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【神州の泉―高橋博彦】
2009年11月11日 (水)
オバマ大統領の来日目的を推測する!
オバマ米大統領は、銃乱射事件が起きたテキサス州の陸軍基地での追悼式典に出席するために、訪日の日程を変更した。当初の予定は、12日午後から13日午後までだったが、式典を理由に、13、14日の両日になった。オバマ大統領の国内事情というものはあるだろうが、町内会の予定でさえ簡単に変更できない昨今、宰相による国家間の訪問予定を変更することは、大災害とか国内テロによって治安の危機が生じるとか、相当の理由がある場合だけであろう。
軍内部の銃乱射事件が相当に重く捉えられている可能性は高いが、追悼式典の方が来日よりも優先される事実は、アメリカの対日感を如実に物語っている。アメリカの来日には、二国間信頼関係の醸成という方針はなく、明らかにある懸案の肝煎りを狙っている。ある懸案は後に書くとして、日本の外交筋はアメリカの意図を見抜き、深謀遠慮できわめて賢い対応をする必要がある。
アメリカはオバマ政権になって表面的にはブッシュ・ネオコン政権と対極を行く姿勢を取っているように見えるが、日米関係は以前と同等の関係のまま推移している。ブッシュ・ネオコンに阿諛追従していた旧自公政権と今の民主党連立政権では、アメリカから見ても感触がまったく異なる感じに見えていて、比較的慎重に様子を見ているように思える。アメリカはこれまでの対米隷従の日本を同盟国だと表面ではニコニコつくろいながら、裏では日本の官僚や政治家を睥睨し、脅しつけてきた。
旧自公政権は、アメリカに無理難題を言われると、対等に言い返すどころか、卑屈になってアメリカが求めていた答えを忖度し、こちらからアメリカの気に入ることを言ってきた隷従政権だった。その典型が2003年、アメリカのイラク参戦に、小泉純一郎元首相が世界に先駆けて、即座に賛意を表明したできごとである。隷従ポチもここに極まれりであった。小泉氏は、ブッシュ・ジュニアに気に入られたいという一心で、国民の気持を無視し、米国のイラク参戦に賛同の意を表明したことは、一国の宰相の責任放棄であり、国家の信用失墜の最たるものであった。
オバマ大統領は、NHKの単独インタビューで、被爆地の広島と長崎への訪問について、今週13日からの日本訪問では実現しないものの、大統領の任期中には訪問したいという意向を初めて示した。これは冷静に見れば、広島、長崎を訪問する気がなくて、仕方なくリップサービスだけをした可能性が高い。長崎、広島の原爆投下は30万人を超える無辜の民を殺戮した。この事実は国家の戦争責任を超えて人類犯罪である。アメリカは徹底してこれへの言及を忌避している。
アメリカは極東国際軍事裁判の歴史認識を超えて、日本と世界人類に謝罪する責務を負っている。核兵器削減と核不拡散条約の強化を謳ったオバマ大統領のプラハ演説は、確かに大きな意味はあるが、これを真に有効にするには、広島と長崎の原爆投下への謝罪を優先させる必要があった。それでこそ彼の演説は説得力を持ったのだ。オバマは訪日に当たって、いつかは広島・長崎を訪問したいと言ったが、原爆犠牲者に謝罪をしたいとは言っていない。ここに日米関係の根幹的な属国支配の関係が見えている。
NHKのインタビューで、オバマ大統領は、米国と日本の関係は決してシニアとジュニアの関係ではなく“対等”だとわけのわからないことを言っていた。欧米人にとってシニアとジュニアの位置関係は決定的である。シニアとジュニアという言葉をわざわざ使ったところに米国の対日意識の本音が覗いている。
普天間基地移設問題は、96年、住宅密集地にあって事故の危険や騒音被害が大きい米軍普天間飛行場の全面返還に米国は合意していた。その後、移設先に名護市辺野古沿岸を選定、2006年には、V字形滑走路をつくる現行計画が日米両政府間で合意した。政権交代が起きて、この部分で基本的な見直しが行われる予定だったが、事態は難航している。米国は普天間移設には辺野古沿岸部の代替基地建設を絶対条件と言いはじめた。
つまり自民党政権時代の合意をアメリカは変えようとしていない。国民はこの事実を深く受け止めるべきだ。日本国内では自民党体制を打倒して、民主党連立政権という革命的な政権が誕生した。通常ならば新政権は対外交渉を新しい状況に対応させる力を持つ。しかし、我が国は政権交代が実現しても、対米隷属構造はほとんど変化していないのだ。日米関係について、鳩山政権はマニフェストの段階から隘路に嵌りこんでいる。
交戦権を否定する憲法体制があり、核武装もしてない我が国は、軍事力学的には発言権がないに等しい。クラウゼヴィッツの戦争論で言うように、政治と軍事はきわめて近似的な関係性を持ち、はっきり言えばどちらが欠けても、相互に機能不全を起こす。戦後日本は怜悧に眺めるとその位相が一層強くなっている。冷戦時代はアメリカを用心棒にして経済発展に傾注し、都合が良かったが、冷戦終結後にその用心棒は、際限なく顧客の財産を狙ってきたのである。
自公政権が国民に否定され、なぜ民主党政権が誕生したのか。アメリカの収奪が激しすぎて国民生活を劇的に圧迫し始めているからだ。国民生活の急激な落魄感が悲鳴となり、自公政権打倒の狼煙(のろし)が上げられた。その根底にはアメリカの収奪意志からの脱却を民主党に期待する気持があった。小沢一郎氏の“第七艦隊”発言には、明らかにその意志がこもっていた。政権交代が起きて、亀井大臣を先頭に郵政民営化の効果的な見直しが始まった最中である。
国民は普天間問題に米国の本音を見抜く必要がある。米国が代替施設建設に強行にこだわっているのは、それも年内の決着にこだわっているのは、郵政民営化見直しを空洞化させるための揺さぶりである。オバマ大統領訪日の真意はそこにあると私は見ている。多くは、郵政民営化の見直しと、普天間の問題は別個だと考えているだろうが、米国の戦略は普天間で日本を揺さぶって、自公政権がレールを敷いた郵政民営化路線を継続させることにあると私は睨んでいる。
なぜなら、郵政民営化も隠れている日米関係であり、米国の日本資産収奪計画だからである。米国の狙いは計画通り、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の郵政資金であり、郵政グループにある不動産利権である。普天間基地問題は、属国日本が国益をかけて主張するには限界があり、残念な帰着点に到達するだろうが、自公政権とは異なる根性を見せ付ける必要がある。米国を怒らせないように最大限の知恵を絞ってごねた方がいいが、郵政民営化見直しは絶対に譲歩してはならない。
普天間問題は、戦後体制そのもの、つまり米日主従関係体制が問われている問題であるから困難を伴う。だが、普天間基地周辺住民がひどい環境に耐えている事実は、自分の痛みとして捉える必要がある。しかし、この問題の根底には、郵政民営化見直しを事実上空洞化したいという米国の隠れた目論見があることを見抜いたほうがいい。閣僚が心を合わせ、国民が亀井大臣と原口大臣を強く応援する必要がある。オバマ大統領訪日の真の目的に警戒した方がいい。彼は必ず郵政民営化見直し政策に強い圧力をかけるはずだ。
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