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2009/11/10 10:00
http://netallica.yahoo.co.jp/news/99918
「新銀行東京」が元行員を訴えていた裁判が6日、和解となった。銀行側が「機密漏洩」に怒り、起こした訴訟だ。
新銀行東京に訴えられていたのは、07年10月まで新銀行に勤めていた横山剛氏。昨年6〜7月にかけて週刊誌や民放の取材に応じ、「都は開業の前から銀行経営陣にマスタープランの達成を強い調子で迫っていた」などと証言。新銀行の乱脈経営は東京都にも責任があるとして、当時の会議メモや録音データを公開した。
これに対し、銀行側は昨年8月、「機密漏洩違反」として横山氏個人を提訴。メモと録音データの返還、1000万円の損害賠償、情報漏洩の差し止めを求めたのだ。
乱脈経営で都民の税金に助けてもらいながら、内部告発には、こんな裁判を起こす。新銀行東京の企業体質がはっきり分かる訴訟だったが、その決着の仕方でもうひとつ、分かったことがある。要するに、この訴訟は横山氏に対する嫌がらせ、口封じのドーカツだったということだ。
裁判は被告の横山氏が体調を崩したこともあって和解となったが、銀行側は損害賠償1000万円を全額放棄した。横山氏の代理人弁護士はこう言った。
「銀行側が損害賠償を放棄したことは、銀行自らがこの請求が成り立たないと認めたことになります。取材源を口封じすることが目的の裁判だったと断定せざるを得ません」
横山氏側はメモと録音データを返還することになったが、メモや録音データのコピーは、既に議会関係者やマスコミに出回っていて、返還しても事実上、意味がない。銀行側は結局、横山氏側から何の対価も得ないまま引き下がったことになる。やっぱり言論弾圧裁判だ。
横山氏の内部告発は、1400億円もの税金が投入された“都営銀行”の実態を検証するのに貴重な証言だった。新銀行をめぐっては、石原知事周辺の口利き融資疑惑なども浮上していた。だからこそ、あわてて裁判を起こしたのだろう。
6日の定例会見で、この和解への見解を求められた石原は「当事者に聞いてくれ」と逃げた。おいおい、当事者はアンタだろう。銀行が出した裁判費用だって、最後は都民の税金が尻拭いする。ますます、許せない銀行である。
(日刊ゲンダイ2009年11月7日掲載)
2009/11/10 10:00 更新