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http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2009/12/post_200.html#more
1995年に沖縄で米海兵隊員による少女暴行事件が起き、反基地運動が高まった事で当時の橋本総理が普天間基地移設を言い出した時、橋本政権の要職にあった政治家たちが相次いで沖縄に事務所を開設した。自分の選挙区でもない土地になぜ事務所を作ったか。基地の移設で大規模な公共工事が始まり、多額の税金が投入される事が予想されたからである。沖縄は政治家と業者にとって利権の島となった。
98年に誕生した小渕政権は先進国首脳会議(サミット)の開催地を沖縄と決め、2000年に森内閣の下で行われた会議にはサミットで過去に例がない814億円もの税金がつぎ込まれた。取材に訪れた外国人記者は会議を「宴会」と酷評し、日本は世界に恥をさらした。翌年サミット準備室の数々の不正が発覚し、そこから責任者であった松尾克俊要人外国訪問支援室長の外務省機密費流用の実態が明るみに出て、日本外交はさらに世界に恥をさらした。
市街地に基地があるため事故の危険性や騒音に悩まされてきたのは沖縄県民である。移設を急ぐ必要があるのは日本側でアメリカではない。であるのに移設に時間がかかったのはアメリカではなく日本側の事情である。辺野古沖なのか海岸の埋め立てか、利権を巡る調整がつけられずに13年が過ぎた。それをアメリカはじっと見てきた。
アメリカが海外に基地を持つようになったのは戦後の日本が初めてである。冷戦が始まり朝鮮戦争が勃発してアメリカに出撃と補給の基地が必要となった。補給のためには日本の工業力を再建する必要がある。こうして戦後の日本はアメリカの手によって工業国家としてスタートする事になった。
冷戦のおかげで日本は反共の防波堤としてアメリカにとり死活的に重要となった。日本経済の成長もアメリカには好都合である。1ドル360円の為替レートは日本の輸出を有利にし、日本はアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国へと上り詰めた。在日米軍基地は日米安保条約によって固定化され、ベトナム戦争、中東戦争などの出撃拠点としてさらに重要さを増していった。
在日米軍基地は日本を守るためにあるのではない。太平洋から中近東、アフリカにまたがる広大な地域の安全保障をカバーする軍事拠点である。その拠点がなぜ韓国でもフィリピンでもなく日本にあるのか。それは日本が他国より抜きんでた工業力、技術力、カネの力があるからである。アメリカからすれば戦後アメリカが育て上げた日本の力を利用するのは当然と考えられた。
しかし高度成長が終わる70年代からこうした構造に変化が生まれた。71年にアメリカは1ドル360円の固定為替相場を廃止、そして日本の頭越しに中国と手を結んだ。いわゆる「ニクソン・ショック」である。日本の輸出力は削がれ、反共の防波堤としての重要さも薄れた。日本はこの時に戦後の国家戦略を再考すべきだったかも知れない。しかし当時の日本は「ニクソン・ショック」の意味を理解できず、輸出と日米安保に頼って生きるしかないと考えていた。
91年にソ連が崩壊して冷戦が終っても、アジアには中国と北朝鮮が存在するという理由で日米安保体制は強化された。在日米軍基地の重要さもいささかも変わらなかった。しかし一方でアメリカは日本の経済力を「ソ連に代わる脅威」と位置づけ、日本経済の弱体化を図るようになる。様々な分野で日本からアメリカに金が流れる仕組みが作られた。北朝鮮の核の脅威に対抗するため日本はアメリカからイージス艦やミサイル防衛兵器を買い、グアム移転などの米軍再編費用も負担することになった。そうした流れの中に普天間問題はある。
冷戦後のアメリカの議論の中にソ連の末期と日本との類似性を指摘する声があった。ブレジネフ時代のソ連共産党には様々な腐敗が見られ、それを粛正するためにゴルバチョフが登場した。ゴルバチョフは数々の改革を行ったがソ連は崩壊した。自民党に小泉総理が誕生したのもゴルバチョフと同じだとアメリカ人は言うのである。彼らは小泉氏を「日本のゴルバチョフ」と呼んだ。アメリカは自民党政権の腐敗を知りながらそれを自国の利益に都合良く利用してきた可能性がある。普天間問題をそうした視点で見る必要もある。
