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米軍再編避け「同盟強化」演出
民意に縛られたオバマ訪日
2009年11月13日付
オバマ米大統領が13日にはじめて来日し、鳩山首相との首脳会談で、政治・経済など全面にわたる対米従属の日米関係の継続を再確認しようとしていた。だが、戦後64年に及ぶ自民党のアメリカべったりの政治を打ち倒した人民世論は、沖縄や岩国などで「米軍は基地を持って帰れ」の運動となって噴き上がり、オバマのもくろみは見事に外れた。来年の「日米安保条約」50年を前に、日米の従属的同盟を根本から転換する力が強まっている。
今回の鳩山・オバマ会談では、米軍再編、アフガニスタン支援、気候変動問題へのとりくみ、核軍縮などがおもな議題となるはずだった。とくに焦点は米軍再編にかかわる普天間飛行場の名護市沖への移設だった。
ところが、鳩山政府は「対等の日米関係」をめざすとして同基地の「県外、国外移設」を口にして結論をなかなか出せないため、オバマ政府との関係がぎくしゃくしてきた。8月の総選挙で民主党が圧勝し、民主党中心の連立政府が発足した当初は、まだ「2、3カ月はがまんすべきだ」としていたが、10月16日に鳩山首相が移設方針は来年1月の名護市長選まで先送りする意向を示したことでオバマ政府は圧力姿勢に転じた。
10月下旬に来日したゲーツ米国防長官は、外交の常識もかなぐり捨てて「政府間合意を守れ。守らないなら沖縄海兵隊のグアム移転もない」と脅しつけた。まるで親分が手下に命令する様子に日本の世論は憤慨した。沖縄や岩国での集会では、「基地をアメリカに持って帰れ」の声がわき上がった。
この世論に縛られて鳩山政府の外相、防衛相らの発言は動揺したが、だれよりもオバマ政府が圧力姿勢を手直しせざるをえなくなった。オバマ訪日の準備にきたキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は5日、今回の日米首脳会談では普天間基地移設問題には結論を出さず、先送りすることで岡田外相と合意した。その前日、ケリー国務省報道官も、普天間飛行場移設について「アメリカはいかなる種類の期限ももうけない」とオバマ訪日での決着を断念したことを明かした。ベーダー米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は、鳩山政府が日米同盟の主要課題の見直しを進めていることについて、「同盟を刷新する重要な一歩と歓迎する」とものべた。
10日朝、オバマと鳩山の電話会談では、今回の首脳会談を日米関係強化の機会とすることで一致。鳩山首相は「未来志向の日米関係強化の機会としたい」とのべた。こうして今回の首脳会談も前回同様に、きわどい問題は避けて「日米同盟の強化」をうたうものとなった。
その必要から、アフガン支援問題でも、先にアメリカが海上自衛隊によるインド洋での無料給油の中止を容認したことを受けて、鳩山政府は5日にアフガン「復興」に向けて日本が今後5年間に50億j(約4500億円)規模の支援をおこなうと発表。米国務省クローリ次官補が翌日「感謝する」と表明、「ひき続き支援にとり組んで欲しい」とのべた。
オバマ政府の基本的姿勢は、日本が今後とも目下の同盟者として政治から軍事、経済全面にわたってアメリカの国益を守るために奉仕することである。日本を「アメリカの第51州」としてその役割を担わせるものだ。
オバマ大統領はNHKのインタビューで、辺野古移設などの日米合意を「新政権として再検討することは当然だ」としつつ、「見直しが完了した段階で、現行の合意こそが日本の利益にかなうと結論づけることを確信している」とのべている。また、1部から出ている被爆地・広島と長崎の訪問要請について「今回は日程の都合で行けないが、任期中に訪問できれば光栄だ」とのべた。
もう1つ、先にアメリカの上院が2010会計年度の軍事施設建設に関する予算法案の審議で沖縄海兵隊のグアム移転経費としてオバマ政府が求めた3億j(約272億円)の約7割にあたる2億1100万jを削減した。これも実は、日本が普天間飛行場移設を先送りしていることへの圧力である。ゲーツ米国防長官が先に北沢防衛相に対し、「普天間移設の道が閉ざされるならば、米議会がグアム移転予算を認めない」と警告したことを裏付けている。
ガイトナー米財務長官がオバマ訪日に先駆けて11日に来日したことも偶然ではない。ガイトナーは最近外為市場でドル相場が弱含んでいることをあげて、「ドルの信認を保持するため、日本が協力すること」を要求した。また、郵政改革見直しにも口出しし、「幅広い公正・平等な競争条件が必要だ」と注文をつけた。彼は要するに「日本市場がより開放されることだ」と、郵政民営化なるものが実はアメリカの要求だったことを認めた。
オバマはわずか1日の訪日となったが、首脳会談のほか政策演説を予定している。そのなかで、「日米安保条約」50年に関して「今後の50年で同盟をいかに強化していくか、同盟の再構築に向けた協議を始めたい」と表明するという。日本の圧倒的な世論は、アメリカの植民地的な状況から脱却し、真に独立した平和な日本、貧富の格差がなく働くものみんなが豊かな生活ができる国になることを切に願っている。そのためには、「安保条約」というアメリカへの隷属の鎖を断ち切ることが求められている。売国自民党の支配を終わらせた世論を、「安保条約」破棄、米軍基地撤去などの運動に盛り上げていかなければならない。