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鳩山官邸が画策する12月電撃訪朝計画
(週刊朝日 2009年11月27日掲載) 2009年11月18日(水)配信
鳩山由紀夫首相(62)が臨時国会後の12月に電撃訪朝し、金正日総書記(67)との日朝首脳会談を開く計画を首相官邸周辺が進めていることがわかった。北朝鮮関係者からは特定失踪者の一部を帰国させる可能性も伝えられているという。アジアとの共生を唱える鳩山友愛♀O交の核心、北朝鮮との極秘交渉の舞台裏をすっぱ抜く。
11月10日朝、首相官邸に着いた松井孝治官房副長官(49)は、取り囲んだ記者団に思わせぶりな言葉を残して副長官室に入った。
「今日は鳩山内閣、そして日本にとっても歴史的な一日になるかもしれない」
3日後にオバマ米大統領の訪日を控えた時期の鳩山首相側近の一言。すわ、基地問題など日米関係で重大な発表があるのではないか、とマスコミ各社は記者を確認に走らせた。
しかし実際には、すでに報じられていた5年間で50億ドル(約4500億円)のアフガニスタン民生支援策が正式に公表されただけで、衆目を集めるような“重大発表”は行われずじまいだった。
この日は、夜に千葉の英国人女性殺害事件の市橋達也容疑者逮捕など重大ニュースが相次いだために、官房副長官の一言が大きく報じられることもなかった。
ところが、実は首相官邸はこのタイミングでひそかに“重大発表”の準備をしていたというのだ。
小沢一郎幹事長(67)に近い民主党幹部は、
「]デーは極秘扱いでしたが、参院予算委員会終了後に鳩山首相の訪朝計画が発表されるはずでした。当日の午前に黄海で北朝鮮と韓国の海軍船同士の発砲事件があり、北朝鮮側がドタキャンした。仕切り直しで改めて日程を調整中と聞いています」
と証言する。臨時国会は1週間前後の延長含みで推移しているため、12月上旬か中旬の訪朝が検討されているのだという。
証言どおりなら、6者協議への復帰を拒んで米国との2国間協議にこだわってきた北朝鮮が、政権交代を機に、じわりと鳩山政権との対話路線に転換したということになる。なぜ北朝鮮は態度を変えたのか?
実は、政権交代直後から、民主党幹部に近い議員に対して、さまざまなルートで北朝鮮側は接触してきていたという。鳩山首相に近い民主党中堅議員は、
「総理の国連演説後に地元の朝鮮総連関係者から『東アジア共同体構想には北朝鮮も含まれるのか』という問い合わせがあったので、官邸に確認して『含まれる』と答えました。鳩山総理は本気で東アジアを友愛で結び、二度と戦争のない地域にしたいのだと言ったら、彼は驚いていましたね」
と舞台裏の一端を明かした。北朝鮮側は、鳩山内閣が従来の拉致問題の土俵を広げて、特定失踪(しっそう)者問題の解決をも重視する姿勢を示したことに強い関心を見せたという。
鳩山首相は、拉致問題担当相に小沢幹事長に近い中井洽(ひろし)氏(67)を起用し、
「拉致被害者だけでなく特定失踪者についてもさらなる調査をするように」
と指示した。
中井拉致問題担当相は、「北朝鮮政府の関与」を要件とする従来の政府の拉致被害者の定義を見直し、「特定失踪者」についても拉致被害者と同様に取り組む方針を表明。11月2日には特定失踪者家族と懇談した。
こうした動きと前後して前出の首相側近議員のところに北朝鮮政府筋から、
「特定失踪者問題を前進させるために、鳩山首相は訪朝する意思はあるか」
と打診があったという。
「特定失跡者の問題も重要な拉致の問題ととらえて解決を図るというのが鳩山内閣の立場だと伝え、そこから外交ルートでの日朝首脳会談の交渉が始まりました」(前出の首相側近議員)
北朝鮮関係者との水面下の接触情報は、民主党の小沢幹事長の元にも逐次届けられていた。
「特定失踪者の何人かでも帰ってくるなら、鳩山総理が訪朝する価値がある」
小沢氏は、官邸筋から伝えられた鳩山訪朝計画を側面支援することを即断したという。民主党副幹事長の一人は、内幕をこう語った。
「小沢幹事長はすぐ、臨時国会に在日外国人の地方参政権を認める法案を提出するように指示しました。幹事長室の会議で、『これは北(朝鮮)へのサインだ』とはっきり言っていました」
唐突に政治日程に浮上した感のある在日外国人地方参政権法案には、鳩山内閣とそれを支える民主党が、対北朝鮮融和路線にかじを切ったというメッセージが込められていたのだ。
「鳩山首相の支持率は依然高い水準とはいえ、日本郵政の人事あたりから下降気味。かつて小泉元首相は田中真紀子外相(当時)をクビにして人気が急落した時に、電撃訪朝で支持率を回復した。それを小沢幹事長は鳩山首相にやらせようとしているんです」
と前出の副幹事長は鳩山訪朝計画の狙いを語る。
一石二鳥を狙う「外国人参政権」
別の民主党幹部は、
「小沢氏が在日外国人地方参政権法案を持ち出した狙いは二つ。一つは日朝交渉の環境整備。もう一つは、法案賛成の公明党と反対が強い自民党を分断すること。臨時国会では法案を継続審議にして来年夏の参院選前に、党議拘束を外してでも採決をするはずだ」
と予想する。
まさに外交と選挙をにらんだ政局の一石二鳥を狙う剛腕・小沢幹事長らしい一手ということなのだろう。
鳩山訪朝計画の発表が見送られた10日午後3時過ぎ。国会内の民主党幹事長室を平野博文官房長官(60)が訪ね、人払いして約30分間、小沢幹事長と2人だけで話し込んだ。そこで開催が決まったという11日夕の政府・民主党首脳会議で、
「在日外国人地方参政権法案の国会対応は小沢幹事長に一任する」
ことが確認された。
日朝首脳会談の行方と拉致問題での北朝鮮側の出方をにらみつつ、どのタイミングで国会採決のボタンを押すかは、小沢幹事長の剛腕に握られたことになる。
12月10日から3泊4日の日程で中国を訪問する予定の小沢幹事長は11日、民主党との定期協議で来日した中国共産党中央対外連絡部王家瑞(ワン・チアロイ)部長を前に自信たっぷりにこう言い放った。
「民主党は結党時からアジア外交を重視し、諸外国との交流を積み重ねてきたがその中核は日中関係。さまざまな地球的な課題解決に向けて両国がリーダーシップを発揮することを国際社会が求めている」
鳩山首相の訪朝を期待する理由について、ある民主党議員は北朝鮮関係者からこう説明を受けたという。
「鳩山首相の祖父、鳩山一郎氏は、首相を辞めたあと、在日朝鮮人の北朝鮮への帰国運動の支援に尽力し、超党派の在日朝鮮人帰国協力会の会長を務めた。北朝鮮にとっては恩のある方です。鳩山首相も自社さ政権当時に新党さきがけの代表幹事として、渡辺美智雄氏が率いた与党3党訪朝団で平壌を訪問し、朝日関係を正常化する懸け橋になろうと努力されてきた方だと理解しています」
日米関係ではぎくしゃくが目立つ鳩山政権だが、対北朝鮮外交では、中国と太いパイプを持つ剛腕幹事長が後ろ盾についた。小泉内閣以降、自公政権が手をこまねいてきた北朝鮮外交を打開できるのか。鳩山“友愛”外交の真価が問われることになりそうだ。
本誌取材班
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20091118-02/1.htm