人は、現在、米国オバマ政権の外交顧問をしているズビグニュー・ブレジンスキーである。80年までのカーター政権で大統領補佐官をつとめた彼は、ソ連のアフガン侵攻の5カ月前から、アフガンや隣国パキスタンのイスラム教徒民兵(ムジャヘディン = 聖戦士)の諸組織に軍資金を与え、軍事訓練をほどこして、ソ連軍を挑発して占領の泥沼に陥れる作戦をやったと、自らが米通信社のインタビューで述べている。 ( Muslim Terrorist Apparatus was Created by US Intelligence as a Geopolitical Weapon )

 ブレジンスキーは、ソ連をアフガンにおびき寄せて占領の泥沼に沈めたこの作戦を「ベアー・トラップ」(熊のわな)と呼んだ。ソ連は、怒らせると凶暴になるという意味で、米欧の国際政治の関係者から、よく熊にたとえられてきた。ソ連はブレジンスキーの仕掛けたわなにはまって滅亡し、冷戦は終結した。

 しかし冷戦終結から10年すぎた今、アフガニスタンでの泥沼の占領劇は役者が交代し、米欧(米軍を中心とするNATO軍)が占領の泥沼にはまっている。ソ連はアフガンを社会主義化する口実で占領して失敗したが、米国はアフガンを民主化する口実で占領して失敗している。アフガン占領の失敗が確定したら、NATOは解体し、欧州はEU統合軍の創設を加速するだろう。アフガンは「ソ連の墓場」となっただけでなく、次は「NATOの墓場」になろうとしている。 ( Russian Envoy: NATO Making Same Mistakes as Soviet Army in Afghanistan )

 ソ連の後継国であるロシアは、米欧に対し、泥沼から出るための手助けをしても良いと言い出している。ただし、それには条件がある。米欧がロシアに対する敵対的な包囲網を解き、中央アジアやコーカサス、ウクライナなど、ロシアがソ連時代に持っていた周辺地域への覇権(影響圏の設定)を回復させるなら、米欧を助けてやる、とロシアは言っている。

 米欧のアフガン占領の泥沼は、911後に米国がアフガニスタンを「民主化する」と言って侵攻した後、愚策の連続によって占領が失敗した結果であり、ロシアが米国をわなにはめたわけではない。だから、厳密には米露の攻守が逆転したわけではないが、私の持論である「ブレジンスキーは隠れ多極主義者の一人」という点を加味すると、この話の全体が攻守逆転の繰り返しとなる。

▼冷戦の本質再論

 1947−89年の冷戦は、世界覇権の永続化を狙った米英同盟による世界戦略だったと考えることができるが、その要点は「ソ連(中ソ)を潰す」のではなく「ソ連(中ソ)との対立を永続化する」ことにあったはずだ。中ソが欧米と恒久対立する体制を作ることで、欧米から中ソ(や社会主義系の発展途上国)に対して工業技術や経済運営技能が移転されることが防がれ、中ソや途上国の成長が阻止され、いつまでも欧米が世界の中心でいられる。

 冷戦がなければ、欧米の国際資本家は中ソなど(今でいうBRIC)にさかんに技術や技能を移転し、中ソなどは経済発展して欧米に匹敵もしくは凌駕する大国となり、欧米が中心の世界体制が崩れ、覇権が多極化してしまう。これを防いでいたのが冷戦構造で、この構造は軍産英複合体にとって好都合だった。

 しかし、1972年のニクソン訪中によって、米国はまず中国を冷戦体制から引き離して経済成長を可能にした(米政界の軍産勢力の反対を抑えるのに6年かかったが、1978年に米中が正式に国交正常化すると同時に、中国の改革開放政策が始まり、今の経済大国化が実現した)。そして89年には、レーガンによって冷戦体制自体が壊された。

 ニクソンやレーガンの動きの背後に、中ソや発展途上諸国を冷戦のくびきから解放して経済発展させ、そこに投資して儲けようとしたニューヨーク資本家(多極主義者)の陰謀が存在していたのではないかというのが、私の「隠れ多極主義」の仮説である。この仮説に基づくと、ニクソンの大統領補佐官として訪中戦略を作ったキッシンジャーや、あまりにひどい愚策を続けて米国をイラクやアフガンの占領の泥沼に沈めて覇権を自滅させた前ブッシュ政権のチェイニー副大統領(いずれも共和党)、ソ連を崩壊させて冷戦を終わらせたブレジンスキー(民主党)は、いずれも隠れ多極主義の参謀役である。

 ブレジンスキーがベアー・トラップを仕掛けてソ連を潰したことの続編として、チェイニーは、自滅的な「イーグル・トラップ」を自国に仕掛けた。その後、政権が代わって再びブレジンスキーが出てきて、わなにはまってもがいて状況を悪化させる役割を果たしている観がある。

