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副島隆彦氏の新刊「ドル亡き後の世界」を読んで!―この本は必読の書である―【神州の泉―高橋博彦】
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投稿者 弥太郎 日時 2009 年 11 月 07 日 00:43:37: 2j9DCs8Lv3S7M
 

【神州の泉―高橋博彦】

2009年11月 6日 (金)

副島隆彦氏の新刊「ドル亡き後の世界」を読んで!

 副島隆彦氏の新刊「ドル亡き後の世界」を読んだ。サブプライム・ローンショック及びリーマン・ブラザーズショックという、アメリカ発の金融ショックで景気悪化の津波が引き起こされたが、今年は日本もアメリカも株価が上がり、景気の底打ち観が出てきた。だが、副島氏によれば、これは大本営発表であって、来年バンクーバーオリンピック後辺りからアメリカの景気は崩れていくと言う。今景気は底打ちどころか、来年から下がりだし、2012年に大底に落ちてしまうと予測している。

 金融・経済に疎い私は何とも言えないが、二年前のサブプライムローン崩れは人類史の重要な転換点だと言う副島氏の認識はその通りだと思う。もちろん、その翌年のリーマンショックがそのターニングポイントに決定的な拍車をかけてしまった。副島氏は、金融予測においては、日本における第一人者だと思うが、メディアや斯界では彼の予測はつんぼ桟敷(異端視)扱いされている。

 アメリカ金融業界(ウォール・ストリート)に通暁する彼ならではの“読み”はかなり鋭いと思う。今から約10年前に日本の金融侵略、すなわち日本金融の占領を企て、その最高司令長官を務めたラリー・サマーズはホワイトハウスのオバマのそばにいて、ブレーンをやっている。彼は日本金融を叩きのめした功労で、米国内でかつてはマッカーサーの再来と賞賛されたらしい。飛ぶ鳥を落とす勢いだったサマーズも、今回の歴史的金融ショックですっかり落魄の様相を呈しているらしい。

 さて、この本では他に重要な予測がたくさん書かれており、副島氏の渾身の迫力を感じる。ここ3年間の世界的株価の暴落で、なぜゴールドマン・サックスだけが一人勝ちしているか、副島氏はその理由を明確に述べている。また、この世は“金融鬼”が跋扈していて、人を騙して取って喰らうとか、副島氏ならではの独特の表現が随所にあって、興奮しながら読み進めることができる。サマーズ、バーナンキ、クルーグマンなど、日本でも見慣れた経済学者たちの真実が書かれてあり、大変参考になる。

 世界はEC諸国も含め、アメリカの金融詐欺商品であるデリバティブを抱えており、それが堪えきれなくなって、これから爆発する。アメリカはこれから通貨の引き下げ(デノミ)を行って、1ドル10円にするだろうと言っている。世界に対し、日本に対し時価会計主義を無理やり押し付けたアメリカが、この間の金融破たんで、なりふり構わずいきなり原価取得方式で評価する態度に切り替えたが、国際会計基準理事会は未だに「時価会計を世界中に導入する」と言って憚らないらしい。こういう不透明かつ、平気でダブルスタンダードを使うことが、金融を牛耳る者達の怪しい所以である。

 日本はアメリカから紙くず同然になることがわかっている各種の債権(外債)を多く買ってしまっている。副島氏は、日本国民の年金や共済掛け金や保険が、外債で2割も運用されているそうである。恐ろしい話だ。こういうことは表のメディアではほとんど伝えられていない。属国意識にがんじがらめにされているからだ。副島氏は日本が保有する莫大な外債(米国債)を中国に先駆けて売れと言う。

 橋本元総理の発言の件があるから、日本ではアメリカの債権を売ることはタブー視されているようだが、副島氏の言うように勇気を出して売った方がいいと思う。アメリカが陰険に反応したら、その時はその時である。開き直って、中国の売りは黙っていて、日本が駄目なのはなぜかを執拗に追及すればよい。多くの人間が売れと言えば、CIAも暗殺の手段は取れないだろう。

 この本は副島氏の重要な情報が多く詰め込まれていて、日本人は必読の書である。最後に書評として、私が特筆したいのは、中川昭一氏について言及している箇所である。副島氏は、『日米「振り込め詐欺」大恐慌』や、植草一秀さんとの共著「売国者たちの末路」でも書いている。この本では、中川昭一氏が現世界銀行総裁のロバート・ゼーリックに嵌められたと言っている。怒り狂ったゼーリックが、日本の財務省国際局長や読売新聞の女性記者を動かして、かの酩酊事件を引き起こしたと。

 中川昭一氏はアメリカの金融失態の穴埋めに、日本の外貨準備資金が使われないように手を打った。米国債をこれ以上買うなと発言し、G7の席でもアメリカ批判を行った。アメリカは自分が獲得しようとしていた日本の外貨準備資金を、中川氏がIMFに9兆円支出することにしたので怒り狂って、彼を失脚させたという話だ。これはまったくその通りだと思う。2004年、竹中平蔵氏が郵政民営化準備室を発足した当時、中川昭一氏はエクソン・フロリオ条項に特許・知財の件で言及している。

