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[新世紀人の案内]
私は田中氏に何の義理もありません。
従って、彼の著作の販売宣伝をしているわけではありません。
そうではなく、出版社の要約が優れていてこれだけで結構な読み物になっているからここに出した訳です。
田中氏の本を買いたい方は自由にやってください。
本の性格から国家破産版に出す事も考えましたが、政治的なテーマの掘り下げも深いのでこちらを選びました。
田中氏の多極派と冷戦派の対立構造と捉える見方には私は不足を感じて賛成するものではありませんが現状分析においては彼の評論は優れていると見ています。
敢えて言えば(余計な事だが判り易く読む為には触れておいた方がいいかもしれないので書くわけですが)多極派と冷戦派は役割分担をさせられたり、一方がもう一方から使われていたり、内部対立したり、と言った具合で大局的に同一の目標に向けて互いに働き、その中で不要となった部分は没落してゆく形をとって運動しているのではないでしょうか。
単純対立と考えない方が無難でしょう。対立的弁証法思考が形となった動きでしょう。
http://www.fuun-sha.co.jp/book/57tanakasakai.html
『日本が「対米従属」を脱する日』
―多極化する新世界秩序の中で―
日本は「対米従属」を脱した。60年間、日本はアメリカの傘の下でのんびり、ぬくぬくやってきたがその庇護者がいなくなった。親ガメがこけたら、子ガメはどうすればいいか。
この本には、その答えがある。
テレビや新聞ではわからない情報を発信し続ける
国際ウォッチャー田中宇『日本が「対米従属」を脱する日』
の最新作!
◇のぞき見◇
●世界の多極化は、日本にも多大な影響を与えている。最大のものは、09年9月に自民党から政権交代した民主党鳩山政権が、戦後60年以上も日本の国是であり続けた対米従属から離脱していく構えをとりだしたことだ。米国の覇権が崩壊し、世界が多極型に転換していくのだから、日本は対米従属を続けられなくなる。鳩山政権の転換は、当然の流れである。
●民主党が日本の世論に沿った戦略を打ち出すなら、対米従属の離脱方針にはならず、対米従属に維持に傾くはずだ。だが、日本の視点を離れ米国発の情報を見ると、むしろドル崩壊や多極化の方向性が感じられる。米国の中枢には、ドル崩壊と多極化を誘導している人々があり、彼らの戦略は成功しつつある。キッシンジャー元国務長官とかロックフェラー一族とか、そういった人々は隠れ多極主義者である。彼らが小沢一郎にドル崩壊が近いと伝え、小沢を中心とする民主党がその情報を事実だと考えて、対米従属からの離脱とアジア重視策を新政権の柱にしたのではないか。離脱させたのは、他ならぬ米国自身だと私は思っている。
●対米従属という日本の国家戦略が形成されたのは、朝鮮戦争後である。1953年の朝鮮戦争停戦後、55年に保守合同で、米国の冷戦体制への協力を党是とした自由民主党が結成された。経済的には、日本企業が米国から技術を供与されて工業製品を製造し、その輸出先として米国市場が用意されるという経済的な対米従属構造が作られた。財界も対米従属を歓迎した。日本の官僚機構は、これらの日本の対米従属戦略を運営する事務方として機能した。
この政財官の対米従属構造が壊れかけたのが70年代で、多極主義のニクソン政権が中国との関係改善を模索し、日本では自民党の田中角栄首相がニクソンの意を受けて日中友好に乗り出した。その後の米政界は、多極派と冷戦派(米英中心主義)との暗闘となり、外務省など日本の官僚機構は、日本の対米従属戦略を維持するため米国の冷戦派の片棒を担ぎ、冷戦派が用意したロッキード事件を拡大し、田中角栄を政治的に殺した。
田中角栄の追放後、自民党は対米従属の冷戦党に戻ったが、外務省など官僚機構は「対米従属をやめようと思うと、角さんみたいに米国に潰されますよ」と、自民党の政治家を恫喝できるようになった。官僚機構は、日本に対米従属のかたちをとらせている限り、自民党を恫喝して日本を支配し続けられるようになり、外務省などは対米従属を続けることが最重要課題(省益)となった。
●2009年9月25日のG20が開かれた。最終日に、ホワイトハウスとG20が、「G8の代わりは、これからはG20なんだ」という声明を出した。僕はそれを見て、「え!ついに来たか」と思った。1週間ぐらい経って、ドルが崩壊感を強めて、金が1オンス1000ドルを超えた。それで気づいた。「そうか、時代は変わったんだ」と。
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◇目次より◇
第1章 多極化に対応し始めた日本
「対等な日米同盟」を掲げる鳩山政権
多極的強調の時代へ
近づく多極化の大団円
多極化の本質を考える
第2章 核廃絶と新世界秩序
核の新世界秩序
クリントン元大統領訪朝の意味
オバマの核軍縮
オバマのノーベル平和賞受賞とイスラエル
オバマの核廃絶策の一翼を担う日本
第3章 多極化の中で台頭する中国
多極化の進展と中国
台頭をそそのかされた中国
台頭する中国の内と外
中国に学ぶロシア
第4章 ドル崩壊と新たな機軸通貨の登場
イギリスの崩壊
ドル崩壊の夏になる?
