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やはり気温は上がっている 新たな解析によって温暖化が裏付けられた(日系サイエンス)
気候変動をめぐる議論の要(かなめ)であると同時に長年の争点でもあるのが,“ホッケースティック曲線”だ。過去2000年間にわたる北半球の平均気温の変化を示したこのグラフは19世紀まではあまり変化がなく平坦だが,20世紀から急激に上昇し,ブレードを上向きにしたホッケースティックのような形になる。地球温暖化を疑う人たちは過去の気温の推定法について公然と批判を続けてきたが,まったく異なる方法に基づいて過去600年間の気温を再現した最近の研究でも,同様の結果になった。これで懐疑派の長年の疑念も解消するかもしれない。 ホッケースティック曲線は1998年,現在はペンシルベニア州立大学に所属するマン(Michael Mann)らの研究のおかげで生まれた(その後,多くの気象科学者による改良でより精緻なものになっている)過去の気温を特定するのは難しい。樹木の年輪やサンゴ礁の掘削試料,氷床コアなど自然に残されている記録から得られた情報を組み合わせ,特定の時代と場所の気温に読み替えなければならない。これらの試料はまれだったり不完全だったりするので,地理的にも時期的にもカバーできない部分が残る。 マンは近代の気温近似試料と温度計などによる観測データの両方がそろっている重複部分をもとに,観測値と近似試料が示す気温の関係を推定した。この関係を昔の近似試料に数学的に外挿して,過去の気温を計算するという方法だ(素顔の科学者たち「マイケル・マン 人類による地球温暖化に警鐘」日経サイエンス2005年6月号参照)。 今回新たな方法を開発したハーバード大学のティングレイ(Martin Tingley)は,新アプローチは「はるかに扱いやすく,不確実性を伝播しやすい」という。これは誤差が広がりやすいという意味ではなく,データが本来含んでいる不確実性が過去の気温の推定値にどう影響するかを計算しやすいということだ。新方法は降水量や干ばつなど気象科学の他の問題にも応用できるほか,大気中の二酸化炭素の増加率を仮定して将来の気温を予測することも可能。研究成果は指導教官のホイバース(Peter Huybers)との共著論文としてJournal of Climate誌に提出された。 マンも期待を寄せるこの新方法は,気温近似試料が周辺の試料,つまり近くの別の地点で採取された試料や,同じ場所だが採取時期が前後数年ほど異なる試料と相関していると仮定する。例えば20世紀に測定された気温のデータを見ると,近隣地点の気温の相関関係は距離とともに指数関数的に弱まり,その“半減距離”は4000kmほどになるようだ(半減距離は半減期の概念の距離版で,この場合は4000km離れると相関の強さが半減するという意味)。 ペイズ統計の手法を適用 ティングレイは近似試料が示す気温の値と実際の気温が単純な線形関係にあると仮定した。そして近似試料の値と観測値(その両方が残っているケースを利用する)に「ベイズ統計」という手法を適用することで,両者に仮定したその線形関係を決定した。ベイズ統計的にいうと,「人手できた一連の観測値に基づいて,ある推定気温値が過去においてどれだけ妥当だったかを見積もった」とホイバースは説明する。 やはりホッケースティック型 ティンプレイはまず,北緯45〜85度で採取された近似試料が示す過去600年についてのデータに絞って解析し,結果を2009年の学会で発表した。その結果,過去600年のうち最も気温が高かった10年間は1990年代で,最も暑い年は1995年だったことがわかった(北米とグリーンランドが最も暑かった年はエルニーニョの1998年だが,ユーラシア北部ではそう暑くなかった)。また,温暖化が最も急激に進んだのは20世紀であること,気温変化が最も急だったのは1600年代だったこともわかった(1600年代はいわゆる小氷河期のため温暖化ではなく急激に寒冷化した。今回,以前の推定よりも寒冷化が急だったことが新たに判明した)。 |