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「JALの企業年金基金問題に潜む経営者と厚生労働省の無責任、国民年金・厚生年金制度の崩壊?」
ミスター第二分類
JALの企業年金問題は実は大企業が持っている企業年金基金制度への影響が大きいく、問題の背景が全く理解させていないようなので、投稿させていただく事としました。
実はこの問題の背景には企業経営者のモラルと厚生労働省の無責任による放置により犠牲となりかねない労働者の問題があり、放っておけないと思ったからです。ほとんどの投稿者は単にJALの高給取りの労働者の贅沢な企業年金の問題としか思っていないようなので・・・・・
JALの企業年金の問題は部外者には分かりにくい年金基金制度による「代行」問題があるので、ちょっと長文ですが節介させてもらいます。
1.企業年金制度とはなにか?
乱暴に言ってしまえば、企業年金制度は従業員の退職金のベース資金と厚生年金の上乗せ給付や基礎年金の原資となる従業員の全ての掛金を預かってより多くの給付をおこなうために「運用」する制度です。
本来、基礎年金などの公的な年金制度部分は国が全て運用する事が望ましいのですが、経営が健全な企業において、国の給付以上の給付を従業員に大使して行なう事を約束した企業には、関連の会社組織として「企業年金基金」が設立する事が認められています。
この「企業年金基金」は会社組織は別の法人格を持つ組織で、「企業年金基金」が設立されると企業は国に対して基金に「掛け金」を支払います。また従業員の給料から天引きした公的年金等の「掛け金」の国への納付は停止され、基金がその資金運用を行なう事になります。
関係は以下のようになります。
企業年金なし
・年金の掛金(給料から天引き)
「企業、従業員」→「掛け金」→「国」
・退職金の原資
「経理処理」→「引当金で内部留保」
企業年金あり
・年金の掛金(給料から天引き)
「企業、従業員」→「掛け金」→「企業年金基金」
・退職金の原資
「経費処理(掛け金)」→→→→→「企業年金基金」
年金基金は将来の退職金や国に支払うべき「公的年金の掛け金」を原資にして従業員の複利厚生の為に「自主運用」を行なう事となります。
もちろん、従業員が払った「掛け金」は国のもので、制度上は私企業が運用原資を「借用」しているため運用を「代行」する形になっています。
つまり、年金基金を持つ会社は国に1円も払わずに傘下の「年金基金」に従業員の年金・退職金の原資を集めて「マネー・ゲーム」に勤しむ事になります。
※実は企業年金基金と言う組織は厚生労働省の天下り先として、その筋では有名です。
ほとんどの企業年金は退職金の原資となる母体企業からの「掛け金」を毎年所定の利率(5.5%〜4.5%)の「複利」で運用し、退職時に一時金で受取るか、年金の形で分割して長期に渡って受取るかを選択できる形になっています。
※実は企業年金とは言ってもその実態は過去の退職金に「高い金利」を付けて分割払いしているに過ぎないのです。
2.企業年金制度の普及と問題
なぜ企業年金制度が大手企業を中心に広まったかと言えば、それは経営サイド、労働者の両方にメリットがあったからに他なりません。
確定給付型(給付額が決まっている年金。4.5%の運用が約束されている)の企業年金を例にすると、それは毎月企業から支払われる「掛け金」をベースにして4.5%の1年複利で金利を付けて、退職金の代わりに死ぬまで支払うというものです。
バブル期には予定利率の5.5%なんかちょろいもので、10%以上、あるいは20%以上で運用できた基金も珍しくありません。
余った資金については、福利厚生の為に使うことが許されていたので、豪華な保養所を作り「内需振興」に励んでましたが・・・・昨今の低金利時代、5.5%とか4.5%とかの高金利ではとても運用できません。
それどころか、バブル崩壊後は運用で「大穴」をあける基金が続出しました。
法令上、「基金」の損失は母体企業で補填しなければなりません。また本来国が運用すべき公的年金制度の為の掛け金についても「代行」の為に年5.5%とか、4.5%の1年複利で「運用」しなければなりません。不足する分は企業が「補填」しなければなりません。
しかし「株主の為の企業」、「ブルジョワジーの為の企業」は4.5%とか5.5%で運用できない「差額の補填」なんかしたくありません。もともと代行運用する目的は4.5%とか5.5%とかの「公的な所定利回を超える部分の超過収益」が目的でそれは退職金などの費用負担を減らす事にありました。
結果として企業年金基金は企業経営者のお荷物になりました。
3.お荷物となった企業年金基金、清算すらできない基金。
お荷物となった企業年金基金はどうするか・・・・給付水準を下げて対応できる基金や、代行制度を止めて国に多額の金利(5.5%の一年複利)を支払って返済できる力のある母体企業を持った基金はよろしいのですが(代行返上と呼ばれている)、そうできない基金を持つ企業はどうするか・・・・・・・大損をしてしまい国に返すカネもない基金はどうするか・・・・その状態で母体企業が破綻したらどうするか・・・・制度上の問題とされて来ました。
本来は国の業務を代行する事で労働者により多くの年金や退職金を保証する制度で、国の給付以上の厚い給付を行なう事が目的でしたが、実際には「基金」がそのカネを利用してマネーゲームに励んでいたというのが実態のようです。
不景気になり、運用が難しくなると5.5%の金利はとても払らえません・・・・・
しからば、どうするか・・・・・考える事は「踏み倒し」とか「カット」が想定されます。
その意味では、JALの企業年金問題は深刻です。
母体企業の破綻により、年金債務はカットされますが、問題は過去に勤務した職員が払った公的年金の掛け金を国に返すだけの資産があるかどうか・・・
あなたは、払った筈の国民年金、厚生年金が「企業年金基金の破綻により」未納扱いとなり、いきなり「無年金者」が大量に出現する事を容認するか、あるいは企業経営者が年金基金の破綻を知りつつも公的な救済策によりすがる「モラル・ハザード」を容認するか・・・・。
いずれにしろ、JALの企業年金基金の問題の本質は「経営陣」、「経営者」にあり労働組合や退職したOBのみを責めるのは筋違いと言うもの。
また運用基準を緩めるだけで事実上欠損状態の「企業年金基金」を放置していた厚生労働省にあります。
4.JALの企業年金問題は国民年金・厚生年金問題へ波及するか?
アメリカの自動車メーカの問題よりも深刻な問題が実はあります。単に私企業の年金問題なら母体の整理で終わりです。しかしJALの従業員、退職者が起業年金基金と母体企業との関係を正しく理解しているとは、とても思えません。
またJALの職員が毎月の給料から天引きされている厚生年金、国民年金の「掛け金」が実は国に納付されず、基金に溜め込まれている事を知っているとはとても思えません。
国の代行分が返せず、負債だけがどんどん増えていく。そのような状態となっていない事を祈るだけです。
もし、母体の清算や法的整理手続き等が実行され、代行により徴収した国民年金・厚生年金の掛け金を金利を付けて国に払えない場合、その事を理由に国は年金受給者に対して支払をカットするのでしょうか。あるいはそのまま払うのでしょうか。
払っていた筈の年金が払われていない。大損あけたのは、しかも厚生労働省OBとかでない事を祈るだけです。
モラルか道理か・・・・資本の論理か、労働者の保護か、行政庁の無責任か・・・・分からん。
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(関連投稿)
企業年金制度と公的年金制度の問題
http://www.asyura2.com/09/hasan66/msg/159.html