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(回答先: 鳩山由紀夫HP憲法改正試案の中間報告U 引用3 「総則」および「天皇」条項について 投稿者 てんさい(い) 日時 2009 年 11 月 25 日 09:00:48)
憲法改正試案の中間報告 V
地方自治条項の改正について
鳩山 由紀夫
http://www.hatoyama.gr.jp/tentative_plan/index.html
国と地方の関係をどのように規定するか、これからの日本の「国のかたち」をどのように描くかは、平成新憲法の大きな課題である。
戦後憲法施行に際しては、GHQの強い意向で自治体首長の公選制は実現したものの、権限も財源も、その多くは従来どおり国に残された。このため、より自立的な地方自治制度の必要性は当時から指摘されており、占領下の「シャウプ勧告」(昭和二十四年)及びそれを受けた地方行政調査委員会議よる「行政事務配分に関する勧告(いわゆる神戸勧告)」では、抜本的な地方分権が提言された。
シャウプ勧告は、地方自治にとって重要なのは都道府県より市町村であるとの認識で地方財政の整備を勧告し、神戸委員会は、「国の存立のために直接必要な事務を除き、地方公共団体の区域内の事務はできる限り地方公共団体の事務」とすべきであり、府県と市町村の事務については「原則として市町村に配分する」との方針を勧告した。両勧告には、そのまま今日の日本の地方制度改革に適応できる原則が示されている。
しかし、これらの勧告は、当時の政治状況の中で実現せず、その結果、今日に至るまで、地方自治とは名ばかりの中央集権的な政治構造が継続することとなった。国の省庁の縦割り行政がそのまま地方行政の場に持ち込まれ、自治体はあたかも国の出先機関のような有様となっている。
国、都道府県、市町村が上下関係にあるかのような現在の制度は、地方の国への依頼心を助長し、住民の自治意識を形骸化させてきた。また地方の特色や必要性にかかわりなく、全国一律の施設の建設、土木インフラの整備が展開されてきた結果、地方の個性は奪われ、画一化が進んだ。補助金行政は、政治腐敗と無駄な公共事業の温床となり、国と地方の財政赤字を拡大させる原因となった。
戦後の国土開発は、国が企画し、地方自治体が実施するかたちで推進されてきた。それがいわゆる「国土の均衡ある発展」に資してきたことは否定しない。しかし現在においては、財政の無駄を取り除くためにも、地域の個性を生かした国土作りを進めるためにも、国と地方のあり方を根本から見直すべき時代を迎えている。今や「国土の均衡ある発展」の時代から「特色ある地方の発展」の時代への転換を目指して、分権改革を断行しなければならない。
身近な基礎自治体に財源と権限を委譲し、サービスと負担の関係を住民に見えやすいものとすることによって、はじめて地方の自発性、自己責任、自己決定能力が生まれる。
また、小さな中央政府を実現することは、財政負担の軽減を図るためばかりでなく、厳しさを増す国際環境の中で、国がその本来の役割である外交、防衛、マクロ経済政策の分野において、より迅速で戦略的な意思決定を行う体制を整えるためにも避けて通れない。
地方分権はシャウプ勧告以来、戦後政治が置き忘れた宿題であり、新たな憲法改正の過程で、一気に抜本的改革を断行すべきである。
道州制への疑問
近年道州制論議が盛んになっているのも、そのような時代背景によるものであろう。
経済社会の実態に合わせて全国をより広域の行政区画に再編成すべきという構想は、戦前の田中義一内閣の州庁設置案以来八十年近い歴史を持ち、時々の時代環境を反映し、その内容を変化させつつ今日に至っている。
最近の道州制論の特色は、都道府県の区画が経済実勢に合わない、という伝統的主張に加えて、地方分権推進の観点から国の権限委譲の受け皿としての期待が込められている。
