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生活不安を解消する、新しい社会ビジョンとは (宮本太郎 生活保障  排除しない社会へ)
http://www.asyura2.com/09/senkyo75/msg/228.html
投稿者 どっちだ 日時 2009 年 11 月 25 日 02:16:35: Neh0eMBXBwlZk
 


EU労働法政策雑記帳 から一部紹介します。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-4601.html

全政治家必読!宮本太郎『生活保障』

この本は、まさに時宜を得た本です。今こそ、全政治家、とりわけ与党政治家のみなさんが熟読玩味すべき本といえましょう。

わたくし的には、ベーシックインカム論が妙にはやりだしている昨今、「アクティベーション」をあるべき方向性として明確に打ち出している点が大変共感するところです。

「おわりに」から、(略)

>原因が定かではない不安が広がると、「公務員の既得権」「特権的正規社員」怠惰な福祉受給者」等々、諸悪の根源となるスケープゴート(生け贄)を立てる言説がはびこり、人々の間の亀裂が深まる。多様な利益を包括する新しいビジョンを提示する意欲と能力を欠いた政治家ほど、こうした言説を恃む。そして「引き下げデモクラシー」が横行する。

これに対して、本書は、生活保障という視点から、雇用と社会保障の関係の見直しこそが新しいビジョンの出発点になるべきであると主張してきた。雇用と社会保障をどのようにつなぎ直すかについては、アクティベーションという考え方を重視した。・・・

>着実な改革は、私たちが生きる社会の歴史と現状から出発するものであり、またすべからく漸進的なものである・そして、戦後の日本社会が何から何までだめな社会であったというのは間違いである。団塊世代の論者に多い気もするが、この国の過去と現在を徹底的に否定的に描き出し、憤りをエネルギーに転化しようとする議論もある。・・・徹底的な否定の上に現実的な改革の展望を切り開くことも難しいであろう。

戦後日本が実現してきた雇用を軸とした生活保障は、ある意味で「福祉から就労へ」という「第三の道」型の社会像を先取りしていた。日本型生活保障の、こうした形は継承されていってよい。その一方で日本型生活保障は、すべての人々をカヴァーしたわけではなく、経済成長の中での貧困や孤立など、たくさんの問題点を伴ってきた。・・・

>本書は、雇用を軸とした生活保障を、より多くの人を包摂するものとして再構築し、併せて囲い込み構造を解消して人々のライフチャンスを広げていく道筋を考えた。・・・・


岩波新書 新刊紹介
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0911/sin_k501.html

 生活不安を解消する、新しい社会ビジョンとは

 「貧困や格差の拡がりを目の当たりにし、犯罪や自殺の増大にかかわる報道に接するたびに、足下が底割れしていくような感覚が拡がっていく」と著者は言います。多くの人々が生活に不安を感じ、あるいは、社会からの疎外感にとらわれるような現在の社会は変えていかなければなりませんが、いったい、何をどう変えればいいのでしょうか。問題は複雑に絡み合い、非常に困難な作業が待ち受けています。

 本書は、多くの人々が就労でき、あるいは社会に参加できる「排除しない社会」をどう実現するのかについて論じています。そこでの切り口となるのが「雇用」と「社会保障」を結びつけて考える「生活保障」というキーワードです。日本の過去と現状を振り返り、これからの「生活保障」のあり方を考えます。スウェーデンなど欧米の経験も参考にされますが、安易な国外モデルの導入ではなく、日本型の生活保障をどう再構築するかが議論の中心となります。

 社会保障や雇用の政策について扱っていますが、私たちが「生きる場」をどう確保するのか、互いに認め合える社会とはどういう社会か、といったテーマも重要な要素として取り上げられています。その中では、秋葉原殺傷事件の犯人についての考察なども行われています。

