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2009年11月15日 (日)
テレ朝サンプロ西川善文氏擁護偏向報道が続く
テレビ朝日「サンデープロジェクト」がようやく日本郵政問題を取り上げた。本ブログ6月28日付記事
「サンプロがかんぽの宿疑惑適正検証を行なうか」
7月1日記事
「テレ朝サンプロでのかんぽの宿検証について」
に記述したように、同番組は「かんぽの宿疑惑」について徹底検証を行なうことを視聴者に約束したが、この約束は無責任に破られていた。
7月6日に
「かんぽの宿」論議を逃げたテレ朝サンプロ」
を記述した。
以後、問題は放置されてきたが、11月15日放送で日本郵政の西川善文前社長を出演させ、日本郵政社長辞任問題についてインタビューが行なわれた。
討論に加わったのは、西川善文氏のほか、丹羽宇一郎日本郵政前取締役、エコノミストの吉崎達彦氏、田原総一朗氏である。
鳩山政権が推進している日本郵政改革に賛成する論者が一人も論議に加わっていない。政治的公平を確保して論議をするなら「2プラス2」、=「2対2」で論議するのが当然である。ところが、政治的偏向を特徴とする同番組は、「4対0」の出演者構成で番組を制作した。
正当な論議が成り立つはずがない。事件が発生したときに、被疑者と被疑者を擁護する者だけを出演させて話を聞くようなものである。
「かんぽの宿疑惑」についても論議が行なわれたが、不正は存在しないとする一方的な説明が示されただけである。
鳩山政権が示す「日本郵政改革」の基本方向は基本的に正しい。
鳩山首相は6月17日に麻生前首相との間で行なわれた党首討論の場で、政権交代が実現すれば西川善文社長の辞任を求める考えを明言した。また、民主、社民、国民の現与党3党は、8月30日の総選挙に際して「郵政改革」の基本方針を公約として提示して選挙戦を戦った。
このなかで民主党が総選挙に大勝し政権交代が実現したのである。鳩山政権が公約に沿って日本郵政改革を推進することは正当であり、国民に対する責務でもある。
私は『月刊日本』
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に「小泉竹中改革の破綻と政治の新潮流」と題する12回連載記事を執筆している。11月22日に発行される『月刊日本12月号』
には、第6回連載記事として
「鳩山政権郵政改革を批判する竹中平蔵氏の厚顔無恥」
と題する記事を執筆した。
鳩山政権の郵政改革の概要、小泉竹中政権の進めた郵政民営化のどこに問題があったのかを詳述しているので、ぜひご一読賜りたい。
「かんぽの宿」疑惑に関連して、「サンプロペンタゴン」の主張が間違っていることの詳細については、これまでに繰り返し記述してきた。
「テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞」(6月13日)
「鳩山総務相更迭問題を逃げたテレ朝サンプロ」(6月14日)
「千葉市長選民主大勝と日本郵政の巨大犯罪疑惑」(6月15日)
「それでも日本郵政西川社長を解任すべき理由」(6月23日)
「国会出頭要請をもう逃げられない竹中平蔵氏」(6月24日)
を参照いただきたい。
西川社長直結の「チーム西川」がかんぽの宿売却を仕切り、不透明極まりない対応が示されてきたことは紛れもない事実である。
15日の放送では、
@日本郵政が4200億円の利益を計上したこと
A日本郵政取締役人事は日本郵政の指名委員会に権限があること
B郵政民営化は300兆円の資金を民間に還流するさせることを目的に推進されたもので、この流れをかえるべきでないこと
を西川氏や丹羽氏が強調した。
しかし、@については、10月21日付記事
「鳩山政権の郵政改革本格始動と今後の課題」
に記述したように、
「日本郵政株式会社が発足して収益体質が改善したかのような報道がなされているが、事実誤認も甚だしい。日本郵政公社は日本郵政株式会社へ引き継ぐ最後の決算である2007年9月決算で1兆5800億円の特別損失を計上している。新会社である日本郵政株式会社の決算計数の見栄えを良くするために、巨額損失をその前に計上しているのだ。
日本郵政はゆうちょ銀行に190兆円、かんぽ生命に100兆円の資金を保持している。ゆうちょ銀行の資金利鞘は0.8%であり、ゆうちょ銀行の資金利鞘から発生する粗利益だけで年間1兆5200億円の収益が確保される。
300兆円弱の資金を抱えているのであるから、誰が経営者であっても利益を計上することは可能である。そもそも郵政3事業は赤字事業ではない。税金を投入せずに運営されてきた事業部門なのである。」
利益が急増したように見えるのは決算操作による部分が圧倒的に大きいのである。
Aの人事問題について、丹羽氏は会社法に基づく意思決定を尊重するべきだと述べるが、それ以前に、日本郵政が現状で100%政府出資企業であることを踏まえることが不可欠である。日本郵政取締役は100%株主である日本政府の意向を尊重する責任を負っている。日本郵政人事に認可権を持つ総務大臣の意向を無視した経営が許されるはずがない。
丹羽氏はコーポレートガバナンスなる言葉を口にするからには、株主から経営を委託されている取締役が株主の意向を尊重するべきであるという「コーポレートガバナンスのいろはのい」を踏まえる必要がある。この基本を見失って「コーポレートガバナンス」を口にすることは笑止千万である。
鳩山邦夫元総務相が西川氏の辞任を求めたことにつていは、正当な根拠が存在した。西川氏が作ったお手盛り委員会の報告には疑惑を払拭する説明力はなかったのだ。
Bの資金還流についても私は10月21日付記事に記述した。
「民営化するとこれまで財政投融資制度の下で政府部門にしか回らなかった資金が民間部門に還流すると説明されてきたが、そのような事実はまったく観察されていない。
2009年3月末現在、ゆうちょ銀行の総資産196兆円のうち、有価証券が173兆円、このなかの162兆円が公共債である。貸出金は4兆円に過ぎない。かんぽ生命では総資産107兆円のうち、有価証券が83兆円、このなかの74兆円が公共債である。貸付金は18兆円あるが大半が機構貸付で一般貸付は2170億円に過ぎない。
つまり、民営化すると300兆円の資金が民間に還流して日本経済の発展に寄与するかのような話はまったくのでたらめだったのだ。」
他方、小泉竹中郵政民営化による弊害が大きいことについて番組はまったく触れなかった。地域に居住する多数の国民から金融口座をはく奪してしまう「金融排除」の問題が今後深刻化することは間違いなかった。また、4分社化によってこれまで郵政職員が提供してきたきめ細かい有機的な総合サービスが供給されなくなったことも事実である。地域コミュニティーの核としての機能を担ってきた特定郵便局ネットワークの貴重な機能も破壊された。
公共の電波を用いて郵政改革を論じるのであるなら、中立公正な論議が行なわれる状況を確保して放送を行なうべきである。放送法の規定に反する番組制作を続ける同番組について、テレビ朝日には番組打ち切りを含めた検討が求められる。鳩山政権は放送法違反の疑いのある民放番組に対する適正な指導・監督体制を整えるべきである。
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