(1) Y町は、太平洋に面した人口1万3千ほどの小さな町です。 私たちがこの町に住み始めて間もなくー。 私は、警察署の電光看板に「極左テロを根絶」と表示されているのを見て、可笑しくなりました。 こんな田舎の町には、そぐわないスローガンだと思ったのです。 「何とまあ、前時代的な・・・」と思わず笑ってしまいました。
しかし、その後、何度か見ているうちに思い当たりました。 今度は、自分の鈍さに苦笑することになりました・・・。 それはY警察署におけるKの重要な任務でした。 この町は、原子力の町なのです。 Y町の経済は原子力発電に依存しています。原子力を抜きにしては、町の経済は成り立ちません。 町の勤労者のかなりの割合が、発電所に関わる仕事をしています。 電力会社の社員はもとより、定期的に行われる点検整備時の作業員や派遣社員、運送関係者、メンテナンスの為の部品会社、環境調査会社、作業員用のアパートや下宿業、飲食店、日用品の販売店、遊技場・・・「原子力」に依存している仕事は多岐にわたります。 電力会社からの給付金で建てられた町内の公共施設は、田舎町にはそぐわない豪華さです。 建設業者も、発電所の恩恵を受けていると言えるでしょう。 町の予算は、毎年、電力会社から支給される立地給付金が大切な財源になっています。 また、町内の各世帯には毎年、電気料金の一部が割り戻されていて、僅かながらも家計を潤しています。 この町の経済は、原子力発電所を抜きにしては成り立たないのです。 (立地給付金は年数に期限があるようで、その期限が過ぎれば、打ち切られるか、減額されるようですがー。) 原子力発電は国策として推進している産業ですから、その土台は磐石です。代替エネルギーが確立されない限り、衰退することはないでしょう。 http://mrsmaruko.blog78.fc2.com/blog-entry-23.html
2009/11/14 17:48
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