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http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20091222dde012070029000c.html
★牧太郎の大きな声では言えないが…:年の瀬の「孤独病」
ひとりぼっちで病室にいると、「孤独はがんのような厄介な病気ではないか?」と思ったりする。がん以外の細菌は「よそ者」だから体に侵入するとすぐ分かる。抗生物質を投与すれば徹底的に細菌を殺すこともできる。
しかし、がんは違う。がんは人体から生じる「身内」のような存在。肺がんは肺の細胞、胃がんは胃の細胞……だから、発見が遅れる。治療は難しい。
「孤独」という病もがんに似ている。「孤独」は人間が誰でも持っている「身内の細胞」。知らず知らずに(本人の自覚なしに)発症する。
このところ、メディアから姿を消した「30歳代の結婚詐欺女」。詐欺女は2人もいて、周辺で次々に中年男が「不可解な死に方」をしている。分別もある大人が「結婚してあげる!」と甘い声に惑わされ、金品を奪われ、まかり間違えば(警察がにらんでいるように)殺される……そんな被害者が何人も。とても理解できない。
が、待てよ!
被害者が、この事件に巻き込まれる以前に「孤独病」にかかっていたら……あり得ることだ。
「自信過剰」「うぬぼれ」の細胞、それと相反する症状だが極度の「寂しがり」……その不安定な感情が合併症を起こし判断力を失う。冷静になれば「まともな女性でない」と分かるのだが……だまされるころ「孤独病」は末期がん的な段階に入っていたのだろう。
結婚詐欺といえば、その昔「イケメン男が世間知らずの乙女をだますケース」が話題になったものだが、今回の2人の詐欺女は「男おひとり様」をターゲットにしている様子。「孤独癒やし産業のようなものよ」とうそぶくかもしらない。
友人が見舞いに来た。
「結婚詐欺女のことか? もっとタチの悪いのもいる。結婚した結婚詐欺女。パソコンの掲示板には『夫を殺すスナイパーはいないの?』という書き込みがあるらしい。夫が死ねば……退職金、生命保険、遺族基礎年金……おれだって1億円ぐらいの価値はあるぜ」と冗談を言う友人。でも、世知辛い世の中。殺意に満ちた「資産目当ての結婚」があってもおかしくない。
テレビが今朝も「人身事故(自殺)で××線が不通」を知らせる。相談する相手がいなかったのか? 戦後最大の不況? 「孤独」が国民病になりそうな気配だが……読者の皆さん、あったかいお正月を!(専門編集委員)=次回は1月5日掲載
毎日新聞 2009年12月22日 東京夕刊