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◆秋季高校野球全道大会 ▽決勝 駒大苫小牧３―２札幌大谷（１３日・札幌円山） 駒大苫小牧が８年ぶり４度目の優勝を決めた。初出場の札幌大谷に３―２で勝利、来春のセンバツ甲子園（３月２１日開幕）出場を確実にした。２―２の８回１死一、三塁、左犠飛で勝ち越し。２００４年夏、同校が北海道勢初の全国制覇を成し遂げた時の主将だった佐々木孝介監督（２６）が就任５年目で優勝を勝ち取った。チームは北海道地区代表として、明治神宮野球大会（１１月１６日開幕）に出場する。
降り続いていた雨が一瞬、やんだ。雲の切れ間から駒大苫小牧ナインの優勝を祝福するかのように、西日が差し込んだ。人さし指を天高く突き上げる“駒苫ポーズ”が、８年ぶり４度目の頂点に立ったナインの思いを物語っていた。喜びをかみしめ校歌を歌う選手。佐々木監督の涙がほおをつたった。
初回、いきなり失策が絡み、先取点を奪われた。それでも３回に同点に追いつくと、４回に勝ち越し。８回表に２―２とされたが、直後の８回裏。安打と四球などで１死一、三塁とすると、６番・新山敬太捕手（２年）の打球がレフトやや浅めに上がった。「思い切って行けと伝えてあった」と佐々木監督。三塁走者・伊藤優希中堅手（２年）は迷わずタッチアップし、本塁を陥れた。
０４年夏、同校の主将として道勢初の全国制覇を成し遂げた佐々木監督は０９年秋、指揮官に就任。同年秋季全道大会で４強入りと、まずまずの成績で監督生活をスタートさせた。しかし１１年夏、１２年秋、１３年夏の道大会決勝戦。甲子園出場がかかった３度のすべての試合で敗れるなど、聖地の土を踏めずに丸４年が経過した。「頭がめちゃくちゃになった。３年生に申し訳なかったし、苦しかった」と指揮官は１３年夏の決勝で、北照に敗れた時の心境を明かした。試合後の控室では、ナインの前で悔し涙が止まらなかった。
翌日の新チーム始動日に佐々木監督は決意した。「負けない、最強のチームをつくる」。そのために変わらなければいけないのは、選手ではなく自分だった。これまで試合では一歩引き、冷静なふりをして試合を見守っていた。「球場の雰囲気と融合していなかった。これからは、はっちゃけてやるしかない」。選手と同じように声を張り上げ、得点が入ればともに喜んだ。伊藤優は「今まで以上に監督と一緒に戦っているという気持ちになった」と話す。
采配についても「これまでは調子の良い投手と心中のような形になって負けていたが、（今秋から）だめだと思ったらすぐ代えられるようになった。少しは周りが見えるようになったのかな」。迷いのない采配も指揮官の成長の証しだった。
０５年以来のセンバツ出場を確実なものにした。「もう一度、足元を見直してやっていきたい」と佐々木監督は先を見据えた。０４年夏（８月２２日）、道勢初Ｖで感動を呼んだあの日から３３３９日。若き青年監督が率いる駒大苫小牧が、新たな歴史を刻むべく、まい進していく。
◆駒苫と甲子園
▽１９６６年夏 南大会初出場で初優勝し春夏合わせ初の甲子園出場。１回戦で横浜一商（神奈川）に３―１３で敗退。
▽２００１年夏 ３５年ぶり２度目の出場。松山商（愛媛）に６―７で敗退。
▽２００３年春 センバツ初出場も１―２で藤代（茨城）に敗退。
▽２００３年夏 倉敷工（岡山）との１回戦で８―０でリードも４回裏２死で雨天中止。再試合では２―５で敗退した。
▽２００４年夏 現監督の佐々木主将らが出場。初戦２回戦で佐世保実（長崎）に７―３で勝利し甲子園初勝利。３回戦で日大三（東京）、準々決勝では横浜（神奈川）を撃破し決勝に進むと済美（愛媛）を１３―１０を破り道勢初優勝。
▽２００５年夏 現楽天の田中将大投手らを擁し５７年ぶり６校目の夏の甲子園連覇を達成。
▽２００６年春 不祥事により出場辞退。
▽２００６年夏 エース田中で３年連続で決勝進出。７３年ぶり史上２校目の３連覇を狙った。現日本ハム・斎藤佑樹投手の早実との決勝では大会史上３７年ぶり２度目となる再試合の末、準優勝に終わる。
▽２００７年夏 １回戦で広陵（広島）に４―５で敗退。
◆佐々木 孝介（ささき・こうすけ）１９８７年１月１０日、余市町生まれ。２６歳。余市大川小３年から野球を始め、余市旭中時代は余市シニア（硬式）で全国大会も経験。駒大苫小牧では遊撃手として甲子園に春１回、夏２回出場。高３夏の０４年は主将として道勢初の全国制覇。駒大進学後は３年春から学生コーチに転身。０９年４月にコーチに就任し、同年秋から監督。１７７センチ。右投左打。
◆駒大苫小牧 １９６４年創立の私立共学校。普通科で、全校生徒は７０９人（女子２９７人）。野球部も６４年創部。現在の部員は６０人。甲子園には過去、春２度、夏７度出場。卒業生に田中将大（プロ野球・楽天）、橋本聖子（国会議員、スピードスケート・自転車の元五輪選手）、田畑真紀（スピードスケート選手）ら。所在地は苫小牧市美園町１丁目９の３。小玉章紀校長。
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