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http://netallica.yahoo.co.jp/news/102239
政権の致命傷にはならない
2009/11/29 10:00
実際のところ、政権への影響はどうなのか。菅直人副総理・国家戦略担当相は、検察の立件方針が報道された24日、こう言い切った。
「批判があるのも当然だが、政権そのものが揺るがされることにはならないのではないか」
その根拠は何か。ある民主党関係者がこう解説する。
「ひとつは疑惑が政治資金規正法の虚偽記載という形式犯で、しかも本人がタッチしていない。カネにしてもいわば身内のカネで、自民党時代の特定企業や業界からのいかがわしい裏献金とは性質が異なる。ここは大きなポイントです。もうひとつは内閣支持率の高さ。選挙前から浮上していた問題にもかかわらず、選挙に圧勝した上、最近でも60%超の支持率がある。こうした理由から、菅さんは“揺るがない”と言ったのでしょう」
検察がいくら捜査情報をリークし、大マスコミが書き立てようが、政権の致命傷にはならないということだ。
●今こそ問われる鳩山の政治家力
歴史的な政権交代を自らの手で成し遂げた有権者は、鳩山政権には献金疑惑などに翻弄されず本当の変革を実現して欲しいと思っている。それが如実に表れたのが24日発表の毎日新聞の世論調査だ。
内閣支持率64%、事業仕分けを「評価する」74%という結果が出たこの調査で見逃せないのが、「鳩山首相の偽装献金問題は?」という質問の回答だ。
「重視する」41%に対し、「重視しない」が48%と上回ったのである。これは、何を意味するか。九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)はこうみる。
「ひと言で言えば、有権者が求めているのは献金問題の追及ではなく、国民生活を守るための変革の実行ということですよ。55年体制の中で、国民は常に政治の脇に追いやられ、政官財癒着の利権政治がまかり通ってきた。そんな国民不在の政治システムにピリオドを打ち、有権者自身の一票で政権交代をもたらしたのがこの間の選挙です。そして事業仕分けが始まり、国民は初めて予算編成の一環をオープンな形で目にすることができた。官僚主導から政治主導への変革を実感しているのです。だからこそ、鳩山内閣を支持しているのであり、今後の政策遂行に期待しているのです」
有権者は政権交代以降、歴史的な大変革期に自分たちが主人公でいることの幸福感に浸り、政治に参加している実感を味わってきた。献金問題なんかで変革をストップさせられてはたまらない、というのがホンネなのではないか。
●変革に向けて突っ走れ
鳩山首相は突っ走ればいいのだ。臆することはない。捜査は捜査。鳩山は自己の信念に基づいて国民生活を守る政治を実行していくべきだ。
「いまは立ち止まっているときではありません。景気はどんどん悪化し、2番底が懸念されている。穴吹工務店のような大手までもが倒産し、就職難で失業率はこの先高まる一方です。年を越せない弱者も多い。いま政治がスピード感をもって対応しないと、国民生活は崩壊してしまいます。マニフェストで示した方向性は間違っていないのですから、献金問題なんかにひるむことなく突き進んで欲しいですね」(本澤二郎氏=前出)
ようやく果たした政権交代を、大したことのない献金問題で「一場の夢」(その場限りの夢)にしてはならない。前出の斎藤文男氏もこう強調する。
「民主党は官僚主導からの脱却を掲げたマニフェストで利権政治の根幹に切り込んだ。変革を貫くことで、一票を投じてくれた有権者に応えるべきです」
有権者の期待を失望に変えてはならない。鳩山の政治家力が問われている。
(日刊ゲンダイ2009年11月26日掲載)
2009/11/29 10:00 更新