 ゼーリックと言えば、郵政民営化の件で竹中平蔵氏に送った『ゼーリック書簡』が知られている。それは、かつて民主党の櫻井充議員によって国会質問に出たが、2004年当時にゼーリックが、すでに中川氏を警戒していたことは間違いない。なぜなら、エクソンフロリオ条項が政界話題の禁忌になっていたと思われるからである。その日本版が考慮された場合、郵政民営化という日本資産収奪計画の重大な阻害要因となったからである。つまり、この条項を口にした政治家は愛国者だということになる。

 これは愛国者の国防概念がなければ出ない発言だった。彼が郵政民営化に対してもエクソンフロリオ条項の考え方を有していたことは間違いない。彼は植草さんと同様に、早くから米国政府に危険視されていたことは間違いない。副島氏の『ドル亡き後の世界』はなるべく多くの人が読んで欲しい一冊である。

 今の日本で、アメリカ国債を早く売れと断言する有識者は何人いるのだろうか?私は寡聞にして、副島氏しかそう言っている有識者を知らない。すごい勇気である。

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コメント
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副島さんの「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち」は95年出版ですが、未だに参考にしています。 ドルが基軸通貨としての地位を失った後の話ですが、保護主義に転換されてアメリカと中国が共倒れになるでしょう。 世界はカオスの状態になることは間違いない。 ひとつ考えられる案ですが、シベリア鉄道の新幹線化はいかがでしょうか。 高速鉄道だけでなく高速道路とパイプライン、光フアイバーを併設して、ユーロと日本を結ぶことでユーラシアン経済共同体が見えてくるのではないでしょうか。 それならドルに変わるものも自然に決まると思います。 N.T
2009/11/07 09:10
良いときに鳩山政権に移った。米国の力は次第に弱まっていく。
しかし、刺激はいけない。刺激しない様にアジアと手を組みながら
少しずつフェイドアウトしていくのがよい。先日の予算委員会での
川口元外相の発言にはひっくり返るほど驚いた。これが、自民党を代表する
考えで、国民がひっくり返るほど驚く発言だとは思っていないと思う。
日本の国益は、米国と如何に距離を取るかが大事だ。
米国は、覇権国家でローマ帝国の考えを引き継いでいる。軍事と経済、金融で
世界を牛耳る国家だ。この様な国が、属国の幸せを願うはずはない。
日本国民が一致団結して米国のマインドコントロールから覚めなければならない。
2009/11/11 10:23
吉田茂が朝鮮戦争勃発に神棚に拍手を打って喜んだという軍需特需による経済復興営々と戦後半世紀以上にわたってジミンによって受け継がれてきた「吉田政治」の「基本センス」。パン助-「大股開き」路線。世界的に進行する「ドル下落」、アフガン−イラク戦争の破綻に見られる軍事支配の破綻。「吉田政治の基本スタンス−センス」の根底的改変が必要な日本であるということだ。
これは、竹中「東京財団」-アサシ舟橋が基本的にリードした、「冷戦後の同盟改革」のあり方の中で、マイケルグリーンが主張する「吉田政治の継承」にも現われている。しかし、竹中−舟橋−マイケルグリーンの「呪縛」を解かれれば、なんと、日本の周囲には「未開拓な荒地を豊堯な沃地」に変えるものが沢山あること。
爺さんの鳩山一郎が主張した、自主独立、全面講和、再軍備は「再軍備」には真剣な討議の余地を残すとして、自主独立−全面講和の「冷戦後の構造」をシッカリととらえて、安全保障のあり方の変容をも含めて路線確立をすれば「膨大な発展動因」をつかめるということだ。「経団連」の便所野朗などの浅はか-アンポンタンな「アウトソーシング」一辺倒ではつかめない、「経済発展の動因」を摑めるのだと言う事。ではないのでしょうか。
ゴミ売りの経済部コンパニオン記者の「枕師」にしてやられた、「天国の酔っ払い」のツッパリを、「酔っ払い核武装論」に捻じ曲がらない「安全保障論」とともに、小泉−竹中の「全てをアメリカに転がし」路線を打破するためにも。
2009/11/11 23:57
この本のせいで、金の価格がうなぎ登りです。近所の本屋でもベストセラーコーナーに飾ってあります。副島はメジャーになりつつあります。多くの国民が副島の本を読めば、日本はきっと良い国になる。私はそう確信する。私は深い感慨と共に、メジャーになった副島の今後を静かに見守りたい。彼に目を開かせてもらった一市民より。ちなみに、誰がなんと言おうが、わたしもアポロは月に着陸してないと信じている。
2009/11/12 18:13
日本の金融危機に対しては「潰せ(大き過ぎて潰せないということはない)」と冷酷に処理していった一方、世界を巻き込んで破綻に向かっていた米国金融機関は「民営化した日本郵政が出資して助けよ」という竹中。YouTubeで見ると、聴き役のくりいむしちゅー上田共々、ハラワタが煮えくり返る。

神様じゃないから当たり外れは勿論あるが、副島氏は著書のタイトルでそれなりに「当て続けてきた」実績はある。
『堕ちよ!日本経済』『金融鎖国(をすべきだ)』『実物経済の復活』。
そして、『やがてアメリカ発の大恐慌が襲い来る』『ドル覇権の崩壊』『恐慌前夜』が、現在進行中・・・

しっかし、いくら売れてもマスゴミは相変わらずだな。
2009/11/15 19:23

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