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某歯科医の言いたい放題 から転載
http://bousikai.seesaa.net/article/133065752.html
「事業仕分け」は踏み込み不足、“柔整師問題”で
2009年11月16日
「事業仕分けの“仕分け人”たちは、財務省のペーパー通りに話しているだけで、医療を提供する側から見れば、おかしな話が多い。特にある“仕分け人”が『この結論通りにやらなければ、中医協は後ろ指を指されることになる』と発言したが、これだけは絶対に許せない」
11月15日、都内で開催された日本臨床整形外科学会シンポジウム「国民の健康と医療制度を考える - 運動器疾患の現状と課題-」で、こう発言したのは、京都府医師会副会長の安達秀樹氏。安達氏は中医協の委員ですが、この日は「日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長」の立場で発言しています。
先週11日から始まった、行政刷新会議ワーキングチームの「事業仕分け」。診療報酬関連では、「収入が高い診療科の見直し」「開業医・勤務医の平準化」という結論が出され、「議論の基になるデータに不備がある」「十分に議論を尽くしていない」などの批判が医療界から上がっています(『医療界から「事業仕分け」を問題視する声が続出』http://www.m3.com/iryoIshin/article/111108/ 、『医療主要6分野、「予算削減」「要求見送り」「見直し」へ』http://www.m3.com/iryoIshin/article/111082/ を参照)。
厚生労働省関連の「事業仕分け」の対象は約50事業ですが、そもそも全事業から絞り込む作業は誰が実施したのか、なぜ診療報酬が対象になったのかという疑問もあります。この点について、シンポジウムでフロアから発言した、民主党衆議院議員の大泉ひろこ氏は、
「事業仕分けの議論は、財務省主計局の資料を基に行われている。第1次の事業仕分けは、財務省がやっている」
と発言しています。大泉氏は元厚生省官僚。先の衆議院議員選挙で、茨城6区で現職の自民党・丹羽雄哉氏を破り、初当選を果たしています。
柔道整復師の養成数、療養費ともに急増
さて、この日のシンポジウムのメーンテーマは、“柔道整復師問題”。
(1)柔道整復の対象は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、つまり急性の外傷だが、腰痛などの慢性疾患にも施術している、
(2)応急手当としての骨折・脱臼などでは医師の同意を必要としない、
(3)不適切な施術で健康被害が起きている、
(4)柔道整復の療養費は、「受領委任払い」であり、請求内容が妥当であるかなどが確認しにくい、
などが主たる問題点。
日本臨床整形外科学会元理事長の角南義文氏が示した資料によると、柔道整復師の養成校は、1998年10月では全国で15校、一学年定員1050人でしたが、2009年6月時点で98校8368人に急増しています。厚生労働省のまとめによると、柔道整復師の療養費は、2002年度の2883億円から2007年度には3377億円に増加。しかし、「厚労省が出しているのは、療養費の推計値のみで細目を公表していない」と問題視する角南氏は、2008年度の柔道整復師の療養費を4297億円と推計しています。
また、「接骨院・整骨院では、3カ所以上のけがをしている患者が半数を超えている、との報道があった。しかし、われわれが今年6月に整形外科を受診した患者を調査した結果では、外傷患者7393人の受傷部位は平均1.22部位にすぎない」と角南氏は述べ、請求内容についても問題視。
「柔道整復師の療養費に対する国庫負担」も、今回の「事業仕分け」の対象になりました。「マスコミは何とか記者クラブ制度を守ろうとしているが、そもそも行政刷新会議には(新しい組織であるため)最初から記者クラブが存在しない。だから仙谷由人大臣は、『どうぞ誰でも、一般の人も来てください』と広く開放した。一般の人が議論の様子をネットで流し、Twitter(ツイッター)などで議論している。“柔道整復師問題”が事業仕分けの対象になり、白日の下に問題をさらした点ですばらしいこと。この問題が埋没しないよう、医師の側から積極的に発信していくべき」。
コラムニストの勝谷誠彦氏は、“柔道整復師問題”が取り上げられたこと自体は評価しました。
もっとも、事業仕分けの結論は、
(1)柔道整復師の養成数を管理できる法制度にすべき、
(2)柔道整復師の治療については、不正治療の疑念はぬぐえない、適正な保険給付に向けた改善を実施すべき、
(3)3部位請求に4部位請求と同様に状況理由を報告させ、給付率を33%に引き下げるべき(現在は4部位以降については33%の額で請求)、
などで、関係者はこの内容には納得していません。
シンポジストの一人、愛媛大学大学院教授(元日医総研研究部長)の石原謙氏は、「厚労省は、医師数については規制をしているのに、柔道整復師の養成数はなぜ規制をしないのか。また、厚労省が事業仕分けに提出した資料では、柔道整復の療養費は国民医療費の0.99%との推計を示しているのみ。その根拠も示さず、厚労省が柔道整復師をひいきにしていることを示す資料」と指摘。
「受領委任払いは、柔道整復師にのみ求められた特権。これを改めない限り、問題は解決しない。また一部位であっても受傷原因を記載し、請求内容を明確にすべき」と角南氏は問題視しています。同時に、「診療所の一階に接骨院を設け、連携するケースもある。医療機関の“自浄作用”も必要」と角南氏は付け加えます。
この“柔道整復師問題”については、医療機関、患者、保険者など関係者すべてが取り組んでいく必要がある、というのがこの日の結論です。
「医療と、アメニティ(腰痛や肩こりに対するマッサージなど)の境が曖昧になっていることが一番の問題であり、患者はこのアメニティも保険で受けられると勘違いしている。この誤解を解くとともに、安易な行為は健康被害を招く危険があることを、患者などに啓発していく必要がある」(安達氏)
「そもそも厚労省が受領委任払いを認めているのが問題であり、これを償還払いに改めることが必要。同時に保険者としては被保険者に適正利用を呼びかけていく」(「保険者機能を推進する会」代表幹事・池田政弘氏)
「『ふぐの調理の免許を持たない人に、ふぐ料理を作ってもらうのか』ということ。“柔道整復師問題”には患者の命がかかっているという視点で取り上げていくことが必要」(勝谷氏)