 多くの人は「チェイニーは自分の欲得のためだけに愚策をやったのだ。多極主義者なんかじゃない」と考えているが、短期的・個人的な欲得のためなら、むしろサダム・フセインやタリバンと交渉して利権を得る方を好むはずだ。サダムもタリバンも、米国と交渉する気は十分にあった。米国が問答無用で侵攻した時点で、動機は別のところにあるようだという疑いを私は持った。

▼闇市に並ぶ略奪品の新旧交代

 ソ連軍がアフガニスタンを占領していた時、アフガンとソ連(タジキスタン共和国)との国境であるアムダリヤ(川)を渡ってソ連側に戻ると、兵士は安堵した。同様に今、アフガンを占領しているNATO軍の兵士は、アフガンからパキスタンに戻り、カイバル峠を越えてペシャワールに下ると、安堵しているはずだ。かつて英国がインド(今のインドとパキスタン)を占領していた時、何度かアフガンを攻略して失敗したが、その時からカイバル峠は変わっていない。それ以前にペルシャ(今のイラン)の勢力がインドを占領していたときには、カイバル峠はペルシャ勢がインド植民地に入る入り口だった。

 そのカイバル峠は、今回の米露逆転劇でも重要な役割を果たしている。カイバル峠はこれまでNATO軍の唯一の陸路の補給路で、アフガン駐留軍が使う物資の7割がこのルートで運ばれてきたが、パキスタンで反米イスラム主義が拡大した昨年後半以降、タリバン系のゲリラ(民兵、山賊)がNATO軍の物資を運ぶ輸送トラックをカイバルの峠道で襲撃する事件が頻発した。

 物資輸送を請け負うトラック会社の経営者や運転手の多くは、タリバンと同じパシュトン系の人々で、彼らにも脅しがかかった。カイバル峠から下ったペシャワール郊外の公然・非公然の市場では、強奪したNATO軍の物資が売られていると報じられている。かつてソ連軍がアフガン占領に苦しんでいたとき、同じ地域の市場では、ゲリラ戦で奪ったソ連軍の物資が並んでいた。この点も、攻守が逆転した形で悲喜劇が再演されている。 ( Russia stops US on road to Afghanistan ) ( 自由経済の最先端を行く「無法諸国」(ペシャワール郊外の市場の例) )

 外部からアフガンへの補給路としては、カイバル峠経由のほかに、パキスタン南部からアフガン南部への道、イランからアフガン西部への道、そして前出のロシア側タジキスタンからアムダリヤを渡る道がある。だが、アフガン南部はタリバンの巣窟であり、イランは米国の敵、そしてロシアも米国の敵であるため、NATOはカイバル峠しか補給路がなかった。

 米軍は、アフガン側だけでなくパキスタン側でもタリバン掃討と称して空爆を繰り返し、誤爆で一般市民が殺される事件が相次いだ結果、パキスタンの国民感情は反米化している。パキスタンは米欧のアフガン占領にとって大事な後方地域なのに、未必の故意的なひどい誤爆で、その国民を激怒させる間抜けで自滅的な米軍の戦略は、大統領がオバマに代わっても相変わらず続けられている。 ( President Obama Orders Pakistan Drone Attacks )

▼世界を揺るがす峠の山賊

 カイバル峠の通行が困難になり、パキスタンが反米化する中で、米欧はアフガンへの物資搬入をロシア・中央アジア経由でやらざるを得なくなっている。ロシアは昨春のNATOサミットで、ロシア経由の物資搬入に同意していたが、それはNATOがロシア敵視の姿勢をやめることが条件だった。グルジアやウクライナといったロシア近傍の諸国を反露親米にしておく戦略から脱せられない米英は、ロシア経由ルートを使うことを見送ってきた。 ( 米露の接近、英の孤立(2) ) ( Russia Offers Aid on Afghanistan - With Strings )

 しかしパキスタンの状況が悪化し、アフガンでもタリバンの再台頭が著しく、昼間は米欧軍が支配するが夜はタリバンが支配するという、ベトナム戦争末期的な状態になった地域が拡大している。米欧軍が体勢を立て直すには、新しい補給路の確保が不可欠だ。そこで米中枢では最近、ロシアとの関係見直しにつながるような動きが出てきた。 ( As Violence Spirals, US Poised to Pour 20,000 More Troops Into Southern Afghanistan ) ( Mullen: Afghanistan Is Not Vietnam - Its Even More Complex

