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http://ameblo.jp/aratakyo/entry-10394881637.html
ことし5月、次世代スーパーコンピューターの国家プロジェクトに激震が走った。
経営悪化を理由に、NECと日立が巨額開発資金を必要とするこのプロジェクトから撤退したからだ。
残されたのは、事業主体の独立行政法人「理化学研究所」と、富士通である。
その2ヵ月後、理化学研究所の野依良治理事長が「経済危機とはいえ、強い憤りを感じている」と講演で語ったのは、ショックの大きさを物語っていた。
先日の事業仕分けで、このプロジェクトに厳しい裁定がくだされた。テレビや一部活字メディアでは、「費用対効果だけで判断している」などと、仕分け人たちに批判的だ。
しかし、実際の議論を聞くか、行政刷新会議のHPに掲載されている仕分け人のコメントを見れば、そんな単純な話ではないことが簡単に分かる。
「NECがなぜ撤退したのかを調査すべきだ」
「ベクトル、スカラーの選択も、十分な総括ができていない」
事実の問題として、この2点は仕分け人たちの心にひっかかったはずである。
NEC・日立がベクトル型、富士通がスカラー型という、複合システムのスパコンとなる設計だったのに、NEC・日立が抜けて、富士通のスカラー単独システムに急遽、変更することになった。
それでほんとうに大丈夫なのか。いったん立ち止まり、新しい研究者も入れて、スパコンの国家戦略を再構築してはどうか。そういう意見が出たのは当然のことだろう。
しかし、少なくとも、事業仕分けの時間内に、文科省や理研から仕分け人を納得させる説明はなかった。
わが国において、NECはこの分野の先頭を走っていた。スパコン世界ランキングで2002年6月から2004年11月まで、トップを独走した「地球シミュレーター」のベースマシンがNEC製だ。
文科省が発案し、理研に事業委託したこの国家プロジェクトの目的は、地球シミュレーターより高速で汎用性の高いシステムを構築することだ。
次世代スパコンの開発には、これまで545億円の国費が注ぎ込まれ、今後さらに700億円近くの国費投入が必要とされている。
文科省や理研が自信をもって、「2012年に世界最高速のシステムを稼働させる」と言うのなら、NEC撤退によるシステム変更の影響やその対応について、より説得力のある説明が必要だろう。
菅直人国家戦略相は、事業仕分けで「凍結」とされた次世代スパコンの予算を、行政刷新会議等で見直すことを示唆しているが、世間の漠然とした空気に押されることなく、理研の計画に無理がないかどうか冷静に検討することが大切だ。
政治判断で事業仕分けの結論を覆すことはもちろん可能である。しかしその場合、どんな予算であろうと、変更理由を国民にきちんと説明しなければならないことはいうまでもない。
そうでなければ、予算査定の過程を一部とはいえ国民に公開した意味がなくなってしまう。
★要はもっときちんと必要性について説得力のある議論、検証、説明責任を果たせということ。
日立とNECが計画を抜け、富士通だけになったこの計画に、どれほどの意味があるのか、技術者や研究者は国民に対して説得力のある説明を行うべきだろう。
「素人にはわからないかもしれないが、この分野の研究は大切」とか「科学立国の火を消すな」といった情緒的な議論ではやっていけないところまで来ているということを、技術者や研究者は肝に銘じるべきだ。