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2009年11月12日 (木)
亀井金融相の事業仕分け人人事への苦言は正論
本ブログで指摘してきたように、民主党内部には小泉竹中政治に親近感を持つ「市場原理主義者」が存在する。財政運営については、予算書上の財政赤字削減を近視眼的に追求する。経済の安定的な回復を重視せず、闇雲に緊縮財政を推進する政策スタンスを「財政再建原理主義」と呼ぶが、「市場原理主義者」は「財政再建原理主義者」である傾向を有する。
小泉竹中政治の最大の弊害は、
@「弱肉強食奨励」=「弱者切り捨て」=「拝金主義」
の「市場原理主義」
A「対米隷属外交」
B「官僚利権温存」
C「政治権力と大資本の癒着」
D「郵政利権の外国資本への供与、私物化」
にあった。
民主党内の一部勢力は、小泉竹中政治と共通する主義主張を展開してきた。
2003年の「りそな銀行救済」にかけての日本経済混乱は、小泉竹中政治 の経済政策運営破綻を象徴する事象だった。竹中金融相の「大銀行破綻容認」発言が株価暴落を誘導した。株式保有者は巨大損失を蒙りながら日本株の投げ売りに向かった。株価暴落−経済悪化−金融不安拡大の負の連鎖のなかで、多数の国民が失業−倒産−経済苦自死の灼熱(しゃくねつ)地獄に追い込まれた。
ところが、竹中金融行政は、最終的に法の抜け穴を活用してりそな銀行を税金で救済した。「大銀行破綻も辞さない」との政策方針は嘘であった。「大銀行破綻も辞さない」との政策方針が表明されたのは、日本株式を意図的に暴落させるためであったと考えられる。
多数の国民に塗炭(とたん)の苦しみを強制した理由が、外国資本などへの巨大な利益供与にあったとするなら、その犯罪性は極めて重大なものである。
株価暴落のなかで日本の優良資産を買い集めたのは、やがて税金による銀行救済が実行されることを事前に知っていた勢力だけであったと考えられる。最大の暴利獲得者は外国資本であったと見られる。内部情報を事前に入手した人々(=インサイダー)も巨大な不労所得を確保しただろう。
2003年にかけての竹中金融行政は、日本の金融行政史上に最大の汚点を残すものであった。それにもかかわらず、小泉竹中政権はりそな処理を自画自賛し、大政翼賛の日本経済新聞は竹中金融行政を賞賛する論説を掲載した。民主党内部に竹中金融行政を高く評価する者が存在するが、問題の本質を理解していないか、小泉竹中政治に毒されているかのいずれかである。
8月30日の総選挙で自民党が大敗し、民主党が圧勝した最大の背景は、小泉竹中政治に対する国民の全面否定であったと考えられる。「弱肉強食奨励=弱者切り捨ての市場原理主義」に対して国民が明確に拒絶の意思表示を示したのである。
鳩山政権は政権発足以来、精力的に「改革」に取り組んでいる。予算編成過程を透明化し、財政支出の無駄を切り込む姿勢を具体的に示し始めている。「事業仕分け」作業により財政支出にメスを入れる動きが本格化していることは望ましい。
しかし、2010年度予算編成に関しては、予算編成までの時間が極めて短く、作業をきめ細かく実現することは不可能に近い。取り上げられた支出についての論議も、時間的制約から十分には実行されないだろう。
論議を公開する「事業仕分け」について、さまざまな批判が生じることが予想されるが、評価に際しては、これらの「変革」がまだ緒についたばかりでああることを十分に踏まえる必要があるだろう。
「継続性」の強い制約を受ける外交問題では、とりわけ一朝一夕に成果をあげることは困難である。中期的な目標に向けて、着実に努力を積み重ねる基本姿勢が極めて重要である。国民の側も性急に新政権の行動を批判するのでなく、中期的な目標実現に向けて建設的な論議を深める姿勢が肝要である。
こうしたなかで、連立与党である国民新党の亀井静香代表が、事業仕分けチームの人選に苦言を示した。人選に本質的に重大な問題が含まれているとの指摘だ。
亀井金融相は仙谷由人行政刷新相、枝野幸男衆議院議員が主導する事業仕分けの仕分け人メンバーに、小泉竹中政治主導者が含まれていることを問題視している。
川本裕子氏やロバート・フェルドマン氏、土居丈朗氏は、小泉竹中政治路線を主導した人物である。また石弘光氏や冨田俊基氏は財政再建原理主義者に位置付けられると考えられる。
鳩山新政権が小泉竹中政治=市場原理主義を否定する基本スタンスを採用するなら、上記の人選には本質的な問題があると言わざるを得ない。性急に政策運営の成果を求めることは適切でないが、基本姿勢の揺らぎは中期的に大きな禍根を残す原因になる。
鳩山政権が民主党内市場原理主義者に支配されてしまうなら、民主党および鳩山政権は国民の強い支持を簡単に失ってしまうだろう。鳩山政権の原点は市場原理主義の否定にある。市場原理主義を代表する人々を事業仕分けチームメンバーに起用することは、選挙で民主党を支持した国民に対する背信行為であると言わざるを得ない。
「市場原理主義」に加担してきた大半のマスメディアは、苦言を呈した亀井静香金融相兼郵政担当相の主張を批判するトーンで報道を展開しているが、正論を提示しているのは亀井静香金融相である。
鳩山首相は新政権の本質に関わる問題について、適切にリーダーシップを発揮するべきである。新政権の原点を忘れてはならない。また、霞が関改革の一丁目一番地は、財務省の権力突出を排除することにある。鳩山政権が財務省に依存しすぎれば、ミイラ取りがミイラになることを避けがたい。
財務省は他省の利権排除には熱心だが、財務省自身の利権に対しては激しい執着を示す。最終的に財務省と法務省・検察庁・裁判所の利権・権限集中を排除しなければ霞が関主導政治を変えることはできない。事業仕分けWGの人選には財務省の強い影響が見え隠れしている。
問題の本質を把握し、事業仕分け人人事問題について、早急に問題を是正する対応を示すことが求められる。
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