★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK75 > 381.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
【神州の泉―高橋博彦】
2009年11月29日 (日)
植草一秀氏と高橋洋一氏に対するテレビの向き合い方の違い
金曜日の夜、テレ朝の「朝まで生テレビ」を見ていた。タイトルは「激論!”官僚”がホントに悪いのか?!」、下記のゲスト論客はあるサイトから引用した。
大塚耕平(民主党・参議院議員、内閣府副大臣)
細野豪志(民主党・衆議院議員、党副幹事長)
山本一太(自民党・参議院議員、元外務副大臣)
小池晃(日本共産党・参議院議員、党政策委員長)
石川和男(元通商産業省、東京財団上席研究員)
猪瀬直樹(作家・東京都副知事)
木村盛世(厚生労働省医系技官、「厚生労働省崩壊」著者)
高橋洋一(元財務省、元内閣参事官、「さらば財務省!」著者)
中野雅至(元厚生労働省、兵庫県立大学大学院准教授、「公務員大崩落」著者)
長谷川幸洋(東京新聞・中日新聞論説委員、「日本国の正体」著者)
山田厚史(朝日新聞シニアライター)
若林亜紀(ジャーナリスト、元特殊法人勤務)
特筆すべきは元財務官僚の高橋洋一氏が出ていたことだった。番組途中、司会者の田原総一郎氏がコマーシャルの直前に、高橋洋一氏に対し、(正確ではないが)「例のロッカーには、腕時計と財布がすでに置いてあったんですね?」と質問していた。高橋氏はそれに対し、さも言いにくそうに「ええ、まあ、そうですね」と答えていた。しかし、それだけでは状況がよくわからない。高橋氏は「詳しくは本に書いています」と言っていた。
振り返ると、高橋洋一氏は、今年の3月24日午後8時ごろ、東京都練馬区の温泉施設「豊島園庭の湯」の脱衣所で、区内に住む男性会社員が使っていたロッカーから、現金約5万円が入った財布や、数十万円相当のブルガリの高級腕時計を盗んだ疑いで、書類送検されている。ロッカーは無施錠だったらしい。
高橋氏は小泉政権下で、竹中平蔵・元総務相や中川秀直元幹事長のブレーンとして小泉構造改革や郵政民営化などの理論的支柱を担った。2008年3月には退官し、「さらば財務省!」などの著書を出した。財務官僚の大敵であるというイメージが強い。彼の窃盗事件の深層はわからないが、言論界への復帰が早いと感じている。このテレ朝の有名な討論番組に高橋洋一氏が出演し、司会の田原氏が彼の発言を積極的に引き出していた図には強い違和感を覚えた。
高橋氏は、元財務官僚で経済学者、東洋大学元教授で金融庁顧問だった人物であり、頻繁にテレビなどのメディアで名を知られ始めていた。その人物が、今年の3月に金品窃盗容疑で捕まった時、窃盗犯容疑というセンセーショナルな事案であるにも関わらず、警察は彼を拘留せずに書類送検で済ませている。しかも、メディア報道は奇妙に抑制的であった。
高橋氏に対する警察の態度とメディアの報道姿勢は、エコノミストの植草さんと比較するとはっきりとした異常を示している。先ず書類送検である。植草さんの著書「知られざる真実ー勾留地にてー」第一章「偽装 7摘発される人、されない人」(P39〜43)を参照すると、書類送検は事件の調書、容疑事実が、書類的に検察庁に送致されることであり、身柄の拘束を意味しない。逮捕もされないし、身柄拘束も受けないのだ。一方、植草さんは逮捕され、身柄を132日間も拘束され、非人間的で苛酷な取調べを受けている。
しかもメディアは植草さんの弁明を無視して、一方的に検察リークのみに基づいた、土石流のような決め付け報道を行なった。一方、高橋氏は在宅で通常生活を送ってきた。これは天地の差である。
この二人に対する国家権力の扱い、あるいはマスコミの扱いが極端に違った理由は何であろうか。それは言論人が国策を批判した時、そこに「反米」「反米国益」のファクターが強く含まれていることが決定的な条件になっている。それは戦後タブー視されてきた「閉ざされた言語空間」に斬り込む発言を行った有識者という共通項で括られるのである。江藤淳氏の「閉ざされた言語空間」で語る、「閉ざされた」というのは、米国批判を基底にする言論を言う。
小泉政権は竹中平蔵氏や木村剛氏など、米国のエージェント化した人物に国政を仕切らせた。米国の傀儡政権である。これを強く糾弾した有識者は、その言論活動の影響力の大きさに応じて国策捜査に狙われたのである。植草さんと高橋氏の決定的な差異は、高橋氏が、郵政民営化を中心として、小泉・竹中構造改革路線を牽引した勢力の中枢にいたのに対し、植草さんはそれを徹底的に糾弾する側に立っていたことだ。別な言い方をすれば、高橋氏はアメリカの対日政策に尽力し、植草さんはアメリカの対日政策を指弾する立場に立っていた。
テレビは高橋洋一氏の言論活動を認めた。テレ朝の「朝まで生テレビ」に出演させたのは、悪徳ペンタゴンの思惑が絡んでいるに違いない。現政権にダメージを与える言動を行うために、彼がテレ朝に起用されたと思う。私は経済のことがよくわからないが、おそらく彼が朝生で強弁していた、日銀による量的金融緩和策の推奨のことかもしれない。以前、、植草さんは、ブログで、高橋洋一氏と竹中平蔵氏は、日銀による量的金融緩和政策を強く求め、量的な金融緩和政策によってインフレを誘発する政策を強く唱えてきたと書いていた。
高橋氏は番組で量的金融緩和策こそ、今一番必要なことだと繰り返していた。田原氏がそれを言わせていたのだ。植草さんの言論を思い浮かべれば、この背景には財務省の熱烈なインフレ待望論があるのかもしれない。植草さんなら、朝生が高橋氏に言わせたことの背景を的確に把握するだろう。とにかく、事業仕分けに財務省の意向が反映したことと、朝生に高橋洋一氏が量的金融緩和策の奨励を語ったことは無関係ではないかもしれない。もしかしたら、植草さんが睨んでいるように、高橋洋一氏は財務官僚と敵対しているように見せかけて、実は財務省と一枚岩になっている可能性もあると思う。
あと、一つ気になったことは、数日前、郵便料金割引制度を巡る偽証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子氏が、逮捕以来約5か月ぶりに保釈された。その時、木村氏はテレビの記者会見を受けており、堂々と容疑を否認していたことは記憶に新しい。これも植草さんが保釈された時と比べれば、テレビの対応の違いとしておかしいと思う。植草さんの場合は、なぜ釈明会見が設けられなかったのだろうか。
これも米国というキーワードで考えれば合点がいく。木村氏の容疑は米国益とは無関係である。だから釈明会見ができたのだ。しかし、植草さんの場合は、メディア自体が悪徳ペンタゴンの走狗となって、国策捜査に加担したために、植草さんの釈明会見を開かなかったのである。話を高橋洋一氏に戻すが、彼がテレ朝で言論活動を再開できたのは、与党攻撃の使命を帯びていたからではないだろうか。
← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/11/post-0b08.html