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世界ランキング1位として「プレミア12」初代王者を狙っていた日本代表だったが、準決勝で韓国にまさかの敗戦を喫してしまった。小久保裕紀監督は「継投ミス」と自らの失敗を敗因に挙げたが、それだけではない。正捕手の不在もまた、日本代表の課題として浮き彫りになった大会だった。2017年に開催される第4回WBCに向け「日本代表の正捕手」をどう育てていけばいいのだろうか。第1回WBCで日本代表の正捕手を務め、チームを世界一に導いた里崎智也氏に話をうかがった。
メジャースカウト直撃。侍ジャパン「ほしい選手、いらない選手」
日本代表になって、初めてボールを受ける投手もいます。まずはその投手がどんな変化球を投げるのか、その変化球はどのような曲がり方をするのかを覚えることから始まります。リードに関しては、各チームのエースが揃っているわけですから、そのピッチャーが気持ちよく投げられるようにすればいいんです。三振を取りたい投手もいれば、少ない球数で抑えたい投手もいる。それぞれが納得する打ち取り方ってあるんです。それをマウンドでの仕草や表情、首の振り方などから「気分よく投げているな」とか「本当はこのボールを投げたくなかったんじゃないか」というのを感じとることが大事なんです。
今回、「プレミア12」が始まる前、嶋基宏(楽天)に「相手の情報を必要以上に入れるな」とアドバイスしました。世界を相手にした時に無駄な情報をインプットしてはダメだからです。たとえば、メジャーで何百本のホームランを打っているとか。その情報があることによって、「インコースに詰まっているけど、メジャーで何百本も打っているからそのコースはやめておこう」となってしまう。
データと自分の感性が真逆になった時は、感性を信じた方が絶対にいい。06年のWBCの時は、データはほとんどありませんでした。バッターの反応を見てリードしていました。「タイミングの取り方が遅いから速い球は打てない」とか、「タイミングの取り方が早いから変化球でいった方がいい」とか。あとはバットの出方を見て、ボールを決めていました。
今でも覚えているのが、第2ラウンドのメキシコ戦で松坂大輔に8球連続してインコースを投げさせたことです。周りはその打者の情報を知っているから「やられるぞ」と思っていたはずです。でも僕は、その打者の構え、バットの出し方を見て、「絶対にインコースは打たれない」という自信がありました。
もちろん、データは必要ですよ。家でたとえるなら基礎ですから。そこはしっかり作る。その上に自分の感性で柱をどれだけ建てられるのかが重要になってきます。で、その家が崩れたら基礎に戻ればいい。これが基礎だけで勝負していると、崩れた時に帰る場所がなくなってしまう。自分の感性でやって、データは困った時の逃げ道ですよね。
これまで日本代表は3度のWBCに出場したが、06年は里崎氏、09年は城島健司氏、そして13年は阿部慎之助と、絶対的な捕手が存在していた。しかし、今回のプレミア12では嶋、炭谷銀仁朗(西武)、中村悠平(ヤクルト)の3人が日本代表に選出されたが、先発マスクは嶋が5試合、炭谷が3試合。要するに、今回の日本代表には絶対的な捕手がいなかったということだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151124-00010010-sportiva-base
もちろん、捕手は固定した方が望ましいんですけど、それができない場合は少なくともバッテリーだけは決めた方がいい。投手もキャッチャーがコロコロ代わってしまうのはやりにくいと思います。
ただ、捕手を固定できない理由は打てないからなんです。これまでWBCで正捕手を務めた私、城島、阿部の3人はそれなりに打撃でも結果を残しました。だから使われたんです。それだけです。
そういう意味で、今回の3人は物足りないですよね。プレミア12もそうでしたが、シーズンでも打率は2割5分に届かず、ホームランも1ケタ。彼らに限らず、今は本当に打てる捕手がいなくなったと感じます。
僕が捕手を評価する時の優先順位は、「打てる」ことが一番です。もちろん、「捕る」「止める」「投げる」ことが一軍レベルにあるということが大前提にありますけど。これまで名捕手と言われた野村克也さんや田淵幸一さん、古田敦也さん、谷繁元信さんなど、みんな打っていましたよね。
よく捕手はリードが大事だと言われますが、それ自体、定義がないですから良いも悪いもないと思うんです。すべては結果なんです。勝てば官軍、負ければボロカス(笑)。勝てるチーム、強いチームにいるのが、いい捕手ということになるんです。
ただ、誤解してほしくないのは、先程リードに定義はないと言いましたが、配球を考える上で必要不可欠なものはあります。
たとえば、同リーグの対戦相手は5球団ですよね。野手は1チーム13〜14人ぐらいですから5×14で70人。今は交流戦もあるので、レギュラークラス9人と6球団で54人。合わせると大体120人ぐらいですね。この選手たちの長所、短所、カウント別傾向、打球方向、左右投手に対しての傾向など、これらを100%とは言わないけど、最低でも80%ぐらいは頭の中に入っていなければいけない。残りの20%はメモを見ればいいんです。これがあって、初めて打者と駆け引きができるわけです。
打者との対決は、すべて駆け引きなんですよ。速い球を狙っているのか、変化球を狙っているのか、引っ張ろうとしているのか、逆方向に打とうとしているのか。そうした情報が毎試合、毎打席、アップデートされていくわけですよね。その積み重ねがリードに生かされるわけです。
とはいえ、どれだけ勉強して、どれだけ考えたリードをしても、勝たなければ評価されません。その点、バッティングは勝とうが、負けようが、打てば評価されるわけです。
ただ、僕は捕手としては打てると言われていただけで、実際、サードだったら物足りない数字だったと思います。もともと、捕手は打撃の評価が低いのですが、今は「しっかり守ってくれればいいよ」くらいのレベルになっているような気がします。これが悪循環になっているのか、誰も打たないから他の選手も変に安心している。もし打てる捕手が何人か出てくれば、変わってくると思いますよ。打てないと、ベストナインなどの賞にも絡めなくなるので……。
これだけ打てる捕手がいなくなった背景には、コンバートがあると思うんです。守備は一軍レベルに届いてないけど、バッティングは魅力的だから使いたい。捕手として育てたいという理想はあっても、負けが続いてしまうとそれができなくなる。要するに、監督は勝つことを求められますから、試合で鍛えるということができなくなるんですよね。捕手として使うのなら、二軍でスキルを身につけるのがいいのですが、その我慢もできない。結局、コンバートさせるのが手っ取り早くなってしまうんですよね。
近藤健介(日本ハム)や岡島豪郎(楽天)、遡(さかのぼ)れば、和田一浩さんや小笠原道大さん、山崎武司さんなど、打てる捕手になれる逸材はいっぱいいたんです。でも、みんな捕手として一人前になる前にコンバートされてしまった。森友哉(西武)もこの先、捕手としてやっていくかわかりません。彼のような選手を捕手として育てることがチームとしてというより、日本球界の使命だと思うんですよね。本人にやる気があれば、まだまだ間に合うと思います。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151124-00010010-sportiva-base&p=3
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151124-00010010-sportiva-base&p=2
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