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インターネット上でも、または、マスコミでもすでにいくつか取り上げられているが、JAL問題の本質はいわゆる年金つぶしであるように思う。JALで狙われているのは確定給付型(給付額が決まっている年金。4.5%の運用が契約時に約束されている)の企業年金だが、その内に、厚生年金や共済、国民年金にまで及んでいくだろう。
JALの企業年金は、結構複雑で、退職時に退職金の一部を4.5%での運用を約束するJALヘ預けて5年とか10年の期間受け取るものと、給与から一定額を在職中積み立てて終身、つまり、命のある限り一定金額を受け取るものなどがあるようだ。(ただ、この辺を分かりやすく示した資料がない。JALの組合のサイトにある程度説明したものがあるが組合員用であり、一般の人から見るとよく細部が分からない。だから、自分の理解も間違っているのかもしれない。)ともかく、法的には、加入者の3分の2以上の賛成を得ないと年金額減額は出来ない。それを、政府や企業が財政が厳しいからと言って勝手に減額できるとしたら、それは、大変なモラル低下を招くことになる。
JALの経営のでたらめさは、まず第一に政治家との癒着にある。国鉄が日本全国に赤字路線を敷いて、その結果、巨額な借金を築き上げ、民営化を通して借金を分離し結局国の一般会計へ押し付けてしまったのはすでに事実としてあることだ。JALも国鉄と同様に、地方空港のまったく採算の取れない路線を担当させられ、基本的にはそういったことから赤字に陥っている。だから、赤字分は国が引き受けるというのは、ある意味、国鉄などで行われてきたことと同じだ。
ところが、今回は、政府保証をつけることに対して、企業年金の減額なくして政府保証が付いた融資をこれ以上することは出来ないとしている。JALの経営危機はなにも企業年金に原因があるわけではない。赤字をもたらしている根本原因は赤字路線を余りに多くJALが受け持ってしまったことにある。なぜ、赤字路線をJALが引き受けることになったかについて踏み込まず、単に、企業年金だけを狙い撃ちすることは、JAL危機を年金問題の解決に使おうという意図があるようにしか見えない。政権が変わったからそれは当然だとする見方もあるのだが、自分は、もともと、こういうことを目的にして自民党から民主党への政権交代が仕組まれていたのだと考えている。自民党の余りに急激な凋落には幾つも不自然な点がある。それらについては、自分の今までの投稿、特に、昨年末から今年8月までのものを読んで頂きたい。
では、年金問題の解決とは何かと言ったら、各種年金の給付額の一方的な引き下げを出来るようにするということだ。JALという超有名企業、もともとは超優良企業であった企業でさえ、企業年金に引き下げが避けられない事態なのだから、自分たちの企業も引き下げが仕方がないという世論を作ることにある。
企業年金の積み立て不足はほとんどの企業で生じているから、企業年金の支払いが今度本格化すると、企業が株の配当金に回す利益が少なくなってしまう。だから、企業年金の減額が経営側の判断だけで出来る、または、加入者のたとえば二分の一の賛成で出来るとなれば、それだけ、株の配当金へまわす利潤を多く確保できる。日本の一流企業の株主の3割から5割は外資である。
更に、日本では、今後30年ほどの間に、東海地震とか関東大震災、または、大阪名古屋を襲う大規模地震が起こる確率は60%とか90%と言われている。そして、それらによる被害は軽く数十兆円から100兆円を超えると政府部門が予測している。不思議なことに、被害額の発表はされるが、その被害をどう回復していくか、そういったことについては一切発表がない。当然、過去の震災の事例を参考にして対策を立てているはずだが、発表されないのだ。仮に震災復興に50兆円必要だとして、それだけの巨額な資金を負担できるのは年金積み立て資金とか郵貯資金しかない。
だから、大きな震災が起これば、ほぼ確実にそれを口実にして、年金支給額の大幅な減額が行われるはずだ。実際、それしか手がないとも言える状況で、仕方がないとも言えるのだが、それならそれで、そういう状況だと事前に政府が国民に対して説明するべきだ。それをしないで、JALの経営危機を使って年金減額の実績作りをするのは、非常におかしなことだと言わざるを得ない。
だから、最もあり得るシナリオとしては、JALに続いて他の超優良企業での経営危機が表面化し、企業年金の減額が行われ、それに引き続いて、他の年金の引き下げが財政悪化を理由として、一方的に行われていくと言うことではないだろうか?
しかし、それは明らかに本当の問題をごまかしているのだ。つまり、赤字の真の原因を解決することをしないで、単に、年金引き下げをすることになるからだ。少なくとも、株の配当金への税金がたったの10%と言う現状は余りにおかしい。外国並みに、少なくとも40%は課税するべきだし、50%課税でも決して国際的におかしい数字ではないのだから。