 オバマ就任の日には、米軍司令官が「ロシアは、アフガンへの米軍物資の輸送を了承している」と述べ、ロシア経由の物資搬入に意欲を見せた。 ( Petraeus: US Has Permission to Use Russian Land Route for Afghan Supplies ) ( US Secures New Routes for Supplies to Afghanistan )

 2月3日には、カイバルの峠道にかかる橋がゲリラによって爆破され、峠道が通行不能になった。この爆破は、単発の事件として見ると、昨年から続いているタリバン系ゲリラによる峠道襲撃の一例にすぎないが、同時期に起きた他の事件と組み合わせると、アフガンをめぐる米露逆転劇(ないしは多極化謀略)の本格開始を意味する「号砲」とも感じられる。 ( Afghan supplies, Russian demands )

 翌2月4日には、中央アジア地域で唯一の米軍基地であるキルギスタンのマナス空港について、キルギス政府が米国に基地としての使用停止を求める決定を下した。マナス基地は、米国が02年にアフガン侵攻する際、後方支援基地としてキルギス政府から借りたが、基地設置は「テロ戦争」を口実に米国がロシアの「裏庭」に軍事進出してきたことを意味した。 ( Kyrgyzstan moves to shut US base )

 ロシアは強い脅威を感じ、米国の方が強かったので黙っていたものの、その後、中央アジアに影響力を持つもう一つの大国である中国との関係が、上海協力機構の組織的進展などを通じて緊密化したことを活用し、マナス基地に象徴される中央アジアへの米国の進出を中露協調で潰す戦略を開始、キルギス政府に影響力を行使し、キルギスは中露側に傾いた。そして今回、米国がアフガンで占領の泥沼に陥り、ロシア・中央アジア経由の輸送路利用が不可欠になった弱みを突いて、中露と謀ったキルギス政府は、米国にマナス基地の使用停止を通告した。

 アフガニスタンでタリバンが米欧を追い出して強くなりすぎると、中央アジアやロシアにイスラム過激派の運動を輸出しかねない。ロシア自身、米欧のアフガン占領がベトナム的に崩壊するのは見たくない。しかし、昨夏のグルジア戦争のように、米英がロシア周辺国の反露勢力をけしかけて代理戦争させるのはやめさせたい。そこで「物資搬入は手伝うが、その代わりロシアの影響圏設定を邪魔するな」と言うことにした。 ( Russia allows transit of US military supplies )

▼グルジアが悪者になったのを利用して・・・

 ロシアは、アフガン補給路問題で米国が自国に頼らざるを得ない状況になったと見るや、あらゆる方面で、かねてからやりたかった拡大路線を突っ走り始めている。 ( Russia rattles sabres in Obama's direction )

 昨夏のグルジア戦争は、グルジア側が先にロシア軍を攻撃したことが確定し、グルジアが悪いということになっている(反露プロパガンダがいまだに強い日本のマスコミはきちんと報じていないが、欧州ではすでにそのような善悪が確定している)。この状態を利用し、ロシアは昨夏以来、グルジア領だったが住民がロシアへの併合を望んでいるアブハジアと南オセチアに軍隊を駐屯させ、グルジアからの独立を宣言した地元住民による2地域の政府を支援してきた。 ( 米に乗せられたグルジアの惨敗 )

 ロシアは、米欧の反対に一応留意して、これらの政府を正式に国家承認していなかったが、1月末、2地域の政府を正式に国家として認め、外交関係を樹立した。そして2月3日には、ロシアが2地域の地上軍駐屯地を恒久的な基地に格上げし、ソ連時代の空軍基地を再開し、黒海に面したアブハジアに軍港を作る計画がロシアのメディアにリークされた。EUは一応、ロシアに抗議したが、米政府は何も反応していない。 ( Russia Seals Recognition of Georgia Breakaways ) ( EU Warns Russia on Increased Military Presence in Georgian Regions )

 欧州諸国は、口ではロシアを警戒するようなことを言っているが、実際には、ロシアの拡張主義を容認し、逆にNATOに入りたがっている反露的なグルジアやウクライナを疎遠にしたり、反露姿勢をやめさせようと圧力をかけている。独仏主導のEUは、域内で最も反露的なポーランドに対しても、ロシアと仲良くするよう説得している。 ( Georgia Fading On EU, NATO Radar Screens ) ( Poland to Meet on Missile Shield, Boosting Relations With Russia )

 2月初旬には、ロシアと周辺国で作る集団安保機構であるCSTOが、NATOに対抗して有事の際に即応できる合同軍的な軍事組織を作ることを決めた。この組織作りは事実上、CSTO加盟国である中央アジア諸国やアルメニア、ベラルーシで親米政権への転覆が起きたり、欧米側と軍事的ないざこざが起きたら、ロシアが軍事的な介入を行うというロシアの意志表示であり、CSTO諸国はその掟を了承したという、事実上のソ連復活の動きの一つである。 ( Russia helps create NATO rival force ) ( Russia, allies to build air defense umbrella )

