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(回答先: パナソニック偽装請負内部告発:吉岡力氏:最高裁で逆転敗訴 投稿者 妹之山商店街 日時 2009 年 12 月 19 日 10:58:17)
http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-December/002346.html
[CML 002385]最高裁 松下PDPの雇用責任を認めた大阪高裁判決を破棄する不当判決
higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 12月 19日 (土) 15:41:53 JST
みなさますでにご存知のとおり、昨日の18日、最高裁は、PPDP(パナソニックプラズマディスプレイ)の雇用責任を認めた大阪高裁の判決を破棄し、吉岡氏の地位確認請求を棄却するという不当判決を下しました。
以下、最高裁の同不当判決を伝える報道記事、最高裁判決全文、同最高裁判決を批判する弁護団声明です。
報道記事:
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■偽装請負、最高裁「雇用関係ない」 パナソニック子会社(朝日新聞 2009年12月18日)
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY200912180294.html
請負会社からパナソニック子会社に派遣され、違法な「偽装請負」の状態のもとで働かされていた吉岡力(つとむ)さん(35)が、同社との間に雇用関係があるかどうかを争った訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は18日、雇用関係はないとの判断を示し、この点について吉岡さんの敗訴とした。
訴訟はパナソニックプラズマディスプレイ(旧松下プラズマディスプレイ、大阪府茨木市)を相手に吉岡さんが提訴。偽装請負状態で働かされた人と派遣先の雇用関係について司法がどのように位置づけるか注目されていた。
吉岡さんは「形の上は請負会社に雇われていたが、実際にはプラズマ社と使用従属関係にあった」と主張し、雇用関係があることの確認を求めた。二審・大阪高裁判決は請負会社が吉岡さんと結んだような契約は公序良俗に違反して無効としたうえで、プラズマ社と吉岡さんの間には「黙示の雇用契約」があり、有効な雇用関係が続いていると判断した。
これに対し、第二小法廷は、プラズマ社が労働者派遣法に違反した状態で吉岡さんを働かせていたと認めたうえで、「仮に違法な労働者派遣でも、そのことだけで労働者と派遣元の間の雇用契約が無効になることはない」と判断。プラズマ社側が吉岡さんの採用に関与したり、給与の額を事実上決定したりしていた事情がなく、黙示の雇用契約も成立していないと結論づけ、二審判決を破棄した。
吉岡さんの代理人によると、同種訴訟は全国で60以上ある。今回の最高裁の判断に沿えば、「違法な労働者派遣」というだけでは派遣先との直接の雇用関係が認められないことになる。
判決などによると、吉岡さんは2004年1月からプラズマ社の工場で働いていたが、05年5月に大阪労働局に偽装請負を内部告発し、これを受けて同労働局が是正指導をした。第二小法廷は、内部告発への報復として、プラズマ社が従来と異なる業務を命じたことなどを理由に、計90万円の賠償を命じた二審判決の判断は支持。この部分については、吉岡さんの勝訴が確定した。(中井大助)
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最高裁判決:
■松下PDP(パナソニックPDP=PPDP) 最高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38281&hanreiKbn=01
弁護団声明(下記):
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PPDP偽装請負事件最高裁判決にあたって
2009年12月18日
被上告人(一審原告)吉岡力 氏 弁護団
本日、最高裁は、PPDPの雇用責任を認めた大阪高等裁判所の判決を破棄し、吉岡氏の地位確認請求を棄却する不当判決を下した。
判決は、PPDPが吉岡氏を指揮命令し、労務提供を受けるという労働契約上の使用者として振る舞ってきたPPDPの雇用責任を認めた大阪高等裁判所の判決を覆し、PPDPと労働者の契約関係を否定し形式上の雇用主である請負会社の契約関係を理由にPPDPの雇用責任を不問にする判断をした。かかる判断は、広く製造業で偽装請負等の違法な就労状態が継続している企業の責任を放置する結果を招くものであり、実際に労働者を使用している派遣先(発注先)企業に対し、労働者に対する契約上の使用者責任があることを免罪するものである。現在の雇用情勢に対する問題意識を欠いた判断であって到底容認出来ない。
吉岡氏は、製造業であるPPDPによる偽装請負に対し2005年5月26日、全国に先駆けて、大阪労働局に対して是正申告を行い、就労先企業であるPPDPに対して直接雇用を求めた。しかるにPPDPは、いったんは直接雇用をしたものの、吉岡氏を帯電防止設備と称して黒いテント内で作業させることで、他の従業員から隔離し、竹串でディスプレイ画面に付着した不純物をこそげ落とさせるというおよそ前時代的で不必要な業務に従事させ、精神的・肉体的苦痛を与えた上、その事に対する吉岡氏の抗議も無視し、契約から僅か5か月後の2006年1月31日をもって吉岡氏を雇止めにしたという不当なものであった。
2007年4月26日に言い渡された大阪地裁判決は、PPDPの雇用責任を認めず、嫌がらせ行為に対する慰謝料のみを認めた。控訴審の大阪高等裁判所は、2008年4月25日、大阪地裁判決を変更し、PPDPの雇用責任を認めると共に解雇行為に対する慰謝料も認めるものとなった。
しかし、大阪高等裁判所の判決にも関わらず、偽装請負、違法派遣はなくならず、2008年末、多数の労働者が大量の解雇される派遣切りが横行した。
本日の判決は、このような社会状況の下で、違法行為を行った企業の雇用責任を司法が積極的に認めていくべきであるという労働者の声に背を向けるものであり、到底容認できない。
しかし、他方で判決は、吉岡氏に対する嫌がらせ行為に対する賠償だけでなく、有期5か月での雇い止め行為について、「雇い止めに至る上告人の行為も、上記申告以降の事態の推移を全体としてみれば上記申告に起因する不利益取扱いと評価せざるをえない」として不法行為性を認め慰謝料を認容した。雇い止めが偽装請負を摘発に対するパナソニックの報復行為であると認定したものであり、違法の摘発に対して企業の報復を戒め、法律に則った行動を求めたと評価できる。裁判所が示した違法派遣を正す行為が正当であることを裁判所も認めざるを得なかったことを指摘しておく。
私たちは、今後も、雇用責任をあいまいにした司法の姿勢を正す共に、吉岡氏の職場復帰を今後も支援していく決意である。 以上