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http://mainichi.jp/select/world/news/20091204ddm003010095000c.html
クローズアップ2009:普天間移設問題、越年へ 決着シナリオ描けず
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
◇社民の揺さぶりで「政局」に 「参院選まで我慢」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題は、社民党の福島瑞穂党首が連立離脱も辞さない姿勢を示したことで「政局」含みの展開となり、決着は越年が避けられない情勢となった。年明けには通常国会が始まり、鳩山政権にとっては衆院選マニフェスト(政権公約)の実現に着手する10年度予算案の成立が最優先課題となる。鳩山由紀夫首相は現行計画に代わる新たな移設先候補の検討も指示したが、解決のシナリオは描けていないのが実情だ。【須藤孝、高山祐】
「連立の方々の思いもしっかりと承っていかなければならない。その中で解決を急ぎたい」。鳩山首相は3日夕、首相官邸で記者団にこう語り、連立政権の運営を重視する意向をにじませた。
同じころ、社民党本部では照屋寛徳衆院議員(沖縄2区)が4日に告示される党首選への立候補見送りを表明していた。現行計画通りの決着となった場合の連立離脱を示唆した福島氏の発言を「福島党首と互いの本気度を理解し合えた」と評価。福島氏の党運営に対する不満が党内にくすぶる中、党分裂の引き金になりかねない党首選はぎりぎりのタイミングで回避された。
普天間問題の行方に危機感を抱いた照屋氏は先月末から政府や民主党の幹部に接触。県外・国外移設の実現を目指し、現行案での早期決着を見送るよう働きかけた。これを受け「連立重視」の対応を政府側に求めたのが、政策への口出しを避けてきた民主党執行部だった。先月25日には小沢一郎幹事長が岡田克也外相と国会内で会談。同28日には山岡賢次国対委員長が平野博文官房長官や北沢俊美防衛相らに電話し社民党への配慮を求めた。
衆参で400人を超える民主党がわずか12人の社民党の動きに神経をとがらせるのは、参院(定数242人)で単独過半数を確保できていない国会事情がある。参院で国民新党などと組む統一会派の勢力は120人。議長を除く過半数(121人)には1人足りない。通常国会で予算案などのスムーズな成立を図るには社民党の協力が不可欠だ。民主党参院幹部は「社民党は普天間問題を中心に強気の姿勢を続けるだろうが、社民党がいなければ鳩山政権は持たなくなる。来夏の参院選までは我慢するしかない」ともらす。
その社民党は県内移設に反対する強硬姿勢を貫かなければ党内の結束を維持できない危うさをはらむ。離脱カードをちらつかせて政権を揺さぶる小政党に対し、政府・民主党は「先送り」以外の選択肢を見いだせない状況。同党の輿石東参院議員会長は3日の記者会見で「党首の発言はそれなりに重い。しかし、民主党がどうするかはこれからの話だ」と述べるにとどめた。
社民党に同調して年内決着に反対した国民新党の下地幹郎政調会長は普天間問題をこう評した。「安全保障論や外交論ではない。もう政局になった」
◇野党は批判強める
米軍普天間飛行場移設問題への対応が揺れる政府に対し、野党は批判を強めている。自民党の谷垣禎一総裁は3日の記者会見で「(民主党が)連立の結束を優先してこの問題を先送りしていくと、解決が事実上できなくなってしまう」と懸念を表明した。公明党の山口那津男代表は党の会合で「いたずらに時間を引き延ばすべきでない。政府は、年内に結論を出すべきだ」と要求した。【木下訓明】
◇日米関係、影響懸念も
「最後は連立の問題だから考えても仕方がない。しかし、普天間が片付かないと、日米首脳会談で合意した『同盟深化』も進まない」。3日、外務省幹部はあきらめ気味に語った。外務、防衛両省は年内決着を目指して米側との調整を続けてきただけに、日米関係への影響を懸念する声が広がった。
4日には普天間問題に関する日米閣僚級作業グループの会合が外務省で開かれ、岡田外相、北沢防衛相、ルース米駐日大使、ライス在日米軍司令官らが出席する予定だ。日本側は年内決着を見送る方針を伝えるとみられる。作業グループは岡田外相とルース大使が「迅速に結論を出す」として設置した経緯があり、米側の反発が予想される。
防衛省は10年度予算案に環境影響評価(アセスメント)など普天間移設関連経費を計上する方針。同省首脳は「米国に対し誠意を示す意味だ。協議が整えばすぐに執行する」と説明する。
しかし、1月には現行計画で移設先となっている沖縄県名護市の市長選があり、民主、社民両党は移設反対派の候補を推薦している。鳩山首相は名護市長選後の決断を示唆したこともあるが、その後には来年度予算案の国会審議が控える。夏には参院選が行われる政治日程の中、決着がさらにずれ込む可能性もあり、外務、防衛両省からは「国内事情を理由にした先送りは米国の不信感を招きかねない」と危惧(きぐ)する声も出ている。
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■普天間飛行場移設をめぐる最近の経過■
<10月>
20日 ゲーツ米国防長官が岡田克也外相に日米合意通りの履行を要求
21日 ゲーツ長官が記者会見で辺野古沖合移動の修正案に理解を示す
23日 岡田外相が米軍嘉手納基地への統合案検討を表明
27日 北沢俊美防衛相が「選挙公約を満たしていないとの認識は間違い」と現行計画の容認示唆
29日 鳩山由紀夫首相が参院代表質問で日米同盟の包括的な再検討を行うと表明。思いやり予算、日米地位協定、普天間飛行場の三つを挙げる
<11月>
10日 岡田外相とルース駐日米大使が日米共同の検証作業ワーキンググループ設置で合意
13日 首相とオバマ米大統領が首相官邸で会談。大統領が日米合意通りの早期決着を迫り、首相は「私を信頼してほしい」と応じる
14日 首相が日米の閣僚級作業グループについて「日米合意が前提なら必要はない」と現行計画が前提ではないとの考えを示す
15日 外相が沖縄を訪問。滞在中「できるだけ年内に結論」と表明
25日 社民党の福島瑞穂党首が基本政策閣僚委員会で、連立3党で普天間問題を協議する新機関設置を求める
25日 外相が衆院外務委で「嘉手納基地統合案にとことんこだわっているわけではない」と述べる
27日 福島氏と国民新党の亀井静香代表が会談し「年内決着の必要はない」との考えで一致
30日 仲井真弘多沖縄県知事が首相に早期解決を求める
<12月>
1日 首相と岡田、北沢両氏が協議。首相は記者団に「(連立の)他党がどう考えているかも含めて検討を進めている」と述べる
2日 北沢防衛相が講演で「3党連立内閣を壊して政局が混乱することが日本にとっていいのか」と先送り容認を示唆
3日 福島氏が辺野古移設計画を決定した場合、「重大な決意をしなければならない」と連立離脱を示唆
毎日新聞 2009年12月4日 東京朝刊