ドルは崩壊過程に入った
第5章 「対米従属」から脱却する世界の国々
G8からG20への交代
G20は世界政府になる
世界システムのリセット
二番底に向かう世界不況
第6章 日本が「対米従属」を脱する日
東アジア共同体の意味
沖縄から覚醒する日本
民主党の隠れ多極主義
日本の官僚支配と沖縄米軍
著者へのインタビュー
◇編集部より◇
田中宇(たなか・さかい)という人の分析には、モヤモヤした霧をすっきり晴らし、事態の構造をくまなく見せてくれる、そんなパワーがある。国際関係を見つめる彼の視点はとても鋭くユニークで、そのへんの新聞やテレビの解説ではめったにお目にかかれない優れものである。
1. この本もそうだ。
日本はもう「対米従属」を脱した、と著者は言う。戦後60年、日本は自立心を喪失して、アメリカの傘の下でぬくぬく育ってきた。ところがそのアメリカが力を失い、庇護者としてのパワーがなくなった。親ガメがこけたら、子ガメはどうすればいいか。著者は、「多極化」という大きな潮の流れを見ながら、その問いに答えを見つけようとしている。
2. 日本が対米従属を脱したのは、日本が強くなったせいではない。ユーロ圏や、BRIC(ブラジル・ロシア・インド・中国)諸国が発言権を増しているのは、彼らが強くなったせいばかりではない。ことの本質は、この世界を牛耳る米国中枢の人々が、そうなるように誘導しているせいだ。真のねらいは、従来のアメリカ一極から、あっちにもこっちにも拠点が生まれる「多極化」構造に、この世界を変えようとしている――これが、時代のベクトルなのだ、これを把握しないと大変だよ、と著者は分析する。
3. ここが著者のユニークな視点だ。
欧米や日本などの先進国は、すでに経済的にかなり成熟している。だからこの先、あまり成長が望めない。これまでの欧米中心の体制が続くことは、世界全体の成長を鈍化させる。100年単位で先を考える世界の大資本家にとって、これは不満だ。既得権を捨てても、中国やインド、ブラジルなどの途上国に経済発展させなければ、さらなる発展は望めない。米国中枢が「多極化」を推進するのは、そうした「資本の論理」に基づくものだ。こういう戦略を「多極主義」と呼ぶ。これに対する体制を、米英イスラエル軍産複合体、と著者は分ける。
4. このふたつの体制が入れ替わるようにして、世界の主導権を牛耳ってきた――これが著者の根っこにある視点だ。これは正しいか間違っているかは、誰にも分からない。ただこのパースペクティブで世界の動きを見ると、なるほどとうなずくことが多い。
5. なぜドルが崩壊過程に入ったのか、なぜポンドが瀕死に陥っているのか、なぜ中国がむりやり台頭させられたのか、なぜオバマが核軍縮にあれほど必死になっているのか、日本だけではなく、なぜ世界の多くの国が「対米従属」から抜け出しつつあるのか、なぜG20が世界政府になりつつあるのか、何より日本では、なぜ小沢と鳩山が「多極主義」的な発言をし、それに沿うような行動をとるようになったのか――こうした疑問が、田中の視点で読むと、なるほどと理解できる。
6. 田中宇という著者が、こうした世界的な動きをウオッチングし始めたのは10年ほど前のことだ。共同通信の記者時代、“座敷牢”に異動で飛ばされ、やむなく世界各国から流れてくるナマの情報を読んでいた。これがおもしろかった。ナマで見る情報は、世間で流布しているものと違うことに気づいた。
7. さらに世界の動きを10年間じっと見ていくと、そこに、ある意志が存在することに気づく。それが「多極主義」と「米英イスラエル軍産複合体」だった。換言すれば、前者は「資本の論理」、後者は「帝国の論理」だ。
8. 著者の結論はこうだ。
いま世界の主要なベクトルは「多極化」だ。
覇権国アメリカは、今後のことはそれぞれがやってくれと、ボスの座を降りたがっている。
日本もいつまでも「対米従属」しているわけにいかない。
さて、どうするか。
「対米従属」慣れしたぼんくら頭ではなく、自分の頭で考えなければ、今後にっちもさっちもいかないよ――というのが著者の言い分だ。その兆しは、方々に出ている。
世界の権力構造がガラリと変わる歴史的瞬間が、たった今、進行していると。
著者はこうも言う。
「歴史が変わる時というのは、ファンファーレは鳴らない。
道頓堀に飛び込む者もいない。
何も起きない。
しばらく経って人々は、
あれがその時だったと気づく……」と。
(文責・担当 山平)
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