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１１年入社へ“秋活”…大阪の会社説明会に過去最多２万９０００人
リクルートは３日、大型会社説明会を大阪市住之江区のインテックス大阪で開き、２０１１年４月の入社を目指す大学３年生ら２万９０００人を集めた＝写真、関口寛人撮影＝。就職戦線は年明けに本格化するが、景気低迷で企業の厳しい採用姿勢が続くと予想され、早めに就職活動のスタートを切ろうと、昨年より７０００人多い学生が詰めかけた。
００年以降、毎年同じ時期に開いており、大阪会場では過去最多の人出となった。ブースを出展した企業も、昨年より約４０社多い約２９０社だった。学生らは企業の採用担当者の説明に真剣な表情で耳を傾けていた。
焦る学生 絞る企業
２０１１年３月に大学や大学院を卒業する学生の就職活動が早くも始まった。３日、リクルートが大阪市内で開いた会社説明会に詰めかけた過去最多の約２万９０００人にのぼる学生らは、来春入社の学生に劣らない厳しい就職戦線を実感し、不安を募らせた。実際、企業側は採用を少数の優秀な人材に絞り込む構えを見せており、企業による人材の「買い手市場」という様相が浮き彫りになった。
（経済部 井戸田崇志）
学生で埋め尽くされた会社説明会の会場（３日午前、大阪市住之江区のインテックス大阪で）＝関口寛人撮影 説明会場となった大阪市住之江区のインテックス大阪には、午前１０時の開始前から学生らが寒さに震えながら長い列を作った。開始後は有名企業のブースを中心に学生らの輪が膨らみ、会場内は熱気に包まれた。
「もともと不安だったのに、こんなに大勢の人と同時期に就職活動をするのかと思うと、本当に内定を取れるのか心配になった」。銀行や証券会社のブースを中心に回った大阪国際大３年の杉村暢一さん（２１）は複雑な表情を浮かべた。
京都女子大３年の学生（２１）は「どうやって就職活動をすればいいのか手探り状態だけど、何か動いてみなければと思って来てみた。大企業に就職したいが、えり好みできる状況ではないし……」と不安げだった。
これに対し、できるだけ多くの学生の中から内定者を「厳選」したい企業側の思惑も見え隠れした。
日立製作所の採用担当者は「当社は家電メーカーのイメージが強いが、文系、理系双方の働きで成り立っている。イメージ先行で（文系の学生らが）志望しないのではもったいない」と、学生らに業務内容などを熱心に説明していた。
自動車エンジン用チェーン大手の椿本チエインの担当者は「知名度が低いので、大勢の学生が集まる説明会は貴重。まずは会社のことを知ってほしい」と話した。
リクルートによると、０７年３月卒の大卒求人総数は前年比１８・１％増となるなど、団塊世代が大量退職する「２００７年問題」が企業の採用意欲を一時的に高めた。ところが、０８年秋のリーマン・ショックで状況が一変。１０年３月卒業予定の求人総数は７２万５３００人で、過去最高だった０９年３月卒より２３・５％減と、７年ぶりの減少に転じた。求人総数を民間企業への就職希望者数で割った「求人倍率」も１・６２倍と、前年より０・５２ポイント落ち込んだ。
リクルートが運営する就職情報サイト「リクナビ」の松尾信恵・副編集長は「景気回復が当面見込めず、新卒採用を増やすのは難しいという企業が多いだろう。１１年３月卒の学生も、１０年３月卒の学生の就職活動時と同等の厳しい状況になるのではないか」とみる。
Ｕターン、Ｉターン専用コーナーも
リクルートは今回、故郷に戻る「Ｕターン就職」や故郷以外の地方で職を得る「Ｉターン就職」を希望する学生を対象にした専用コーナーを初めて設けた。
中四国と九州、静岡県の金融機関や電力会社など約４０社が参加した。これまで大都市圏の有力企業が、優秀な人材を囲い込みがちで、地方の企業は人材確保に四苦八苦してきた面がある。これに対し、大都市圏の企業が採用を抑えるなら、人材を呼び込む好機だととらえる企業がある。
静岡市に本店を置く静清信用金庫の担当者は「大阪と静岡では学生の数が全然違う。成果があるのでは」と期待を見せた。
就職難の大都市圏を避け、地方に職を求める学生の動きも目立ってきた。香川県さぬき市出身で、Ｕターン就職を目指す大阪経済大３年の渡辺祐也さん（２１）は「慣れ親しんだ香川で働きたい」と、四国の企業のブースを熱心に回っていた。
（2009年11月4日 読売新聞）
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/topics/20091104-OYO8T00619.htm
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