経済活動のグローバル化や行政需要の広域化は事実だし、国に権限と財源が集中しすぎている現状を改め、地方分権を進めるべきだというのも頷ける。しかし道州制の導入が、その要請を二つながら解決する妙案だという発想は、にわかには受け入れがたい。
道州制の問題点は、経済的視点と地方自治の視点が混同されているところにある。
経済活動という点から言えば、地方の中小企業がどんどん海外に出て行く時代であり、県の範囲どころか、予想される州の規模でも狭すぎる。経済のグローバル化時代に、州が国の許認可権を受け継ぎ、行政優位で経済政策を展開するというのは、時代錯誤もはなはだしい。
道州制の実現が、あたかも国の財源と権限の委譲を受けるために必須の要件であるかのようにいわれているが、国際比較から言えば、都道府県が国の権限を引き継ぐ上で小さすぎるということはない。
例えば、北海道の道内総生産は約千九百億ドルであり、これはオーストリアやノルウェー一国のGDPにも匹敵する。同様に埼玉県(千八百億ドル)はポーランドやトルコに、愛知県(三千億ドル)は台湾に等しい。比較的小さい山梨県(三百億ドル)でさえ ヴェトナムやクウェートに匹敵する。日本の多くの県は、人口でも、経済規模でも、アメリカの中程度の州を越えているのである。
分権が進まないのは、県の規模や経済力が小さいからではなくて、中央官庁が財源と権限を手放したくないからに過ぎない。
道州制論には、東京一極集中や画一的な国土開発の弊害を改め、個性ある地方の発展を目指すため、という地方自治の観点からの発想もある。
しかし、民主主義の基盤として、また伝統や文化の基盤としての地域という観点からすると、今の県でも大きすぎる。住民の自治が本当に機能するには、住民が負担とサービスの関係を適切に判断できる規模の自治体でなければならない。
道州制論者は、それは基礎自治体(市町村)の役割だ、と言うだろう。確かにそのとおりで、自治の担い手は基礎自治体にこそある。
現在の道州制論議の多くは、国からの権限委譲を望む県レベルから発信されている。財源と権限の面で国が都道府県をがんじがらめに縛り、細かいところまで口出しする現状への苛立ちは、私も道府県の職員と怒りを共有している。しかしその道州制への期待には、無意識のうちに、県が州に昇格する、県職員が国の官僚と同じ権力を持てるようになる、という発想がないだろうか。
国と県の関係と同様、県と市町村も現在は従属関係にある。いま国が持っている権限の多くを県に委譲しても十分こなしていけるように、国や県の権限を直接市町村に委譲されて然るべきものも多い。
一人当たりGDPで世界一を誇るルクセンブルグは人口わずか四十万人だ。財源と権限さえ与えれば、日本の地方都市の多くは、今すぐにでも相当の統治能力を発揮するだろう。
もし、地方分権の徹底という視点から道州制を目指すというなら、県のほとんどの権限は基礎自治体に委譲されるはずだ。大半の県職員は州官僚ではなくて、市職員に格下げ(?)ということになる。本当に分権社会を作ろうというなら、まず県の分割こそ必要なことなのだ。「分権は分県」から始まる。
私は今行われているような、委譲すべき権限も曖昧にしたままの市町村合併は疑問に思う。また国と県との従属関係を、州と市に移し変えるような道州制にも反対する。
むしろ県の解体、分割という視点で、まず強い権限を持つ基礎自治体を再編すべきではないか。その上で純粋な広域的事務を行う緩やかな結合体として州を設ける改革を推進したい。その場合、広域自治体の名称は、州という強い権力を感じさせるものより、「圏」とするほうが適当ではないか。
「補完性の原理」に立つ憲法改正
経済のグローバル化は避けられない時代の趨勢である。しかし経済的統合が進むEUでは、一方でローカル化ともいうべき流れが顕著なのだ。ベルギーの連邦化やチェコとスロバキアの分離などはその象徴である。また各国で分権改革が急速に進んでいる。
グローバル化する経済に対応しつつ、伝統や文化の基盤としての国あるいは地域の独自性をどう維持していくか。それはEUのみならず、これからの日本にとっても大きな課題である。
