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2009年11月22日 (日)
財務省主計局と「思いやり予算」
行政刷新会議が推進している「事業仕分け」作業、枝野幸男・民主党元政調会長はその実務的統括役である。枝野政調会長は21日(土)の読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」にゲスト出演した。その中で、24日から27日までの事業仕分け後半作業について、在日米軍駐留経費(通称:思いやり予算)は、制度の基本に触れない意向を示した。つまり、「思いやり予算」そのものの是非に踏み込み、全体の額の規模については、外交交渉の範疇にあり、今回の仕分けの範囲外にあるいうことらしい。
枝野氏のこの見解は奇異である。民主党が政権交代のスローガンに掲げた「対等な日米関係」を実行するなら、毎年、2千億円以上になっている「思いやり予算」こそ、予算縮減の対象とされるべきではないのか。在日米軍駐留経費は、1978年に当時の金丸信防衛庁長官が、在日米軍基地で働く日本人の給料を日本側が肩代わりすることから始まっている。この時は62億円だったものが、1995年には2714億円に達しており、2000年以降は毎年、2千億円を上回っている。実際はその他に目に見えない負担が掛かっており、最近は毎年の総額が五千億円くらいだという噂も出ている。
この膨大な米軍駐留経費こそ、無駄な予算の典型である。日米安保条約や日米地位協定が絡んだ話なので、外交的に微妙な問題があることはわかる。しかし、それで瑣末な部分以外には手を付けないとするなら、今までの自民党と何ら変わらない状況を是認することになる。それは負け犬外交そのものだ。思いやり予算の全額カットは無理でも、日米関係の外交的な対等を志向するなら、予算の大幅カットは絶対に目指すべきだ。
国民が民主党に国家運営を託した理由は、米国の日本収奪があまりにも露骨になってきたからだ。小泉政権は竹中平蔵氏を経済の主導者として、日本国富を米国に移転させる政策に勤しんだ。植草一秀さんが指摘した「りそなインサイダー取引疑惑」という大掛かりな金融操作や郵政民営化も、根底には米国への大規模な国富移転がある。本来は国内で還流するべき金融資本のかなりの額が米国へ流れてしまった。同時に何ら有効性のないマクロ経済政策のせいで、日本はデフレの闇に突入し、国民生活は逼迫した。
新政権は、革命的な政権であり、国民は自民党55年体制の膿を洗い流して政治体制を刷新することを期待している。しかし、民主党の左翼な傾向が首を出しているのが気がかりである。その歯止めとして国民新党が加わっているのは大きな意味がある。対米姿勢で最も筋が通っていて立派な態度を持っているのが亀井金融・郵政担当大臣だ。少数政党ではあるが、新政権は国民新党を羅針盤にする必要がある。
新政権は二重の意味で大変な困難に遭遇している。一つは対米姿勢だ。これは普天間問題でもよく出ている。現状での日米二国間関係の舵取りが難しいことはわかるが、自民党と同じことをやっても政権交代の意味がない。やっぱり米国の収奪意志には可能な限り対抗するするのが国民との約束である。そのために国民新党を合流させ、閣内に入れたのではないか。もう一つの困難な道は、財務省(旧大蔵省)との対決にある。
事業仕分けの本当の目的は、財務省主計局の予算配分という、今まで国民から遮蔽された領域に手を付けることだ。自民党では誰もやらず、誰もできなかったことに、新政権は果敢に挑戦した。その意味で事業仕分けの意義は画期的であり、まさに革命政権の真骨頂である。 調べてみると、財務省の予算編成作業は、「概算要求基準」の決定で始まる。「概算要求基準」とは各省庁の予算要求を、大まかな区分に従って、それぞれ幾らまで要求できるかなどをあらかじめ決めておく指針らしいが、原案作成は財務省主計局が行っている。
原案作成は財務省(旧大蔵省)が行うとあるが、これこそが自民党55年体制で、財務省が国家運営に指導権を持っていたことを示す「裁量権」なのである。したがって脱官僚支配という構造的変革を成し遂げる場合、この財務省裁量権を真っ先に無効化する必要がある。その意味で事業仕分けは、国民に対し、今まで聖域になっていた財務省の裁量空間に踏み込んだことで、画期的な意味を持つ。しかし、悪徳ペンタゴンがこれを看過することはありえないことであり、内部工作として仕分け人に財務省の息のかかった連中を送り込んだ形跡がある。だから今回仕分けがどこまで有効になるかわからないが、少なくとも、この作業を実現したことは突破的であろう。
だが、はっきり言って凌雲会の連中は危ない。国民は要注意である。この連中はすでに財務省支配に取り込まれた可能性が高い。「財務省支配」とは、財務省主計局が国家予算の編成権を有することで、各省庁や政治家を支配していることを言う。予算配分権、つまり、税金をどのように使うかという裁量権を持つのが、財務省(旧大蔵省)主計局の最大の権力であり、これは事実上、国家の運営を仕切っているということになる。
在日米軍への「思いやり予算」は防衛庁の所管だが、実際のところ、財務省がこれにどれくらいの裁量権を持っているか知りたいところである。毎年、数千億円の規模であるから、財務省主計局が関与していないはずはない。「思いやり予算」は思いっきり削減するべきだ。それが、国民に対する「思いやり」である。