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2009年12月 4日 (金)
亀井大臣の郵政民営化見直し政策を断固支持する!
メディアで流されている郵政民営化見直しへの懸念には総じて二つある。3日の日本経済新聞社説を参考としてそれを説明する。見直し反対勢力の懸念の一つは資金の流れの逆流である。小泉政権が行った郵政民営化は官から民へ資金を流し、それを効率よく運用しようとする思想だった。これが今回の見直しによって、再び官業化へ逆転する愚作ではないのかという話である。
二つ目は、郵政グループの総帥であった西川善文氏と、その意を汲む配下を引き降ろし、元大蔵事務次官の斉藤次郎氏を社長に、前内閣官房副長官補の坂篤郎氏を副社長に据えた人事を見ると、これは郵政事業を官僚主導体制に持っていこうとする明らかな予兆ではないのかという強い疑念であろう。持株会社日本郵政は、傘下の子会社4社の内、かんぽ生命を除く3社の社長を交代させたが、この人事は小泉政権以来の人事構想を否定するものであり、民営化会社の体をなしていないそうだ。
以上のような日経社説の論理が、現大手メディアに共通する「郵政民営化見直し論」批判の骨子である。大枠で言えば、せっかく膨大な時間とエネルギーを費やして民業へ転換した郵政事業を、何でいまさら古色蒼然たる非効率な官業へ逆戻りさせるのかという言い方である。メディアが大々的に行っているこれらの大きな論点は、冷静に眺めてみると、竹中平蔵氏の見直し批判そのものである。悪徳ペンタゴンの「電」を代表する日経は、小泉政権の政策思想と一体化して、偽りの構造改革と郵政民営化を推し進めてきた戦犯の一つである。
偽りの売国奴たちは、マスコミを使い、郵政事業を「官」から「民」へ転換すれば、経済は活性化し、官僚主導の弊害を減らせるというイメージ作戦を大々的に行った。ここには小泉・竹中構造改革で用いられた構造改革こそ進歩であり、それに反する考えは全部遅れた考えであるという単純な進歩史観がある。竹中氏が率いた民営化の結果、過疎地の郵便局は減り続け、サービス低下や職員の士気低下を招いた。客足の少ないATMは撤去が進んだ。全体としてサービスは低下している。三事業の分割で窓口職員は肩身の狭い思いで仕事をこなしている。このどこに竹中型民営化が成功していく萌芽が見えるのか。郵政の民営化は経営不安に拍車をかけただけである。
日経社説は「(ゆうちょ銀、郵便事業会社、郵便局会社の)社長は、全国一律のサービスを充実させる一方、収益性も確保すると表明した。民営化を骨抜きにして、どんな企業を目指すというのか」と言うが、市場原理主義の民営化以外には経営存在の場がないという前提に立っていること自体がおかしい。郵便事業はこれまで、公益性と収益性の微妙なバランスでやってきたのではないか。日経社説は郵便事業の公益性を頭から否定した物言いだ。
社説はまた、見直し政策は、ゆうちょ銀とかんぽ生命保険を特別扱いし、この2社を銀行法、保険業法の対象外とした規制を設けるようだが、これでは民間の銀行や生命保険会社と対等な競争条件が保てないと言う。民間銀行や保険会社とイコール・フッティングにするというのは、竹中平蔵氏が郵政担当相だった時に何度も強調しているが、これは対日「年次改革要望書」が特に強調していたことであり、民営化の巨大な詐術の一つである。
イコールフッティングの実質的な意味は、競争条件の対等性の名の下に、ゆうちょ銀とかんぽ生命保険の340兆円の資金を“無防備”な状態で市場に垂れ流すためである。この膨大な郵政資金を狙っているのが、世界最大の国際金融資本ゴールドマン・サックスである。郵政民営化とは、郵政事業を株式会社組織にすれば、国際ファンドがM&Aで株式を取得できる体制になる。米系外資が郵政株を半数以上取得すれば、ゆうちょ銀とかんぽ生命保険の経営権を掌握し、事実上、国民の財産である郵政資金は外資の手に握られてしまうことになる。もっとはっきり言えば、外資に一旦握られた郵政資金は二度と戻ってこない。想定できるこの状況を冷静に俯瞰すれば、郵政民営化とは、340兆円の国民資産をアメリカにただで移転させるために考案された、壮大な詐欺にほかならない。