グローバル化とローカル化という二つの背反する時代の要請への回答として、EUはヨーロッパ地方自治憲章やマーストリヒト条約において「補完性の原理」を掲げた。補完性の原理とは、もともとカトリックの原理で「問題はより身近なところで解決されなくてはならない」という考え方だが、私はこれを、日本の地方制度改革の理論とすることを支持する。それはシャウプ勧告や神戸勧告の精神とも一致する。
個人や家庭ででききることはすべてそのレベルでやる。できないことは住民やNPOがやる。彼らができないことを基礎自治体が引き受ける。基礎自治体ができることはすべて基礎自治体がやり、できないことだけを広域自治体が行う。広域自治体ができることはすべて広域自治体がやり、国は外交、防衛、マクロ経済政策だけを担当する。そして必要に応じて通貨の発行権など国家主権の一部も、EUのような国際機構に委譲する・・・。
日本の地方制度改革に必要なのは、中途半端な道州制ではなく、補完性の原理に基づき、基礎自治体に大きな権限と財源を付与する改革を断行することだ。
このような認識に立ち、私の憲法改正試案では、キーワードとして、「補完性の原理」に立脚した「地方主権の確立」を掲げ、必要な事項を憲法条文として盛り込むこととした。
第 章 市、圏及び国
第 条(地方自治体の構成)
地方自治体は、基礎自治体としての市、及び広域自治体としての圏で構成する。
第 条(補完性の原理)
市、圏及び国は、補完性の原理に基づき、住民の創意と自発に基づく自治活動を尊重し、その事務を分担する。
第 条(市の権限)
市は、この憲法の規定により国の専属的立法権限とされた事項を除くほか、その地域の事務に関する立法の権限を有し、当該事務を自主的に行う権能を有する。
2 市は、課税と徴税に関する自主権を有し、自ら必要な財源を確保することができる。
第 条(圏の権限)
圏は、国の専属的立法権限に属する事項を除くほか、域内各市の相互調整に関する事務その他その地域の事務のうち市が行うことができない事務に限り、立法の権限を有し、当該事務を自主的に行う権能を有する。
2 圏が、その任務を遂行するために必要とする財源は、圏議会が(域内各市の人口に応じて)割り当てるところに従い、域内各市が拠出する財政分担金によるものとする。
第 条(国の権限)
国は、国家の存立にかかわる事項、国家として対外的に代表しなければならない事項及び全国的な基準が必要な事項に関する立法の権限を有し、この憲法の条規に従い、その事務を行う。
第 条(国の専属的立法権)
左に掲げる事項は、国の専属的な立法権限に属する。
一 天皇及び皇室に関すること
二 外交及び安全保障に関すること
三 国会議員選挙に関すること
四 司法並びに民事及び刑事に関する基本原則に関すること
五 国の機関の組織及び財政に関すること
六 通貨、公定歩合、公正取引の確保、金融、資本市場、貿易、物価の統制、工業規格、度量衡、知的所有権に関すること
七 国籍、税関、出入国管理及び旅券に関すること
八 海難審判、海上保安、航空保安に関すること
九 基礎的な公的年金に関すること
十 全国的な電波監理に関すること
十一 医療従事者の資格に関する基準及び薬品の規制に関すること
十二 国勢調査等の全国的な統計調査に関すること
十三 国家賠償責任に関すること
第 条(競合的立法権)
左に掲げる事項は、市及び圏と国の競合的立法権限に属する。
一 治安の維持及び大規模災害への対処に関すること
二 税制に関すること
三 教育に関すること
四 公的保険及び生活保護並びに労働基準に関すること
五 基本食糧の確保及び資源エネルギーの確保に関すること。
六 重要な文化財の保護及び環境の保全に関すること
七 全国を対象とする骨格的かつ基幹的な交通通信基盤施設の整備及び管理に関すること
八 全国的な気象事業に関すること
九 郵便に関すること
十 道路交通、海上交通及び航空交通に関すること
十一 土地取引に関すること
