http://www.asyura2.com/09/sports01/msg/490.html
Tweet |
気になるシーンがあったベラルーシ戦
日本代表が0対1で敗れたベラルーシ代表戦を見ていて、非常に気になるシーンがあった。
FWハーフナー・マイク(フィテッセ)が投入された後半40分以降、アルベルト・ザッケローニ監督がタッチライン際で何度も大きなゼスチャーを見せていた点だ。派手なボディーランゲージから伝わってくる選手たちへの指示は明確だった。
「ハーフナーへクロスを上げろ」
しかし、身長194cmのハーフナーの高さは、最後まで生きることはなかった。というよりも、あえて生かそうとしない周囲の選手たちがいたと表現したほうがいいかもしれない。
ピッチ上の選手たちのプレーを見ていれば、彼らが何を狙っているのかはテレビ越しでもよく分かった。前線で孤立してしまったハーフナーが気の毒でならない。
日本代表の選手たちが狙っていたこととは、試合後にMF本田圭佑(CSKAモスクワ)が言及した「新しいこと」に集約されるだろう。ベラルーシ戦では、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)が最終ラインの前あたりの低い位置にまで何度も下がってきていた。
ときには本田が下がることもあったように、ポジションを流動的にしながら相手の隙を突いて、ボールを受けて、さばいて、あえて相手選手が密集している中央を崩そうという意図だったと思う。
.
ザッケローニ監督は「飾り物」
いままでのようにDF長友佑都(インテル)を中心とする左サイドに偏ってばかりいたら、来年のW杯で世界を驚かすことはできない。ならば、いまのうちに新しいことを試そうと選手たちが考えるのは、進歩を促す意味でも決して悪いことではない。
しかし、現状において危惧されるのは、ザッケローニ監督と選手たちとの間でしっかりとコミュニケーションが取れているのかどうかという点だ。
監督が新たな方向性を掲げ、その上で選手たちが話し合ってトライしているのならばまだいい。あくまでも私の憶測になるが、試合内容や試合後の選手たちコメントから外に伝わってくるのは、ザッケローニ監督という存在がどうしても「飾り物」に見えてしまう点だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131019-00000003-wordleafs-socc&p=1
ザックと選手の意図が大きくずれている
ハーフナーの高さを生かそうとしない点だけではない。FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)の相手の裏に抜ける能力が生かされない点も、ザッケローニ監督と選手たちの意図が大きくずれていることを物語っているように思えてならない。
ベラルーシ戦後には、セレッソのチームメイトであるMF山口螢がこんなコメントを残している。
「ボランチの選手がボールを持ったときに、曜一朗君は背後を取るような動き出しを何度もしている」
一方でMF遠藤保仁(ガンバ大阪)は「裏を取れない」と言っている。原因は何なのか。ただ単に前を見ていないのか。見ているけどタイミングが合わなくて縦パスを出せなかったのか。あるいは、タテ一発で素速く崩すサッカーを志向していないのか。
.
「俺たちはレギュラーだ」と勘違いしているのでは
遠藤クラスの選手ならば、柿谷の動き出しに合わせて長い縦パスを入れられる。となると、3番目の理由が働いていると思わざるを得ないだろう。
パスを回して相手を崩す。時間をかけて試合を支配する。そういうサッカーを志向するがゆえに、柿谷が最も生き、いまの日本代表に必要な攻撃パターンでもあるカウンターをよしとしないのではないか。
主力選手の大半はヨーロッパのクラブでプレーし、国内組の遠藤とDF今野泰幸(ガンバ大阪)も経験値が高い。そうしたある種の優越性が、勘違いに変わってきているように思えてならない。
オレたちは試合に出られる、オレたちはレギュラーだから、と。そもそも、日本代表の中にすでに座席があると信じて疑わないからこそ、「新しいこと」という考えが出てくるのではないだろうか。
その「新しいこと」にしても、おそらくはチーム全体で取り組んでいることではないだろう。試合に出られる一部選手だけが机上で考えてトライしているように映る点で、今後へ向けての不安は尽きない。
.
長くメンバーを固定した弊害
来年のW杯出場を決めた6月のオーストラリア代表戦あたりから感じてきたことだが、長くメンバーを固定して戦ってきた弊害がここにきて顕著になっていると言っても決して過言ではないだろう。
チームを成熟させるためには不動のメンバーで戦うことも必要だけれども、ザッケローニ監督の場合は、明らかに一線を超えてしまった感が否めない。今回のヨーロッパ遠征でも、2試合を通じて先発メンバーが同じだったことにも心底驚かされた。
チームマネジメントはザッケローニ監督の仕事となるが、もはや彼だけでは上手くいかない状況にあると言えるのではないか。ならば橋渡し役を誰が務めるのか。おそらく新しいコーチを入れることはないだろうし、現状の日本人スタッフにも残念ながら適役は見当たらない。
となれば、打開策はただひとつ。ザッケローニ監督と本田をはじめとする選手たちのどちらかが妥協することだ。両者の話し合いの中で、落としどころを見つけることだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131019-00000003-wordleafs-socc&p=2
この先も変わらなければチームは成り立たない
本田は誰もが認めるリーダーであり、これまでも周囲の高い期待に応えてきたし、ベラルーシ戦後にコメントしていたように、これからもぶれることなく日本代表をけん引しようとするだろう。
ただ、ぶれない、イコール、意固地にはなってほしくない。現状を見る限り、本田が意固地になりかけていると映ってしまうからこそ、あえてこのようなメッセージを送りたい。
今回の欧州遠征で内容を伴わない試合が2つも続き、この先も変わらないようであれば、W杯本大会を前にしてチームの体をなさなくなってしまうおそれがあるからだ。
(文責・水沼貴史/構成・藤江直人)
水沼貴史(みずぬま・たかし)
1960年5月28日、埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。53歳。浦和市立南高から法政大を経て、1983年に日産自動車(現横浜F・マリノス)入り。切れ味鋭いドリブルを武器とする攻撃的MFとして木村和司らとともに日産自動車の黄金期を支え、当時低迷していた日本サッカー界の人気者となった。Jリーグ3年目の1995年に現役を引退した後は解説者として活躍。2006年にはマリノスのコーチおよび監督を務める。日本代表では32試合で7得点。長男・宏太はJ1サガン鳥栖で活躍中。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131019-00000003-wordleafs-socc&p=3
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。