この視点から「4分社化」を眺めた時、分社化の最大の目的は、外資による郵政株取得の阻害要因を外すという理由以外にありえないのだ。日本には外資による敵対的M&Aの有効な防止策がない。小泉政権が故意に設置しなかったからだ。2005年当時、小林興起氏、平沼赳夫氏、城内実氏、櫻井充氏、小泉龍司氏など、郵政民営化に反対の議員たちが、たとえば関岡英之氏などの協力を経て、郵政民営化における外資防衛策をまともに議論していたら、同じ民営化でも国益に適った方向性がうまれていたかもしれない。
しかし、小泉・竹中両氏が強行した郵政民営化自体が、売国思想に基づいて制度設計されていたために、国益派議員の良心はすべて否定され、彼らは抵抗勢力として弾き飛ばされたのだ。この責任はアメリカの内部工作に支配されたマスコミの責任である。民営化こそ最善であるという一方的なキャンペーンは国民を洗脳したのである。郵政民営化は郵政米営化であり郵政利権の私物化であった。
昨年4月、竹中平蔵氏はクリームシチューの上田晋也氏との対談で、「民営化した郵政はアメリカに出資せよ」と、とんでもないことを言っていた。その理由として、かつての郵貯・簡保にストックされていた340兆円の郵政資金はSWF(ソブリン・ウエルズ・ファンド)であるという認識である。国民は郵貯・簡保資金がSWFの目的で作られていたなどという話は聞いたことがなかったはずである。竹中氏のこの発言を庶民にわかりやすく言えば、郵政資金は海外に投資しろという話なのだ。安全で的確に投資運用する当てがあるのならいいが、問題は出資先がハゲタカ外資だった場合、国民資産は二度と手元に帰ってこないことだ。竹中型郵政民営化は、危険な外資の侵入に対して一切の防衛策を捨象している。だからこそ、この郵政民営化は制度設計からして、巨大な詐欺なのである。
以上の文脈から、亀井郵政担当大臣がなぜ郵政関連株売却凍結法案を急いで行ったのか、その理由がなったと思う。西川善文氏と彼が率いる売国チームは郵政関連株の上場を早い時期に目論んでいた。もしも小沢一郎氏が国民新党の亀井静香氏を現役職に起用して権限を揮わせなかったら、西川チームは今頃、株式の上場を果たしていたかもしれない。
そうなった場合、手遅れだった。それほど切迫した状況だったと思う。亀井大臣は見事にその危険を阻止したのである。しかし、その影には小沢一郎氏の大局的な判断があったと思う。郵政が完全民営化がいいのか、半官半民がいいのか、あるいは以前のように完全国営化がいいのか、あるいはどのような経営方針がいいのか等は、今後じっくり検討すればいい。取り敢えずは切迫した国富流出の危機を阻止したことは、新政権が大きな仕事をしたと評価できる。
郵貯資金を疲弊した地域の復興や中小企業の金融に回す構想は正常な方向性だと思う。郵政資金が国内還流して内需振興に役立つからだ。竹中氏が「郵政をソブリン・ファンド化して海外投資へ」というように、郵政資金を博打型金融資本に委ねることは売国所業と言っていい話である。日経社説は「家計から吸い上げた郵貯資金が『政府の財布』として官の意向で事業金融に使われるような仕組みでは、経済は活性化しない」と言っている。だが、日経は竹中氏の言うように、SWFとして海外投資する話であれば、同じ「政府の財布」であっても、諸手を挙げてそれに賛成するに決まっている。なぜなら日経はアメリカの意向で動いているからだ。
日本郵政グループの郵政株売却凍結法案は3日の参院総務委員会で可決された。会期末となる4日の参院本会議で可決され、成立する見込みとなったが、これは大変喜ばしいことだ。少なくとも当面は山賊の手から国富を防衛したことになる。