▼一気に吹き出るロシアの拡張策

 ロシアはまた、昨今のどさくさ紛れに、世界的な海軍力の拡張にも積極的だ。黒海に拠点を持つロシア海軍は、黒海の外にある地中海、そしてスエズ運河を越えたインド洋に関心がある。ロシアは最近、地中海に面したリビアとシリア、そしてインド洋に面したイエメンに、海軍基地を設置することを相手国との間で決めた。リビアもシリアもイエメンもイスラム教国であり、911以来、米国から敵視されがちだっただけに、ロシアからの申し出を受け入れた。 ( Russia Plans Navy Bases in Libya, Syria, Yemen: Report )

 インド洋では2月上旬、ソマリア沖の海賊退治で合同作戦を組んだついでに、という口実で、ロシア海軍とインド海軍の合同軍事演習が行われている。インド洋は従来「米英の海」だったが、ロシアとしては「アフガンで助けてやるんだから、これぐらい良いだろ」と言いたげである。 ( Russia anchors ties with India )

 インド洋は、ロシアが革命前から出ていきたかった「南の海」であるが、ロシアは国土の反対側の「北の海」でも拡張主義を発揮している。独シュピーゲル誌は最近、ロシアが昨秋以来、北極圏でさかんに資源探査などの活動を行っており、ノルウェーなど北極圏の他の国々が懸念していることを書いた。 ( Russia Unveils Aggressive Arctic Plans )

 先日開かれた世界的な国際経済人会議であるダボス会議でも、ロシアのプーチン大統領は、中国の温家宝首相を横に置いて「(米国の)単独覇権の世界体制は、金融危機とともに、不可逆的に終わった。一国(米)だけが紙幣(ドル)を刷って消費し、他の地域大国(中国)が安価で製造して他国通貨(ドル)を貯金するという世界成長システムは大打撃を受けている」と、米国覇権の終わりを宣言した。 ( Putin and Wen take west to task )

 昨今の国際金融危機の影響で経済難となっているのは、米欧だけでなく、ロシアも同じだ。ロシア極東地域などで、国内産業保護のための増税に反対する反政府デモが、依然として続いている。経済政策に詳しいメドベージェフ大統領が、公的な発言の中で、実質的な独裁者であるプーチン大統領のやり方をやんわり批判する場面もあり、経済難の影響でロシア中枢が不安定化しているとの指摘がある。オバマ大統領は就任後、メドベージェフとは電話で話したがプーチンとは話しておらず、これがオバマの姿勢を表しているとの指摘もある。 ( Putin Faces Signs of Mutiny in Own Government as Protests Break Out in East ) ( Medvedev Stepping Out From Putin's Shadow )

 今後、不況の影響で原油ガスの国際価格が再び下がったままになったら、ロシアの政局が混乱するかもしれない。世界は、ドルや米国債の崩壊感が強まって原油が高騰し、覇権多極化が進展するのか、原油安でロシア(やイラン、ベネズエラ)が崩壊して米英中心体制が維持されるのかという、覇権の分岐点にさしかかっている。

▼ロシアと同根の北朝鮮の強気策

 米露関係の転換は、東アジアにも影響を与えている。北朝鮮の金正日政権はロシアと同様、米国の立場が弱くなり、オバマ新政権が明確な北朝鮮政策を打ち出せない状況を利用して、好戦的な勇ましい言動を繰り返している。韓国との関係を断絶するとか、韓国との戦争が近いなどと表明したり、テポドン2ミサイルの発射を準備して見せたりといった言動である。その一方で、援助をくれたら、中断している核施設の廃棄作業を再開すると表明して「本心」も見せている。

 韓国も米国も、今のところ北の言動を無視している。米国は今後、北朝鮮の問題を中国に任せる姿勢を強め、中国に6者協議を再開させるべく圧力をかけるかもしれない。その方法が、米国にとって一番手っ取り早いからである。

 東アジアで気になるもう一つのことは、米国の立場が弱くなり、ロシアの台頭感が強まる中で、日本の対露政策が不変なままでいられるかどうかである。麻生首相は、2月7日の「北方領土の日」に、ロシアとの関係改善について意欲を見せたが、政府内いまだに対米従属一本槍派が多いようで、多極化に呼応した日本の国是修正ができる可能性はまだ低い。

 米露関係をめぐる話題は、最近たくさんあって書き切れない。アフガニスタンの戦略をめぐる話、イラン問題とアフガン情勢の関係なども興味深いが書き切れなかった。すでに今回の記事も長文化しているので、この件については改めて書く。
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