十二 伝染病に対する措置に関すること
2 競合的立法の事項においては、国はその全国的な基準について定めるものとし、市及び圏は、国が法律において設定した全国的な基準について、それぞれの地域の特性に対応できるよう、その具体化を委任される。又必要に応じて基準等の付加、緩和ができる。
第 条(国の財政調整責任)
国は、各市及び各圏の間の財源の格差を調整するため、必要な措置を講じなければならない。
第 条(係争処理制度)
国と地方自治体又は地方自治体相互の係争を処理するため、係争処理機関を設けるものとする。
2 前項の規定は、裁判所(含む憲法裁判所)に訴えを提起することを妨げるものではない。
第 章 市及び圏の組織
第 条(憲章の制定)
市及び圏は、基本法としての憲章を定めるものとする。憲章では、この憲法が定める統治の基本原則に従い、その立法と行政の組織について定める。
2 憲章の制定及び改廃は、市議会又は圏議会の議員の三分の二以上の賛成による可決、又は議会の総議員の過半数の賛成による発議に基づく住民投票において有効投票の過半数の賛成による承認を得なればならない。
第 条(市の立法)
市の立法は、市議会が行う。
2 市議会は、予算を定め、決算を承認することその他市憲章が定める事項について議決する。
3 市議会は、市の行政が適正に行われることを確保するため、市行政に対する調査権を有する。
4 市議会の議員は、その市の住民が直接選挙する。
第 条(市の行政)
市の行政は、市行政委員会が行う。
2 市行政委員会の長を市長と称し、住民が直接選挙により選任する。
3 市長の任期は四年とし、同一の人物が継続して十二年を越えて務めることはできない。
3 市行政委員会の委員は、市長が任免する。
第 条(圏の立法)
圏の立法は、圏議会が行う。
2 圏議会は、予算を定め、決算を承認することその他憲章が定める事項について議決する。
3 圏議会は、圏の行政が適正に行われることを確保するため、圏行政に対する調査権を有する。
4 圏議会の議員は、その域内に属する市がそれぞれの憲章に基づいて選出する。
第 条(圏の行政)
圏の行政は、圏行政委員会が行う。
2 圏行政委員会の長を圏知事と称し、圏議会議員のなかから圏議会が任命する。
3 圏知事の任期は四年とし、同一の人物が八年を超えて務めることはできない。
3 圏知事は、圏行政委員会の委員を任免することができる。ただし、圏行政委員会委員の過半数は圏議会議員でなければならない。
4 圏知事は、圏議会で不信任決議案が可決されたときは、十日以内に圏議会を解散しない限り、辞職しなければならない。
第 条(住民投票)
市及び圏の住民は、憲章の定めるところにより、住民投票により、その市及び圏の決定に直接参加することができる。
第 条(監査、行政監視、情報公開制度)
市及び圏は、憲章の定めるところにより、連結決算と発生主義に基づく公会計の制度を設け、あわせて議会が承認した第三者による会計監査機関を置くものとする。
2 市及び圏は、憲章の定めるところにより、その行政委員会の活動に関して、住民の申立てに基づいて調査し、議会に報告するとともに、行政委員会に対して必要な是正措置を講ずるよう勧告する行政監視機関(オンブズマン制度)を置くことができる。
3 市及び圏は、憲章の定めるところにより、その議会及び行政委員会の事務等に関する情報について住民から開示を求められたときは、これを公表しなければならない。
第 章 補 則
第 条(施行期日等)
この憲法は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、第○条から第○条については、公布の日から三年を経過した日から施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定およびこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日の三ヶ月前に終了しなければならない。
