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ガザで何が起きているの
2009年1月28日
http://www.asahi.com/kids/janken/TKY200901280190.html
ケン：ガザというところへの攻撃が、ひとまずやんだみたいだね。
ジャン：でも、子どもたちもたくさん犠牲になったんでしょ。
安東記者：パレスチナ自治区のガザのことだね。イスラエルが、約３週間にわたり攻撃した。１９日にイスラエルが停戦を宣言して、軍も引きあげ始めているようだけど、停戦が長続きするか危ぶまれている。
●イスラエルが 週間攻撃 市民に犠牲者
◆ユダヤとパレスチナの長い対立
◆ハマス標的でも子ども多数死亡
◆停戦が続くかまだ目が離せない
ケン：ガザって、どんなところ？
安東記者：地中海に面した小さな土地で、面積は約３６０平方キロメートル。東京２３区の半分ちょっとくらいしかない。そこに、１５０万ものパレスチナ人が住んでいる。２００８年暮れからのイスラエルの攻撃で、亡くなった人は１３００人を超した。子どもも４００人以上ふくまれている。たくさんの人が家をなくし、けがをした人も満足な治療が受けられない。水も食料も不足している。国際的な支援が必要だ。
ジャン：戦いのきっかけは何だったの？
安東記者：イスラエルとガザの間では前から戦闘が続いていた。両者の間で０８年６月から半年間の停戦が合意されたんだけど、ハマスは１２月１８日に停戦の終わりを宣言。イスラエルは２７日から、大規模な攻撃を始めた。イスラエルは、ガザからロケット弾で先に攻撃してきたので反撃したと言う。一方のガザ側は、イスラエルが先に攻撃したと言っている。
ケン：イスラエルってどんな国なの？
安東記者：２０００年以上前、この一帯にはユダヤ人の国があった。でも、その国が滅ぼされてユダヤ人は世界にちらばった。その後、主にイスラム教を信じるアラブ人が住むようになり、一帯はパレスチナと呼ばれた。ユダヤ人は世界各地で差別され、第二次世界大戦では、ナチスドイツによって６００万の人が殺された。「自分たちの国をつくろう」という運動が起き、１９４８年にイスラエルという国をつくったんだ。
ジャン：じゃあ、パレスチナの人はどうなったの？
安東記者：たくさんのアラブ人が追い出されて難民となり、彼らはパレスチナ人と呼ばれるようになった。６０年後の今も難民は４４０万人を超し、多くがガザとヨルダン川西岸に住んでいる。パレスチナ人は「自分たちの土地を取りもどそう」と、武器をとって戦いを始めたんだ。
ケン：長い争いの歴史があるんだね。
安東記者：１９９３年に、パレスチナ人はイスラエルの国を認め、かわりにヨルダン川西岸とガザを将来、パレスチナ人の国にすることで互いに合意した。でもユダヤ教とイスラム教がともに聖地とするエルサレムがどちらに属するか、難民がもとの場所にもどれるのかなど、難しい問題が残る。
ジャン：イスラエルはなぜガザだけを攻めたの？
安東記者：０６年に自治区の議会選挙のときに、「ハマス」という組織が勝った。ハマスはイスラエルの国を認めず、占領への抵抗だといって、９０年代から自爆テロやロケット弾でイスラエルを攻撃していた。一方で、学校や病院をつくってまずしい人たちを助ける活動をしていて、パレスチナの人たちには人気があるんだ。イスラエルはガザを拠点にするハマスをつぶそうとして攻撃した。でも、完全にはつぶせなかったみたいだ。
ポン：じゃあ、まだ戦いは終わらないの？
安東記者：戦争の前からイスラエルは、ハマスが武器を密輸しないようにという理由で、ガザへの道をすべて通せんぼした。そのため電気や水、食料も足りなくて、ガザの人たちは苦しんでいる。イスラエルは、攻撃してくるハマスだけを狙っているというけど、犠牲者の七割が普通の人で、子どもの犠牲は２割を超すというデータもある。パレスチナの人たちの怒りは、簡単にはおさまらないだろうね。
ジャン：日本は、どうしたらいいの？
安東記者：双方が平和に話し合いを進めるように、世界の国々が協力して働きかけていくことが大切だ。
●きょうのポイント
▼パレスチナ自治区のガザをイスラエルが攻撃し、１３００人あまりが亡くなった。攻撃は一時やんだが、まだ目がはなせない。
▼イスラエルとパレスチナの人たちの争いには、この地をめぐる長い歴史や宗教もからむ。
▼争いがなくなるよう、世界の国々が働きかけていくことが大切。
記者：安東建記者（朝日新聞外交・国際グループ）
提供：朝日学生新聞社
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