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2009年11月16日
なんだかなあの大統領
疾風(はやて)のようにやってきて、疾風のように去っていく……月光仮面ではありません(って、少々古いのですが)。合衆国大統領オバマさんです。
そんなことはどうでもいいのです。よくない!と言いたげな人びとも、テレビの中には散見されました。「中国には3泊する」「中国では若者とのトーク集会もする」……。そうした声をなだめるための「くすぐり」が、サントリーホールでのスピーチにはちりばめられていました。さすがアメリカ、さすがオバマさん、よくわかっていらっしゃる。
米中が接近すると日本が袖にされるのではと懸念する人びとは、ずっと前からいました。そういうことを口にするのは、従来の日米関係しかないと思い込んでいる向き、つまり共和党のアメリカと繋がってきた自民党系の人びとやメディアと考えていいと思います。日本の政権交代で対米関係が悪化するとか言う人も、みんなこの部類でしょう。そういう目で見ると、昨今、新聞の論説委員やテレビのキャスターやコメンテーターの色分けが、今まで以上にわかりやすくて面白い。
極め付きは川口順子サンです。このあいだ国会で質問に立って、「これはアメリカ大使館がインターネットテレビで監視してるんですよ」と、えらい剣幕で鳩山サンに言い募っていました。
若い人たちがよくやる、けっして感じのいいものではないリアクションをまねすると、「ハアッ?」です。それがどうした、です。どこの大使館でも、暇なら任地の国会はテレビウォッチするんじゃないでしょうか。川口サンは、「わたしは外務大臣として国会答弁していたとき、このくにの人びとではなくアメリカを意識して、アメリカに叱られないように、望むらくは気に入られるようにしゃべっていました」と白状したようなものです。
川口サンに代表される人びとは、嫉妬深い。そして疑心暗鬼です。つまり、自信がないんですね。「こんなこと言ったら嫌われちゃうかしら」「こうしてあげたら褒めてもらえるかしら」と、そんな心配ばっかりしています。鳩山サンは、そうではない対米外交を打ち出したのです。問題は、今回のオバマ来日でその姿勢を貫けたか、今後も日和らずに貫くかということです。
オバマ・スピーチは、無理して感動している人もいましたが、内容に新味ははなかったと思います。注目すべきは、その日本向けレトリックです。アメリカは今、アジアから、とくに中国などの新興国から「愛されるアメリカ」に大変身する必要に迫られています。物を買ってもらうため、そして国債を買ってもらうために。その思惑はオバマさんのスピーチの端々に伺えました。それは痛ましいほどで、却って凄味すら感じました。中国についても、そうした実際的な関係を強調して、日本の一部の人たちをなだめるのにやっきでした。
「向こうはなにしろお金を持っているからね、それをちらつかせて無理難題をふっかけてくるかもしれないんだよ。君もお金を持ってるけど、君はそんなことしない。貢いでくれるだけだ。さすがぼくの見込んだ君だ。なにしろぼくたちのつきあいは長いからね、来年でもう50年だよ。同盟だ、信じ合う仲なんだ。こんどは向こうに3泊するけど、君はなにも心配いらない。難しい相手だから、これくらいしないとならないぼくのつらい立場、君はわかってくれるよね。ぼくが心から信じているのは君だけだ、誓ってもいい。だから、この同盟、ぼくたちのいちばん重要な絆なんだから、君もたいせつに思ってくれ。そのためにも普天間のこと、早く決着つけようよ」
なにやら、ほかの女君のところに出かける光源氏が言いそうなセリフですが、オバマさんが日本で言いたかったのは、結局これに尽きるのではないでしょうか。わたしは演説全文を読んで、そう思いました。
そこで鳩山サンが情にほだされて、アジアにおける紫の上の役割を引き受け、物わかりよくなってしまっては困るのです。そんなことになったら、旧態依然の従属外交派となんら変わらなくなってしまう。普天間問題については、高官レベルで協議をするそうです。だったら、軍事や外交についてだけでなく、民主主義の分科会も設けていただきたい。日米は同盟(なんだかこのことばが連発されて、わたしはそのたびに心の中がぞわぞわしますが)ではなく、なによりも民主主義という価値観を共有する関係なのです。主権者の意向をうけて初めて権力の正統性が生じるのが、民主主義です。沖縄の民意を尊重するにはどうすべきか、協議する高官たちは、民主主義を一からお勉強し直してほしいと思います。