★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK75 > 149.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
■デフレ認めた政府、脱出へ軌道修正を さとうしゅういち2009/11/21
政府(菅直人副総理・国家戦略担当大臣)は11月20日、月例経済報告を発表し、
「物価の動向を総合的に勘案すると、緩やかなデフレ状況にある」との見解を表明しました。
政府の「デフレ」認定は06年6月以来3年5カ月ぶりです。
・月例経済報告関係資料( http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei.html )
月例経済報告によると、
・景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。
・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業ではそのテンポは遅い。
・雇用情勢は、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
ということです。
先行きについては、「当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、
海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される」とする一方で、
「雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、
景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要」があると結んでいます。
■「デフレ対策」と称して日本をぶっ壊した「小泉・竹中」
わたしは正直に申し上げて、デフレに対する危機感が現政権も旧政権も今まで弱かったか、
認識はあっても適切な政策が採られていなかったと思います。
小泉政権の竹中経済財政担当大臣らはデフレであることは認めていました。しかし、その対策として、
・「不良債権処理加速化」と称して中小企業から融資を引き上げさせる。
・大手企業の輸出を援護射撃するためにアメリカ国債購入という形では「財政出動」する。
・派遣労働の規制緩和を進め、コストカットによる大手輸出企業援護射撃を行なう。
を取ってきました。
その結果、輸出主導で「いざなぎ景気」を超える景気回復があったと喧伝されたのですが、
リーマンショック以降の世界同時不況で化けの皮がはがれてしまいました。
実を言えばその前から、原油や資源価格の上昇により、日本は苦しくなっていました。
その後、資源価格は落ち着きましたが、今度はアメリカ経済の崩落で、輸出が激減し、日本企業は一挙に苦境に立たされ、
労働者を放り出すという無責任な対応に追い込まれたのです。
いずれにせよ、コストを削ってなんとかアメリカに輸出することに活路を求めた「小泉・竹中路線」は早晩破綻するのは目に見えていました。
小泉・竹中のお二人は「デフレ対策」を呼号しながら日本をぶっ壊し、自民党もぶっ壊してしまった、といえるでしょう。
■「生活第一」も「マクロ経済」への危機感薄い現財務相ら
一方、民主党を中心とする現与党は「国民の生活が第一」「企業支援から家計支援へ」をキャッチフレーズに総選挙で政権を奪取しました。
そのキャッチフレーズ自体は正しい。
企業を支援し、企業が人々にセーフティネットを提供するというのが今までの自民党政治ですが、
それでは不況時に落ちこぼれてしまう人がたくさん出ることが明らかになったのです。
ですから、まず国民の生活を支えるという路線自体は悪くない。
麻生さんは、大手企業やお金持ち、天下り官僚が潤うが一般庶民には効果が疑わしいような施策が多かったのも事実であり、
そういう意味からも、総選挙で民主党が圧勝したのは当然です。
そして、事業仕分けなどで、予算決定プロセスを透明に見せようという努力も良いでしょう。
かつて、亀井静香さんが自民党時代に、中海干拓事業(島根・鳥取)などをバッサリと中止しました。
あまりにもひどい無駄の温存は、政府への信頼を低下させます。
その結果、必要な事業まで実施しにくくなってしまいます。
ですから、亀井さんのあのときの対応は当然です。
今後とも、そういう文脈での透明化、効率化は大賛成です。
だが、問題は、藤井財務大臣・平野官房長官ら(及び彼らに代弁される財務官僚)の「緊縮財政路線」です。
今回の「デフレ」認識を受けて藤井さんらも「大変な危機意識」とおっしゃってはいます。
デフレ「大変な危機意識」 藤井財務相
( http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091120/fnc0911201108011-n1.htm )
反省していただきたいと思います。
