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【神州の泉―高橋博彦】
2009年11月20日 (金)
事業仕分け作業の方向性は正しいのか!
郵政民営化の偽装性や詐術性を、私と同様のスタンスで先鋭的に批判しているブログ、 「父さんの日記」さんが、事業仕分けについて、下記のように言っている。
「事業仕分けがマスコミを賑わせているが、いまひとつ何がどうなっているのか私には理解し難い。恐らく、事業仕分けの中心に陵雲会の二人(仙石氏と枝野氏)がいること、財務省に主導権を握られていること、市場原理主義者が仕分け人にいること、そしていつものマスコミによる情報操作があるはずだということ。これらの要因が作用し私には事業仕分けの実態が見えてこないのである。」
私も同じように感じている。仕分けの基準や考え方をどのような方針でやっているのかよくわからない。行政刷新会議の5日間の「事業仕分け」で、政府予算の無駄が約1・4兆円が指摘されたらしい。自民党55年体制の機構の中で、政府予算が国民のために有効に使われているかどうか、わからないようなグレーゾーンをあぶりだすためには、この仕分け行為は有効であると思う。しかし、表層的な判断を下してしまえば、過去の積み重ねや努力が無駄になるリスクもある。
与党政権の基本方針が、予算の無駄を発見して、国庫返納し、それを有効に使うということだからだ。あるいは恒久財源として確保できるものもあるだろう。異常に長く続いた旧自民党政権時代の政官業癒着構造の中で、事業名目だけは立派だが天下りの温床となっているような、隠れ蓑的な事業は多くあるに違いない。本来インフラ、福祉、医療などに使われるべき予算が、カモフラージュされた税金垂れ流し事業に湯水のように流れる悪弊は糺さなければならない。
したがって、事業見直しの基本は賛同するが、問題はその内訳であろう。「日本経済復活の会」会長さんである小野盛司氏は、次世代スーパーコンピューターの来年度予算(267億円)の縮減という判断について、ノーベル化学賞受賞者の野依(のより)良治氏が、「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」と憤慨していることを掲げ、事業仕分けの方針に強い懸念を示している。科学技術振興は、試行錯誤や不断の挑戦が付き物である。一見無駄でも、よい結果を得るためにはやり続けなければならないことがある。目先の効果を期待したら、あらゆる科学研究が駄目になる。
「巨額の税金を投入し、どんな効果があるのか」「科学の重要性は理解できるが、世界一を目指す時代ではない」などが、来年度予算の計上額を大幅縮減する理由なのだそうだ。また、驚愕の思いなのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中型ロケット「GX」計画を「ビジネスとして成立しない」として中止すべきだと判断したことだ。ロケット技術はビジネスだけの問題なのか。将来の宇宙産業技術や国防技術のためにも、ロケット開発にはこれまで以上に力を注ぐ必要がある。
スパコンの予算縮減と中型ロケット開発中止は、妥当性がまったくないどころか、日本の国力を弱める算段としか思えない。これらは目前のビジネス的利益でやるのではなく、国力を高め、将来、国民生活向上と国家防衛に寄与するためにやっているプロジェクトではないのか?明らかに間違っている。これらは、何が建設的で、何が無駄なのか、明確な思想や展望がないことを示す。
気になることは、仙谷行政刷新大臣や枝野幸男氏ら、凌雲会の面々が見え、民間仕分け人に、小泉構造改革を扇動したフェルドマン氏や川本裕子氏などがいることだ。あと、植草さんもブログで警鐘を鳴らしているが、財務省の意志が強く働いていることと、小泉政権を動かしていた悪徳ペンタゴンの内部工作が熾烈になっている感じがある。この事業仕分け作業に国民が目を光らせないと、下手すれば小泉政権が「聖域なき構造改革」を行って国民生活を大破壊したことと、同じことが進行する可能性がある。財務省が裏でコントロールすれば、そうなることは目に見えている。
そうなっては政権交代の意味がないどころか、悪夢の小泉・竹中構造改革路線の急進的再現に繋がりかねない。11月24日から始まる「事業仕分け」作業の後半部では、米軍への「思いやり予算」の大幅削減と、財務省予算への斬り込みをやるべきである。これにどれだけ踏み込めるかが分水嶺のような気がする。
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