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追悼:阪神のエース、熱投の背番号19 小林繁
http://www.asyura2.com/09/sports01/msg/197.html
投稿者 まりお 日時 2010 年 1 月 19 日 15:53:09: igp8wnzHgZSDs
 

【記事転載元:http://blog.livedoor.jp/bko443116/archives/1447571.html

“力投”とか“熱投”とか、本当の意味でそういった表現が一番似合うピッチャーだった。

この世に産まれて初めて出会ったエースピッチャーだった。
自分の記憶の中にある一番カッコいい阪神のエースだった。

その小林が逝った。

まだ57歳だった。
現役の投手コーチ(日ハム)だった。

「謹んでご冥福を…」とか、ありきたりの言葉はかけたくない。
ただ一言「本当にありがとうございました。」

それだけです。

それから、「小林さん」なんて敬称も付けたくない。
自分にとって、帽子を飛ばしながら甲子園のマウンドで踊っていたのは「小林」であり、「小林さん」ではないからだ。

昭和54年、自分が小学3年生だった。
掛布がいた。
真弓がいた。
若菜がいた。
ラインバックがいた。

そして、小林がいた。

江川との電撃トレードで巨人から移籍した1年目だった。

子供心に「かっこいいなぁ〜」と思った。
本当にカッコよかった。

空白の一日の記憶はかすかにしかない。
大人たちが野球のことで、江川のことで、なんかザワザワしてるな…程度だ。

しかし、阪神のエース小林繁の記憶は鮮明に脳裏に焼きついている。

まず、キリントマトジュースのCMキャラクターに起用され、小池屋酒店(本店)にもそのポスターが貼られていた。
それがまたカッコよかった。

当然、本当にカッコいいのは甲子園マウンドの上のことだ。
タテジマのユニフォームで帽子を飛ばしながら投げた。汗を飛ばしながら投げた。全力で投げていた。
小学3年生の自分にもわかるくらいに。

そして22勝した。最多勝だ。さらに沢村賞だ。
しかも、トレードで出された巨人から8戦全勝であった。

それは、小学生でもわかるしびれるまでの反骨精神だった。
憧れた。
本当にカッコよかった。

自分は茨城県に生まれ育った。
地元では当然のように巨人が圧倒的な人気であり、そして常に強かった。
当然周囲は巨人ファンであったが、昭和54年に小林と掛布を知り得たからこそ、今の自分があると思う。(昭和54年は、小林が22勝で最多勝&沢村賞、掛布が48本でホームラン王)

最多勝で沢村賞の小林…というより、古巣巨人に負けなし8連勝の小林繁。
江川から低い弾道の弾丸ライナーでホームランを放り込む掛布雅之。
これが自分の野球のルーツであり、人格のルーツであり、人生のルーツであったと思う。

いまさら記録のことを語るつもりはない。
見る側、魅せられる側にとって記録などさほど意味を持たない。
記憶がすべてだからだ。

そう、記憶…

巨人戦では左の代打の山本功治によく打たれた。甲子園で代打サヨナラホームランも打たれたっけ…。
横浜スタジアムの開幕戦での敬遠サヨナラ暴投…忘れたくても忘れられない。
小林のときはなぜか笠間(元巨人)だった。
池内への継投もあったけど、やっぱりあの最後の力を振り絞って繰り出すシンカーで三振に仕留めてのゲームセットの瞬間は熱くなった。
甲子園の「あとひとりコール」は小林のためにあった。
テレビの中継が終わってしまったあと、ニッッポン放送の音声だけが、その興奮を伝えてくれた。
親からは複雑な顔をされながらも、居間の真ん中にラジオを置いて、いっしょに「あとひとりコール」「あと一球コール」を叫んだものだ。

もちろんプロ野球チップス(カルビー)のカードも集めた。
当時は、巨人が半分でその半分が他球団といった割合のイメージだったが、こと阪神に関しては小林と掛布がほとんどで、そのほか真弓、ラインバック、藤田平、若菜、江本くらいだった。(竹之内のホームスチールのカードもあった。)

小遣いをはたいてベースボールアルバムも買った。

今でも実家の勉強机の棚にある。
そして、付録のポスターも部屋に貼ってある。

そして、そこにはシンプルに「努力」の文字。
自分はまだまだぜんぜん出来ていないが、昔も今も変わらぬ人生の道標だ。

そんな憧れの小林と対面もしたし、サインももらったし握手もしてもらった。
小学5年生の時である。
地元のデパートに新人王(80年)をとった岡田とともにサイン会のイベントに来てくれた。

いっしょに写真も撮った。
いまでも自分にとって大切な宝物である。

そしてなにより、よく小林の真似をしたものだ。
学級会でもやったし、野球少年団の練習のときも、学校の掃除の時間にも…。
小林と掛布のモノマネは十八番だった!

記憶を紐解いたら延々話が出来る。
自分にとって本当に憧れのエースであった。

「ピッチャー小林 背番号19…」


どれくらい後に自分が死ぬかわからないけど、あなたは永遠に阪神のエースです。
ボクにとってのエースです。

そして、あなたの力投する姿の記憶を、少しでも自分の人生に生かせたとき、ボクもタテジマのユニフォームを着た気分になれるかもしれませんね。

ボクは野球を職業には出来ませんでしたが、今の人生において、力投できるように頑張ります。熱投と言われるように頑張ります。

本当にありがとうございました。

 

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