 これからの社会保障政策のかじ取りをする政治家や官僚はもちろん、すべての働く人、あるいはそれぞれの事情で労働環境から離れている人たちが、これからの社会について考える際にぜひ読んでいただきたい一冊です。
(新書編集部 安田 衛)


■著者紹介
宮本太郎(みやもと・たろう)氏は、1958年東京都生まれ。中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学後、ストックホルム大学客員研究員、立命館大学教授などを経て、現在は北海道大学大学院法学研究科教授。
 著書に『脱「格差社会」への戦略』(共編、岩波書店)、『脱「貧困」への政治』(共著、岩波ブックレット)、『福祉国家という戦略』(法律文化社)、『福祉政治』(有斐閣)、『福祉国家再編の政治』(編著、ミネルヴァ書房)、『比較福祉政治』(編著、早稲田大学出版部)などがある。


■目次

 はじめに―生活保障とは何か
 

第一章
断層の拡がり、連帯の困難
 

1 分断社会の出現
2 連帯の困難
3 ポスト新自由主義のビジョン

第二章
日本型生活保障とその解体
 

1 日本型生活保障とは何だったか
2 日本型生活保障の解体
3 「生きる場」の喪失

第三章
スウェーデン型生活保障のゆくえ
 

1 生活保障をめぐる様々な経験
2 スウェーデンの生活保障
3 転機のスウェーデン型生活保障

第四章
新しい生活保障とアクティベーション
 

1 雇用と社会保障
2 ベーシックインカムの可能性
3 アクティベーションへ

第五章
排除しない社会のかたち
 

1 「交差点型」社会
2 排除しない社会のガバナンス
3 社会契約としての生活保障

 おわりに―排除しない社会へ
 あとがき
 参考文献  

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コメント
 
やはり既存の左翼の文脈は、新自由主義と親和的である。というよりも仲良くやっている様にしか見えない。雇用を保障することでしか生存を保障できないシステムそのものが基本権に反している。ワークフェアなどは労働を懲罰的に考えているものに他ならない。資本主義や共産主義が生産の拡大を目指した結果がベーシックインカムであり、やっとそれが可能となった現在、就労によって生存を保障しようというアイディアは新たな奴隷制度にすぎない。雇用を充実させろという既存左翼の言説は『私たちは雇い主が欲しいのです。ご主人様が欲しいのです』という表明であることを自覚してほしい。
2009/11/25 03:24
旧来の左翼は伝統的に労働を懲罰的に考えている。
労働における自己疎外を誤解してるとしか思えない。
自己疎外自体は現象でしかない。疎外物が自己に敵対して初めて懲罰的となる。
断言するが、本来的に労働は喜びである。新たな奴隷制度ではないよ。

この人は宮本顕治の息子だ。
でもね、日本共産党中央委員会顧問を勤めた宮本太郎は、同姓同名の別人だよん。
民主党系で山口二郎のお友達だ。


2009/11/25 04:10

宮本太郎教授は、ベーシックインカムを否定していませんよ。
むしろ、ベーシックインカムや負の所得税の導入を提言しています。

必ずしも、アクティベーションとベーシックインカムは、対立するものではなく、融合可能です。以下、引用。

著者は、自身の専門であるスウェーデン研究を念頭に置きつつ、こう締めくくる。
ベーシック・インカムをも含む所得保障については、国(ネイション)レベルでより柔軟に。
医療や介護などの公共サービスについては、人々のニーズに直接向き合える市町村(ローカル)レベルで、行政と民間組織とが連携しつつより機敏に。
そして雇用の創出については、都道府県あるいは道州(リージョン)レベルで、地域の特性をふまえてより果敢に、と。
一律ではない、それぞれのレベルに応じた取り組み、すなわち「福祉国家から福祉ガヴァナンスへ」の宣言である。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2009/01/20090125ddm015070007000c.html
2009/11/25 04:24