今年アメリカにオバマ政権が誕生した。アメリカの大統領として初めて「核廃絶」を唱え、来年ワシントンで安全保障サミットを開こうとしている。焦点はロシアに加えて中国を「核廃絶」の同盟に引き込めるかどうかだ。一方で米朝二国間協議も行われようとしている。簡単ではないだろうが休戦状態の朝鮮戦争に終止符が打たれ、中国と北朝鮮の核の脅威が薄れれば、北東アジアの安全保障情勢に大きな変化が生まれる。
来年横浜で開かれるAPECに出席する際、オバマ大統領は広島、長崎を訪れたい意向で、それまでに「核廃絶」の成果を上げたい筈である。そして来年は日米安保条約が50周年の節目を迎える。日本にも政権交代が実現した事でオバマ大統領は歴史的な節目の年にしたいのではないか。普天間問題はこうした流れの中にもある。
一方で過去の自民党政権とアメリカ政府との合意がある。合意を作り上げた人たちは変更を飲めるはずがない。それがアメリカ側にも日本側にもいる。そこで綱引きが演じられている。外務省も防衛省もこれまでの立場を簡単に覆す訳にはいかない。それを言いたいだけ言わせるのも政治である。最近では連立を組む社民党と国民新党が合意の見直しを迫っているが、これは鳩山政権の応援団である。かつての自民党は必ず社会党に反対させ、それを理由にアメリカとの交渉を日本ペースにしようとした。
本来移設を急ぐ必要のないアメリカがここにきて強硬姿勢に出ているのは何故か。アメリカの裏の狙いが何かを読み解く必要がある。アメリカはグアムの基地強化に懸命である。それにどれだけ協力出来るのか。いずれにしても「山より大きな猪は出ない」。鳩山政権は沖縄県民の声を代表して交渉に当たれば良い。それにしてもどこの国の新聞とテレビかと思うばかりの論調を連日見せつけられるといつもの事ながらうんざりする。
コメント (1)
ここまでグアム移転を言い切る人は、高野さんと田中さんぐらいですね。
鳩山首相が、右往左往してみせて、いろいろな観測気球を打ち上げて、宇宙人みたいに何を考えているか全くわからないようにしておいて、裏でしっかりオバマと交渉して普天間奪還に成功するなら、本当にすごいですね。
その時は、未熟(非国民?)なマスコミに大いに反省してもらいましょう。
特に産経新聞や読売新聞、日経新聞には。
投稿者: 一言居士 | 2009年12月 8日 01:06
コメント (2)
--あぶり出し----------
そうだ、鳩山政権は沖縄県民の声を代表するのがするのが本当だ、、再確認しました。
沖縄に住んでいない私は、多少他人事の気分でしたが、我々が選んだ政権交代。彼らに日本の未来を託したのでしたね、もう少しで忘れたしまうときでした。
田中良継さんは以前仰っていましたね。「あぶり出しのときである」と。。。
私は以下のことが何をあぶり出してくれるのか注目したいと思います。
(1)小沢さんが鳩山さんと会ってないと言ったこと。
(2)鳩山総理が急に決断の時だと言出したこと。
(3)社民党が福島氏の自分の都合とはいえ、他府県に移動すべきだと発言したこと。
(4)岡田大臣が迷走していること。
(5)以前小沢氏が「第七艦隊だけで良い」と自国の防衛は自己責任が必要であることを発言したこと。
どのようにあぶり出されるのでしょうか?但し、1つ言えることは、総理が明確な指針を示すと、拉致問題も近い将来に解決出来る期待がふくらみます。沖縄国民を守ることで北朝鮮側へのメッセイジが伝わりますね。
大いに期待したいと思います。
我々が選択した政権交代。我々が育てる必要があるのを再確認しました。
投稿者: 瀬野節吾 | 2009年12月 8日 01:58
★文中での以下の指摘は重い。
「市街地に基地があるため事故の危険性や騒音に悩まされてきたのは沖縄県民である。
移設を急ぐ必要があるのは日本側でアメリカではない。
であるのに移設に時間がかかったのはアメリカではなく日本側の事情である。
辺野古沖なのか海岸の埋め立てか、利権を巡る調整がつけられずに13年が過ぎた。」
私たちは、いまの移設問題の混乱の理由をきちんと把握しておく必要がある。
そして、普天間移設問題がここまでこじれてしまった要因については、最後のところで簡潔にまとめられている。
「過去の自民党政権とアメリカ政府との合意がある。
合意を作り上げた人たちは変更を飲めるはずがない。
それがアメリカ側にも日本側にもいる。
そこで綱引きが演じられている。」
ともあれ、
「山より大きな猪は出ない」。
これは勇気づけられる指摘だ。
文中にあるように、鳩山政権は沖縄県民の声を代表して、いや日本国民の声を代表して、交渉に当たってほしい。
そうすれば、おのずと解決の道が見つけられるはずだ。
最後につけられたコメントも秀逸だったので、合わせて紹介させていただいた。