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http://www.magazine9.jp/okadome/091202/
沖縄タイムス(11月30日)の朝刊一面トップ記事に「『普天間』受注割り振りか」「資料にゼネコン7社」というスクープ記事が掲載された。05年10月の米軍再編の中間報告での合意を受けて普天間の移設先として日米両政府で合意したキャンプ・シュワブ沿岸部のL字型滑走路建設計画で防衛省施設庁(当時)が作成したと思われる内部資料が存在していたのだ。その内容は工区や工法ごとに受注先としてゼネコン7社の名前が記載されている概略施行検討資料である。ゼネコンの実名こそ明かされていないが、一面、二面、三面を使った詳細な記事である。06年5月になって、このL字型案は滑走路二本のV字型案に変更されたが、数千億円という工事費用の配分を巡り、防衛省とゼネコンの癒着の構図が横たわっていたのだ。辺野古新基地計画は米国の要求というだけでなく、防衛省の利権でもあったのだ。スクープしたのは、「『アメとムチ』の構図―普天間移設の内幕」「基地の島 沖縄 国策のまちおこし」などの著書がある同社の敏腕記者・渡辺豪氏である。 このスクープが出た同じ日に、仲井真知事は官邸で鳩山総理と二度目の会談を行なった。極秘を含めて二度にわたる会談で仲井真知事が鳩山総理とどういう話をしたのか詳細は不明だが、「ベストは県外だが、現実問題としては辺野古でも仕方がない」という言い方をした可能性は強い。そして同じ日にルース駐日大使も沖縄を初訪問した。沖縄の置かれている事情もろくに知らないのに、ルース大使は記者団に向けて「唯一実行可能なプランは辺野古」と強調した。米国側の意向を受けた恫喝外交のための訪沖である。岡田外相の「嘉手納統合案」、北沢防衛相の「辺野古移設やむなし」、そして鳩山総理の年内決着を匂わせる発言を思えば、いよいよ普天間の移設先を巡る日米、そして連立政権内での攻防も大詰めを迎えているようだ。むろん、沖縄県民の世論を完全無視した県内移設という形での決着である。 民主党と連立を組む社民党は県外・国外移設である。社民党の山内徳信参議院議員や重野幹事長は具体的に硫黄島の名前も挙げている。大阪府の橋下知事も沖縄の基地負担軽減のためには関西空港への移設を検討してもいいという発言までしている。沖縄のもうひとつの地元紙である琉球新報がスクープした守屋元防衛事務次官メモによると、北海道の苫小牧という案も検討されたことがあるという。この件では鈴木宗男議員が奔走したものの、当時自民党実力者でもあった町村信孝元官房長官のツルの一声でお流れになったという。しかし、今や町村議員は選挙区で落選し、森派における地位も大暴落。今なら苫小牧案の最検討も可能ではないのか。 要するに、岡田、北沢、鳩山といった民主党のキーマンたちが年内決着を主張するのは、県外移設を本気で検討する気がないということである。年内に来年度の基地関連予算を策定しなければならないというのが大義だろうが、県外移設を検討するには時間が足りないという逃げをあらかじめ打っているとしか思えない。さらに、来年1月には問題の名護市長選がある。辺野古移設反対派の候補者一本化が決まった以上、推進派だった島袋現市長が落選する可能性は高い。そうなると、地元は賛成しているという推進派の根拠すらも崩れてしまう。米国の国務省、国防省、駐日大使、オバマ大統領の総がかりのゴリ押しにも強力なものがあるはずだ。来年度の予算を策定しなければならないというのが理由ならば、移設先の方向性が決まるまで凍結してもいいし、概算要求でとりあえず提出してもいいのではないか。日米ワーキング・グループに委ねられた移設先の行方は日米のメンバーを見る限り、結論は見えている。沖縄県民の意向を尊重し、最後は私が決めると豪語してきた鳩山総理も、ワーキング・グループの結論を尊重すると語っている。「どっちやいな」という突っ込みを入れたくなるような、優柔不断さや、閣内不統一を見てみぬふりをするリーダーシップのなさは「レッドカード」ものだ。自分の脇の甘さで足元に特捜部の捜査が及んでいるのにしても、だ(これも小沢一郎の秘書狙い撃ち同様に、自民党・霞ヶ関・検察、米国の意志が連動したゆさぶり作戦のひとつだろうが)。 それはともかく、308議席を獲得した衆議院選挙でも普天間の県外・国外移設を主張してきた鳩山民主党だが、それをいとも簡単に裏切るつもりなのか。そうなれば、民主党沖縄選出議員や社民党は沖縄県民にどう落とし前をつけるつもりなのか。いっせい議員辞職するくらいの覚悟を持って、日本国を売り続けてきた防衛・外務官僚、民主党裏切り派、そして傲慢不遜な米国との死闘を展開するくらいの覚悟が必要ではないのか。民意をいとも簡単に捨て去り、沖縄県民を絶望の淵に追いやる民主党には心底がっかりというのが最近の状況だ。 |