宮本太郎『福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣)
新自由主義以降の福祉国家の崩壊については、終身雇用や正規雇用中心の企業福祉を軸とする
「雇用レジーム」が動揺・解体したにもかかわらず、
それに替わる生活保障の仕組みを「福祉レジーム」が付与できていないことで説明される。
「福祉レジーム」の再編には2つの潮流があり、1つは「自立」「自助」を重んじ、給付の抑制と自己負担の増加を進める流れ、
もう1つは一部の困窮層を対象にした福祉から、すべての人々を対象とする普遍主義的な福祉を進める流れである。
両者は対立面もあるが相互に浸透している面もあり、
普遍主義が負担に耐えられない低所得層を排除する危険性も指摘される。
それぞれ隘路に陥っているという。
今後の進むべき方向性として、宮本は公共サービスについては多元化・分権化を求め、
所得保障については負の所得税やベーシックインカムのような普遍主義的政策の検討を提示する。
雇用政策についても分権化を求め、それ故に「道州制」を示唆する。
その結論には疑問があるが、日本の社会保障政策の在り方を考える上で非常に勉強になった。
参照文献の説明もあり、この問題の入門書としても最適だろう。
http://d.hatena.ne.jp/mahounofuefuki/20081116/1226841465
2009/11/25 04:26
私の悪い頭ではなかなか理解できないのですが、いくつか気になる点について質問させていただきます。

まず雇用について何ですが、生活保障とて雇用を与える点ですが、外的な要因が無い限り安定した経済になるでしょうけど、成長はするのでしょうか?
次に労使の関係についてですが、経営者の負担が増すのではないでしょうか?
次に医療等の行政サービスに措いて地域格差が発生するのではないでしょうか?
最後にベーシックインカムについてですが、これは税制としての制度で行うと言う事は外国人就労者等へも適用させると言う事でよろしいですか?

以上です。
(禁煙できません)
2009/11/25 07:51

・基本的生存権=BIは日本国籍を有するものに、その権利が保障される。

・学歴、年齢差別による、雇用制度は改めるべきである。

・能力の有無に関わらず、雇用機会に格差を生じさせることは、社会的損失に他ならない。

・資格や教育は、受けたい者全てにその機会を与えなければならない。その様な制度にしなかった結果が、今の社会の破綻を招いた=意味が無い。

・貨幣は政府が、政治主導の下、自ら発行すべき。それには無償還国債も含まれる。
2009/11/25 23:46

2009/11/25 23:46
マルクスの思想を元に考えれば仰っている事は理解できます。
あえて反論させてもらえば、それでは国際的な競争力が低下してしまうのではないでしょうか?
能力も無いのに立派な職について、逆にすばらしい能力を持っていてもその職が役不足になってはそれこそ社会が破綻してしまう様に思えます。

(禁煙できません)
2009/11/26 03:36

2009/11/25 23:46さんじゃないけど、2009/11/25 23:46が言うところの「マルクス思想」って何?
2009/11/25 23:46のどのあたりが「マルクス思想」なんですか?


2009/11/26 04:59

私の勘違いでなければ、この中に「需要と供給」の概念が入って無いように見えたからです。
能力の有無に関らず雇用格差を無くすと言うことは需要と供給のどちらかが欠如してしまう事になるでしょう。
更に貨幣は政府主導の下発行すべきとありますが、いくらでも発行してしまえばハイパーインフレを起こしてしまい、旧ソ連やジンバブエの様になりかねないと思ったからです。
(禁煙できません)
2009/11/26 05:42
追記
私の勝手な認識ですがマルクスの思想は資本主義の批判的分析で作られているのだと思います。
つまり、社会的な生産(雇用)は「需要と供給」=市場のメカニズムを廃したもので、労働=対価(社会保障)になってしまいがちで、もちろん労働も市場に措いては商品の一部であることは確かですが需要と供給の中で価格が決定するのが正しいのであって、社会保障=労働はマルクス主義の様に思えます。
(禁煙できません)
2009/11/26 07:18

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