この試案は、国としての日本の構造を、国、都道府県、市町村という縦の従属関係から、基礎自治体が強い権限を持つ分権構造につくり変えることを主眼としている。私は、基礎自治体が、国の保護や指導を当てにせず、自主的に地域の運営を行い、独自に税率を決め、必要な政策の意思決定を自由に行うことができるようするには、このように憲法の条項で具体的に保障する必要があると考える。
試案では、地方自治体として、基礎自治体としての「市」と、広域自治体としての「圏」をおくこととしている。
基礎自治体については、市、町、村、といった自治体の格付けを連想させる区別はなくし、すべて立法権と課税自主権をもった「市」として自立することを目指す。この試案が保障するような完全なる権限と財源の委譲が明確となれば、自治体に住む人々の自発的意志で、自然な形での再編が促進されるだろう。その結果、県は分割され存在意義を失うこととなる。
市の最適規模にはいろいろ議論があるが、私は吉村弘山口大教授の説に依拠し、自立可能な市の規模を人口二十万から三十万人程度と想定する。しかし、市の最適規模は都市部のような人口密度の高い地域では満たされるが、面積に比して人口の少ない地域では満足されないであろう。したがって、自主的に地域の運営ができる限りにおいて、基礎自治体としての市の人口規模を強制することはない。
「市、圏及び国は、補完性の原理に基づき、住民の創意と自発に基づく自治活動を尊重し、その事務を分担する。」
この条文は、単に国と自治体の関係を規定しただけではなく、基礎自治体に住む人々の創意と自発に基づくさまざまな住民活動、NPO、相互扶助活動こそが、自治と民主主義の基礎であることを謳ったものである。基礎自治体としての市もまた、補完性の原理により、多くのコミュニティからなる連合体ということである。
試案では、また、国と広域自治体としての圏、基礎自治体としての市の権限を、補完性の原理に基づいて、厳格に規定し、国の立法権を限定的に列記することとした。ドイツ、イタリア憲法の例に倣ったものである。
自治体の統治構造については基本原則のみを規定し、詳細は自治体独自の憲章に委ねることとした。地方自治法は当然廃止される。
市には立法と行政の広範な権限を付与し、統治機構は、首長を住民が直接投票で選ぶ大統領制型とする。首長が選任した行政委員会が執行機関となるが、米国のシティマネージャー制的な運用も可能となる。市はまた、課税自主権を持つ。
広域自治体(圏)の権限は、基礎自治体間の調整と広域的事務に限定される。統治機構は、議院内閣制型とし、市の代表者により構成する圏議会が長を選任する。圏の財源は、国連方式に倣い、域内各市が人口や経済力に応じて負担する分担金によることとした。
圏の規模については、衆議院の比例ブロックなどが目安となるであろうが、一県をもって一圏とし「信州」と名乗りたければ、それも良し、一つの政令指定都市が一圏を構成してもかまわない。基本的には基礎自治体の住民の自発的意思に委ねられるべきことである。
住民による自治を徹底させるための制度的保障として、首長の多選禁止、住民投票、透明な公会計制度及び外部監査制度、オンブズマン制度、情報公開制度、また国による自治体間の財政格差調整義務なども明記した。
さらに、国と自治体、自治体相互の間に予想される係争をどう処理していくかが大きな課題になる。このため憲法裁判所や係争処理機関の設置が不可欠となろう。
この試案では、司法については国の権限とし、現行制度を踏襲することとしているが、下級裁判所は必然的に市及び圏の単位に再編されていくであろう。
最後に、これだけの改革を行うには、かなりの時間を要する。そこで、憲法に「補則」の章を設け、この分権改革に三年の移行期間を与えることにした。三年では短いという意見もあろうが、廃藩置県も、戦後改革もごく短期間に実現した。既存の法体系に由来する巨大な官僚の権限を解体するには、憲法改正により、一気呵成にやらなければならない。