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ヤンキースの田中将大投手とレンジャーズのダルビッシュ有投手は今季、サイ・ヤング賞候補に挙がる活躍を見せているが、同じア・リーグのマリナーズでコーチを務める往年の名打者が日本の誇るエース2人を比較し、田中に軍配を上げている。地元紙「ニューヨーク・ポスト」が「満場一致! タナカがリーグでダントツ」という見出しで特集している。
往年の名打者は「彼(田中)はこのリーグでダントツ」
ヤンキースの田中将大投手とレンジャーズのダルビッシュ有投手は今季、サイ・ヤング賞候補に挙がる活躍を見せているが、同じア・リーグのマリナーズでコーチを務める往年の名打者が日本の誇るエース2人を比較し、田中に軍配を上げている。地元紙「ニューヨーク・ポスト」が「満場一致! タナカがリーグでダントツ」という見出しで特集している。
この特集記事で2人を比較しているのは、今季からマリナーズで一塁コーチを務めているアンディ・バンスライク氏だ。現役時代にはカージナルス、パイレーツ、オリオールズ、フィリーズで活躍。オールスターに3度出場し、5度のゴールドグラブ賞、2度のシルバースラッガー賞に輝いた。当時、リーグ最強の外野手と呼ばれたかつての名手は、一塁コーチボックスから2人のエースに注目している。
「彼(田中)はこのリーグでダントツだね。ボールに関してはダルビッシュより上。コントロールもダルビッシュよりいい。ダルビッシュよりもうまく走者を抑える(走らせない)。守備もダルビッシュよりもいい。契約金も上だな」
同氏は6月11日のマリナーズ戦で田中が完投勝利を飾った翌日、同紙にこう語ったという。この試合で4-2での勝利に貢献し、今季10勝目を挙げた田中だが、9回1死まで無失点だった。四球はわずか1で11三振を奪った圧巻のピッチングだっただけに、バンスライク氏の評価はダルビッシュよりも田中に傾いたのかもしれない。
ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは「彼はとにかくアメイジングだ。我々の予想を全て上回っている。彼は特別なんだ。日本時代と同じレベルでのピッチングを続けている。感謝しかないよ」と賞賛している。
田中は今季10勝1敗で、防御率は2・02。いずれもア・リーグトップの成績だ。93回2/3を投げ、103奪三振。記事では「オールスター、最優秀新人、サイ・ヤング賞の議論の的となっている」と報じている。その一方で、ダルビッシュの数字も7勝2敗、防御率2・11で「実に感銘的だ」としている。
http://full-count.jp/2014/06/17/post3086/
アスレチックス打撃コーチは「どちらもとてもいいピッチャー」
バンスライク氏以外に、2人のエースを比較しているのはアスレチックスの打撃コーチ、チリ・デービス氏だ。現役時代ヤンキースで2度ワールドシリーズを制覇した同氏は「2人を比較した場合、タナカの方がダルビッシュよりもストライクを投げるという部分で少しばかり恐れ知らず、と言える。ダルビッシュは彼の速球以外により頼る部分があるが、タナカはファストボールで押してくる。タナカはダルビッシュよりもファストボールを使ってくる。でも、どちらもとてもいいピッチャーだね」
ア・リーグ首位と好調のアスレチックス打線はダルビッシュの天敵としても知られている。アスレチックス戦ではメジャーで通算9試合に先発し、1勝7敗で防御率4・73と苦しんでいる。それだけに、同紙に語ったデービス氏の分析は実に興味深い。
記事では田中のヤンキース入団前のスカウトの評価を照らし合わせて、現在の2人の球種を比較。「田中はダルビッシュほどの速球を持っていないとスカウトに言われていたが、PITCHf/x(投球の速度や軌道を追跡するスピード測定器システム)によると、ダルビッシュのフォーシームは94マイル(約151キロ)。一方、田中は93マイル(約150キロ)で、ダルビッシュが少しだけ上回っている。田中の決め球であるスプリットは87マイル(約140キロ)で、ダルビッシュのスライダーは82マイル(約132キロ)。ダルビッシュはメジャー1年目の2012年以降、スプリットをあまり投げていない」と比較している。ダルビッシュのスプリットは93マイル(約150キロ)に達することもある驚異的なボールで、いとも簡単に打者から空振りを奪うが、確かに試合で使う割合は少ない。
そして、記事の中で最後に登場するのはマリナーズのロイド・マクレンドン監督だ。球速に関してはダルビッシュに軍配を上げながら、田中のコントロールを高く評価しているという。「私を感心させるのは彼の制球力だね。田中は(球威で)圧倒するわけではないのだが、全てのボールを思ったところに投げている」と話している。
この記事の筆者は、ニューヨーク・ポスト紙の名物記者であるジョージ・キング三世。ヤンキースを長年見続けている番記者だけに、ヤンキースで孤軍奮闘を続ける田中の評価がダルビッシュよりも高いという証言が多く集まったのかもしれない。ただ、この比較は日本人のエース2人がいかにメジャーでその実力を認知されているかという事実を証明している。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count
http://full-count.jp/2014/06/17/post3086/2/
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