http://www.asyura2.com/09/social7/msg/870.html
Tweet |
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100812/crm1008122233038-n1.htm
全国各地で報告が相次ぐ100歳以上の高齢者の行方不明。その中に「少なからずの『行旅(こうりょ)死亡人』が含まれているのではないか」という指摘が、自治体など関係者らの間で出ている。遺体が「身元不明」として処理されたために、戸籍が生き残ったままとなってしまうケースだ。(高久清史、玉嵜栄次)
震災で住居失い
100歳以上の行方不明者が105人もいることが発覚した神戸市。高齢福祉課の担当者は、「推測だが」と前置きした上で、「阪神・淡路大震災で住む場所を失うなどした人が、生計を再建できないまま遠隔地で亡くなり、行旅死亡人として扱われたケースがあるのかも」と漏らす。
ホームレスなど身元不明者の死後事務を扱うことがあるという葬祭業者「富士の華」(東京都千代田区)の担当者も、「行方不明者の多くが行旅死亡人となり、戸籍上だけで生き続けているのではないか」と指摘する。
法務省などによると、行旅死亡人は官報に遺体の特徴などが掲載される。しかし、家族らが気付かなかったり、失踪(しっそう)宣告の申し立てなどを行わなかった場合、その人の戸籍は生き続けることになる。
市区町村は所在不明の高齢者の生死が不明の場合、法務局の許可を得て戸籍を除籍する「高齢者消除」ができる。だが、対象は「100歳以上」となっているうえに、すべてに除籍がとられるわけではない。
市区町村が「居住実体がない」として住民基本台帳ネットワークシステムから住民登録を削除しなければ、「年金が口座に継続的に支払われる可能性もある」(厚労省年金局担当者)という。
自宅でみとられても
実際にどのような事例が行旅死亡人となるのか−。
「線路内に自ら立ち入り」「(遺留品は)左ポケットに火葬した人骨と写真」「海岸で遺体で発見」「自動車内で死亡」
官報には行旅死亡人たちの寂しい末路が記載されている。行き倒れや自殺などで身元を特定できないケースが大半だが、中には自宅で死亡しながら行旅死亡人となることもある。
今年4月2日朝、静岡県森町役場を30代の男性住民が訪れた。男性は、自分の母親(故人)と内縁関係にあった70代の無職男性が自宅で病死したと届け出た。
捜査関係者によると、届け出た男性は幼いころから70代の男性と一緒に暮らしており、ずっと「お父さん」と呼んでいた。母親が他界してからは2人暮らし。「お父さん」は最近は寝たきりの状態で、男性が看病を続けていた。
警察は通常、遺族による目視、DNA型の照合などにより身元確認を行う。男性は警察に「お父さんが死んだ」と説明したが戸籍上のつながりはなく、身元確認を行う遺族には該当しなかった。ほかに遺族が見つからず、遺体は行旅死亡人扱いとなった。
関係者によると、「お父さん」の戸籍、住民票は森町になく、現在もどこかの自治体で“生存”している可能性があるという。
家族関係の希薄化
葬祭業者「富士の華」では、年間10件程度の行旅死亡人の死後事務を扱う。7月も埼玉県内で死亡した女性を行旅死亡人として火葬した。葬儀はない。遺族の代わりに社員が棺に花を入れて合掌した。
遺骨は「四十九日」まで同社の事務所で安置する。最後には共同墓に無縁仏として葬られることになる。
同社の野田穂積代表取締役は今回の高齢者の行方不明の背景に家族関係の希薄化があるとみる。「家族に祝福されて生まれた人が、最後はスタッフだけに見送られる現実はあまりに悲しい。家族のきずなを見つめ直してほしい」と話した。
◇
【用語解説】行旅死亡人
住所や氏名が分からず、かつ親族などの引き取り手がない死亡者。死亡場所の市区町村が葬祭会社に依頼して火葬を行い、官報に遺体の特徴、発見状況、所持品などを記載する。火葬などの費用は都道府県が負担。全国集計はないが、東京都は平成17〜21年度までに、年間108〜179件の費用を支出している。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。