「大変な危機意識」を持っているのに、財政運営を軌道修正できない、ないし、
小泉・竹中的な「デフレ対策」に突き進むようなら、藤井さんは罷免されるべきです。
■溜飲下がっても禍根残す緊縮財政
財政支出を削っても、何も手当てをしなければ、それだけデフレが悪化します。
そして、財政問題を理由に弱者へのセーフティネット整備を渋れば、生活不安が拡大します。
また、科学技術などへの投資を削れば、将来的な日本経済の生産性を低下させるでしょう。
今は、積極的なセーフティネット整備。そして、投資です。
そもそも、行政がやることは儲からないけれども、民主主義のルールで話し合って必要と認定されたから行われるのです。
民間企業の基準で無駄だ、と言い出したらそれこそ、何でも無駄になってしまいます。
このままでは、バサバサと事業を削って「溜飲は下がったけど、気がついたら、みんなおなかペコペコ」ということになりかねません。
さらにいえば、六ヶ所村の再処理施設などは仕分けの対象にはならないのです。
結局のところ、弱者を狙い撃ちにしておしまい、ということにもなりかねません。
■再分配強化・リフレなくして乗り切れない
デフレのそもそもの原因のひとつが、お金がある人が溜め込んでしまっているために、需要が不足することです。
日本の場合、所得再分配機能を政府が果たさないどころか、子どもの貧困率は「再分配後」のほうが上昇してしまう始末です。
・「派遣村から見える戦争と平和」湯浅誠さん、広島で大いに語る
( http://www.news.janjan.jp/government/0911/0911032601/1.php )
お金がある人から政府に何らかの形でお金を流し、それを政府が社会保障や将来への投資のために使う、という仕組みをつくることが今、必要です。
同じ与党でも国民新党や社民党はお金がある人からはもっと負担してもらう路線です。野党の共産党もそうです。
国民新党の場合は、非課税の無利子国債をお金がある人に買ってもらう、という政策も発表しています。
ところが、民主党はこの部分が弱い。そうなると、どうしても、歳出削減に走らざるを得なくなるのです。
あとは、勝間和代さんが提案したような、日銀に国債を買ってもらう方向でのデフレ脱却も菅副総理が同意されたように、魅力的です。
・「国民の生活が第一」なら勝間デフレ退治提案採用を
( http://www.news.janjan.jp/government/0911/0911112981/1.php )
もはやデフレ状況だと認めたのですから、あらゆる手段を考えるべきです。
■マスコミ論調も変化で転換のチャンス到来
今まで、マスコミもどちらかといえばデフレ脱却への意気込みは余り感じられず、むしろデフレに好意的なようにさえ感じました。
これは、高給取りが多いマスコミの正社員に取り、デフレのほうが(物価下落で実質賃金が増えるので)都合がよいということも背景にあったのではないか、
と邪推します。
しかし、マスコミ論調も変わってきてはいます。産経新聞では以下のような記事も掲載しています。
・【デフレの恐怖】(上)「安い買い物」が給料下げる (1/4ページ)
( http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091101/biz0911012205006-n1.htm )
これは、マスコミにも不況の影響が広告料収入減少などの形で響いてきて、自分たちの首も危なくなっているからではないか、と思います。
ここら辺で、「国民の生活が第一」を貫徹するにはどうすればよいか、を現政権は真剣に考えるべきです。
そして、路線の修正を決断すべきときではないでしょうか?
http://www.news.janjan.jp/government/0911/0911203418/1.php
関連:
【藤井財務相は、辞任を!】いまこそ「亀井大蔵大臣」を待望す/積極財政+累進課税強化で乗り切った昔のアメリカ
http://www.asyura2.com/09/senkyo74/msg/931.html
楽観論に浸りきった末の宣言
http://www.asyura2.com/09/senkyo75/msg/138.html
問題解決は問題認識から〜菅経済財政相、「デフレ」公式に宣言
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2009/11/--yahoo-d9b7.html
「デフレ危機」論争について〜勝間和代からのメッセージ
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2009/11/post-50dd.html
国家戦略室への提言「まず、デフレを止めよう〜若年失業と財政再建の問題解決に向けて」
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2009/11/post-288b.html