★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK75 > 678.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
産経ニュース
2009.12.6 17:56
「月イチ」ペースで登場させていただいた「斜め書き」ですが、諸般の事情から、私が書くのは今回が最後になりました。駄文だったので愛読者なんていないんだろうと思いますが、いままでありがとうございました。 今回初めてクリックして後悔している方も、それだけでどうもありがとうございました。 実は今、デスク当番が終わったばかりで、心身ともにくたびれているので、「すっぽかしちまいなよ」という悪魔のささやきが聞こえてくるのですが、先週も書かなかったし、今回で終わりなのでムチをふるって書き記したいと思います。 こんな拙稿ですが、最後を飾るのは、やはり時の最高権力者、鳩山由紀夫首相です。せっかく首相になったのに、ハネムーンとされる政権発足から100日を待たずに、政権全体がセピア色に見えてきたからです。自分の目が曇ってきたのかもしれませんが、何かこう、この政権は長くない、案外短命かも、と思えてきました。理由はあとでお話します。 各種世論調査で、高く評価されているお人柄は、実際、誠実そうですし、大変素晴らしいと思うだけに、もったいないことです。 私が野党キャップ時代、初めてではないのですが、たぶん忘れられているだろうというわけで、民主党幹事長だった鳩山さんの記者会見後、党本部で名刺をお渡ししました。 「産経新聞の佐々木といいます。よろしくお願いいたします」 通りいっぺんのあいさつでお茶を濁そうと思っていたら、そこはさすが、人柄の鳩山さん。名字の下の名前をみてこうおっしゃられました。 「素敵なお名前ですね。どなたがつけたんですか」 番記者になって、初めて名刺を渡そうとした際、チラ見だけして受け取ってくれなかった、どこかの大物幹事長とはエライ違いです。 それはともかく、あれだけ億単位の偽装献金が社会問題化しているのに、内閣支持率は60%台と高く、まだまだ多くの国民が期待しているのは事実のようです。それだけ、国民の多くが自民党政権に辟易していたともいえるのでしょうか。 にもかかわらず、政権の寿命が見えてきたように思うのは、経済失政があったからではありません。顔や考え方が宇宙人だからではありません。 日米関係をあまりに軽視しているからです。 集団的自衛権を行使できないという負い目はありますが、原油の輸入を90%近く中東に頼る日本のシーレーンを守っているのが海上自衛隊と連携している米軍です。ロシアから中国、北朝鮮まで核武装し、不況でドン底にたたき落とされてなお、新橋あたりでサラリーマン(自分を含む)がテレビのインタビューに赤ら顔で呑気に答えていられるのは、日本がまだまだ外貨をたくさんもっているからでしょうか。1400兆円に上る個人金融資産があるからでしょうか。技術力があるからだとか、日本人には底力があるとか、ネアカな国民性だからでしょうか。わたしは、世界最強の米国と強固な軍事同盟と濃密な経済関係を構築しているからなんだと思います。
米国は怒りました。岡田克也外相と北沢俊美防衛相は、真っ赤な顔で怒声を上げる米国のルース駐日大使の剣幕に、圧倒されっぱなしだったということです。4日、普天間移設問題を協議する日米閣僚級作業グループでの出来事は、鳩山さんにきちんと伝わっているのか心配です。 岡田さんと北沢さんのおふた方は、大使との会談後、首相官邸に駆け込んでいるのですが、5日夕、週末にもかかわらず、再度首相公邸を訪れた北沢さんとの会談後、鳩山さんは「日米関係は大事。そのことも話した」といい、でも結論を出す時期は「まだ見えていない」と無責任なことをいっています。 その北沢さんですが、デスク当番だった5日午後5時前から約1時間、鳩山さんとお会いしているんですね。デスクとして政治記事を預かる立場なので焦りました。岡田さんが沖縄にいたので、急転直下、普天間移設問題が決着する可能性があるとは思いませんでしたが、別の警戒はしました。北沢さんが胸ポケットに辞表をしたためていた可能性です。
それにしても、北沢さんには鳩山さんに対し、辞表をたたきつけるぐらいのことはやってほしかったなぁ。そう思いながら、現場記者の報告を待ちました。 ところで、すべて自民党政権のやってきたことをひっくり返し、「それが政権交代なんだよ。政権交代の意味がわかってねぇな」と語る民主党議員がいます。米国のオバマ大統領の「チェンジ!!」にあやかりたいのでしょう。確かに、賛否両論ありますが、事業仕分けなど既得権益に切り込む姿勢なんかは評価されてしかるべきだと思いますが、こと外交・安全保障はまったく次元が違います。 イラクへの派兵に反対し、ブッシュ政権のやってきたことをひっくり返したオバマ大統領ですが、党派の違うゲーツ国防長官は留任させました。この意味をよく考えるべきかと思います。 「白人も黒人もない。あるのはアメリカだけだ」「保守もリベラルもない。あるのはアメリカだけだ」。 演説でオバマ大統領はこう言いました。 でも、米国人の根っこは、新教徒の末裔(まつえい)であり、大きくくくればプロテスタント国家であり、本当の意味での原理主義者(ファンダメンタリスト)なんです。日本人はそれを忘れて米国人と付き合おうとすると、彼らを誤解してとんだ災厄を招き入れてしまうような気がします。
僭越(せんえつ)ですが、米国が好きだとか嫌いだとか、対等だとか、非独立だとか、日本は米国のポチだとか…間違えてもそんな次元で米国を捉えない方がよいかと思います。 特に、鳩山さんを支えている首相官邸の方々には、日本の首相を守る義務があります。世界の笑い者にしてはいけません。首相執務室の周囲にいらっしゃる方々が、大変優秀であることはよく知っています。鳩山さんに対し、くれぐれも変な入れ知恵をすることのないよう願ってやみません。 最近、いつも思うのは南半球の国のことです。非核を標榜して米艦船の入港を拒否したニュージーランドと、欧米やアジア諸国との関係はどうなったでしょうか。安全保障政策は…。興味のある子どもや学生さんはひとつ、調べてみると面白いかもしれません。 と、ここまで書いてきて腰がかなり痛くなってきました。それを言い訳にするわけではありませんが、この辺で私の「斜め書き」は終わらせたいと思います。ありがとうございました。(佐々木類) |